肉焼き係から解放されて、俺は弘たちとクラスの話題で盛り上がっていた。
「そういえば昨日、綾部さん天乃白浜に来ていたのよ」
「げ。あの爆裂お嬢様がか?」
美鈴に会っていない弘に、昨日の話をする。
「でも、どうしてここに来ていたんだ?」
「夏休み前、別荘に行くとか言っていたから、その別荘とやらがこの町にあるんじゃないかな」
弘の疑問に俺が答える。
「確かに、大きな別荘地がこの町にはあるみたいだけど、もっと普通は外国とかなんじゃないか?ハワイとかグアムとか…逆に避暑って意味じゃぁヨーロッパとかカナダとか。国内でも北海道とか沖縄あたり。あいつン所、大企業の社長と言う割にはケチくさいんだなぁ」
「さあ、よく知らないけど…」
俺は苦笑して誤魔化す。
そんな話をしている時、不意に弘が、なにかを取り出して小野寺さんのコップにつぎ足した。彼女は話に夢中になっていて、弘のその行動には気付いていない様子。
怪訝そうに見てる俺に人差し指でシーと合図する。
ああ! あれはウイスキーの瓶…。
そんな、やばいって。
俺は…
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