なんだか知らない間に、庭で焼き肉パーティをする事になっていたらしい。
それで姉貴は弘に電話を入れて二人を誘ったという事だ。
まったく、余計な事ばっかりしてくれるよ。相談もなしに…。
まあ、別に嫌って訳じゃないけれど。
「ほら、ぼさっとしてないでどんどん焼きな!」
姉貴が俺を叱る。
…いつの間にか俺が肉焼き係になってるし…。
俺は室外用のコンロの前で汗をかきながら肉を焼いている。
俺に小野寺さん、弘に姉貴。そして康太郎さんの五人分だ。
こうなりゃ、焼きながらめちゃくちゃ食ってやる!
なんと言ったって、自分が目の前で焼いているんだからな。焼き上がったのから順に素早くいただくぜ。あいつらの分なんて知った事か。
俺が箸で手頃に焼けた肉を取ろうとした瞬間、他の箸がそれを奪い去った。
「いただきぃ」
「ああ! 弘、てめぇ」
まぁいい。肉はまだたくさんあるんだ。再び箸をのばすと…。
「それ、焼けてるな」
そう言って康太郎さんがもらって行く。
はうっ。仕方がない他は…。
「宇佐美君、焼けてる?」
「あ、小野寺さん。うん、これと、これ。それにこれも大丈夫だよ」
思わず彼女の受け皿に焼けた肉をのせてあげる俺。
「ありがとう」
お礼を言って微笑む彼女。やっぱかわいいよな〜。小野寺さんは。
…って、俺は肉を食うんじゃなかったんかい!自分からあげちゃってどうすんだよっ!
まあ、相手が小野寺さんだからいいんだけど…。
それじゃ、気を取り直して…
「なんだ、まこと。食べないのか?」
そう言ってひょいひょいと手頃な肉を根こそぎもっていく姉貴。
「ああああ!」
俺は非難の眼差しで姉貴を見る。
「なんだよ。食べたきゃどんどん焼け」
「ううう…わかったよ」
その後も焼く度にみんなに持って行かれてほとんど食べられれないうちに肉がなくなってしまった。
とほほ…。
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