◆7月23日<昼>◆
『真澄ちゃんとのデート』
「お待たせしました。行きましょう先輩」
駅前通りの商店街へ歩き出す二人。三本松駅前はこの町で一番の繁華街だ。駅から南に伸びる市道には小さな商店が軒を連ねている。通りから少し奥へ足を伸ばせば、マイカー客を狙った郊外大型店がけっこう建っている。パチンコ、アミューズメントパーク、カラオケなどの娯楽施設も多く健在していて、遊ぶには不自由しない。
「それほど待ってなかったよ。早かったね」
「はい。なんだか待ちきれなくて…それに先輩を待たせる訳にはいきませんし」
う〜ん、やっぱ、いい娘だなぁ。真澄ちゃん。
俺は早めに来るのが性分だったが、真澄ちゃんも同じらしい。まだ1時まで5分位ある。
弘の奴なんかは2、30分遅れて来るの当たり前だからな。でも俺も早めに来ていてよかったよ。
「それで、先輩、何処に行きましょうか?」
「真澄ちゃんは何処か行きたい所ある?」
「う〜ん、先輩におまかせ」
「よし、それなら…」
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