■美和編■
2日目【7月22日】


 
 
「そうだよ。だから何だって言うんだ?」
「え?」

 驚いて声をあえげたのは小野寺さんの方だ。

「小野寺、趣味悪いわよ。こんな馬鹿男とつきあうなんて」
「ちょっと、待ってよ。私は別に…」
「馬鹿男で悪かったな。お前には関係ないだろ。じゃぁな」

 俺は無理矢理小野寺さんの手を取って、美鈴の前から立ち去った。
 何か言いたげに俺達を見送る美鈴。
 彼女との距離が離れたところで、俺は小声で小野寺さんに詫びを入れる。

「ごめん、ああでも言わないと、あいつしつこいから」
「もう、びっくりしちゃった。でも、大丈夫かな?綾部さん、学校で変な風にいいふらしたりしない?」
「こっちがあっさり肯定しちゃったからね。いいふらしてもつまんないって思ってるんじゃないかな?それにそうなっても俺は別に気にしないよ。あ、そうか。小野寺さんには迷惑か…」
「そんな、とんでもない。別にわたしも気にしないよ。そういうのって時間がたてばみんな忘れるものだし…」

「まぁ、とにかく、今の事は忘れよう。さぁ早く行かないと弘に文句をいわれるぞ」
「うん。急ぎましょう」

 俺達は少し足を速めて弘が待っている場所へ急いだ。
 あ〜あ、なんであいつがここにいるんだよ。せっかく楽しい気分に水を差しやがって…って早く忘れよう。