◆7月22日<昼>◆
『小野寺さんのお弁当』
そうこうしているうちに、お腹が空いてきた。
そういえばもう昼食の時間じゃないのか?
「美和〜腹減った〜。そろそろ飯にしようぜ」
同じ事を考えていたらしい弘が、小野寺さんにそう言う。
「うん、そうだね。わたしお弁当をロッカー室に取りに行ってくるわ」
「え? 弁当を持ってきてんの?」
「大丈夫よ。宇佐美君の分もあるから。たくさん作ってきてあるわ」
「もしかして、小野寺さんの手作り?」
「うん、そう。期待していてね」
わぉ! ラッキー。
俺は内心むちゃくちゃうれしかった。
彼女の料理は絶品って弘から聞いたことがあるし…それ以前に小野寺さんの作ったものが食べられる事が嬉しいんだよな。
「あ、俺、持ってくるの手伝うよ」
「え? 本当? じゃぁ一緒に行きましょう。弘はどうするの?」
「俺はパラソルのところで待ってるよ」
そう言って浜辺へあがる弘。
俺達は二人でビジターセンターのロッカー室に向かった。
ロッカー室の前で彼女が持ってきた包みに入った弁当を受け取る。
けっこう大きくずっしりくるぞ。三人で食べるにはちょっと大き過ぎるかな?
「大きいでしょ? でも弘がいるからそれでちょうどいいのよ」
なるほど、あいつ大食いだもんな。
あれだけ食ってよく太らないもんだ。
そして俺達はビジターセンターを後にした。
「ああ!! あんた、なんでこんな所にいるのよ!」
突然、そんな事言われて振り向くと、そこにあまり会いたくな人物がいた。
金髪碧眼。
見間違うはずもない綾部美鈴だ。
コイツこそ、なんでこんな所にいるんだ?
「しかも生意気に女連れで!……あれ?」
俺の隣にいる小野寺さんに気がついて変な声をあげる。
「誰かと思えば小野寺じゃない」
「もしかして…綾部さん? うわぁ。奇遇ね。こんなところで会うなんて」
「あたしは別荘がこの近くだから…って、そうじゃなくって、あんたたちそういう関係だったのね。知らなかったわ」
なにか汚らわしいものを見るような目で美鈴は俺達を見た。
それに対して俺は…
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