「ボーリングにでも行かないか?」
「え? ボーリングですか? いいですけど」
「あんまり乗る気じゃないかな?」
「いえ…ただ、あたし苦手だから、スコア見て笑わないでくださいね」
少し不安そうに言う真澄ちゃん。
「大丈夫、大丈夫。俺も上手い方じゃないから。まぁ、楽しめればそれでOKだよ。点数なんて二の次だよ」
「そうですね。じゃあ行きましょう先輩」
安心したように微笑むと真澄ちゃんは歩き出した。
三本松ボウルはレーン数は少ないものの、施設としては最近立てられたもので綺麗で整っている。二階にボーリング場、一階にカラオケとビリーヤード場があり、休日はけっこう賑わっているらしい。
俺達は駅前から10分ほど歩いてここに着いた。
受付をして、靴を借りて指定されたレーンに向かう。
真澄ちゃんは少し緊張した顔で10ポイントのボールを構えた。
1投目…力強く投げたボールは微妙な弧を描き溝に勢いよく落ちる。
真っ赤になって俺の顔を見る真澄ちゃん。
「真澄ちゃん、もっと肩の力を抜いて。リラックス、リラックス」
「は…はい」
2投目をゆっくり構える真澄ちゃん。
「真澄ちゃん、力はいっちゃってるよ。深呼吸、深呼吸」
「え?…わ、わかりました」
そう答えて数回深く深呼吸すると真澄ちゃんはボールをゆっくり投げた。
今度は真っ直ぐレーンの上を転がるとそのままピンを5本ほど倒した。勢いがあればストライクできてただろう。
「真澄ちゃん、いいぞ、その調子」
俺がそういうと少し照れた表情で俺の隣に座った。
さてと、次は俺の番だけど、どうしようかな?