【 ら行 】


 ラヴァーズ・キス  ★★★

【2003年 : 日本】
 監督:及川中/音楽:松本晃彦
 出演:平山綾(川奈里伽子)、宮崎あおい(川奈依里子)、
    市川実日子(尾崎美樹)、石垣佑磨(鷲沢高尾)、
    成宮寛貴(藤井朋章)、阿部進之介(緒方篤志)  他

秋の鎌倉を舞台に、男女6人の高校生たちの揺れ動く恋愛模様を描く青春ラブ・ストーリー。
老舗料亭の長女である里伽子(平山綾)は、過去の苦い経験からあるトラウマを抱えていた。それを誰にも打ち明けられないまま親の前では“良い子”を演じているが、実際は夜遊びにふける毎日。妹・依里子(宮崎あおい)はそんな要領のいい姉が厭わしくてならない。そのうえ依里子が密かに想いを寄せる姉の親友・美樹(市川実日子)は里伽子を好きなのだと気付いてしまい、ますます嫉妬が募る。
一方、大病院の息子・朋章(成宮寛貴)はかつて明るく優しい少年だったが、ある時期を境にすっかり変わってしまい、今では悪い噂が絶えない。そんな彼が気が気でならない後輩の高尾(石垣佑磨)は、自分の気持ちが恋心なのだと気付いていた。そして、高尾の同級生・緒方(阿部進之介)はそんな高尾に恋しているのだ。
この複雑で微妙な関係が、里伽子と朋章の出会いによって次第に均衡を崩し始めるのだが…。

これは「BANANA FISH」でおなじみ吉田秋生の原作で、コミックスの方はわりと好きでした。主要な登場人物、男女3人ずつの計6人が、なにやらそれぞれ小難しい片想いをしている高校生たちのお話です。
しかしこれ、いざ映像として見てみると妙にコッパズカシイんでございますよ。青春群像や少女漫画特有の不可思議なエキスとでもいいましょうか、台詞の内容やら言いまわしやらの初々しさを目にするたび、へたなエロビデオ見るよりムズムズといたたまれない感じが致します。まあ、この作品に限って言えば、そのキャスティングにも原因があるような気もするんですが・・・。
具体的には、主人公の川奈里伽子を演じるのが平山綾。彼女と惹かれ合うちょっと影のある青年、藤井朋章役に成宮寛貴。んで、彼に片想いするおっとりした後輩・鷲沢高尾役に石垣佑磨。
実際のところ原作と映画ではキャラクターの雰囲気がだいぶ違ってます。石垣くんはたいへん元気な芝居をしてますが微妙に元気が空回りな感じもありまして、そこもちょっとムズムズポイントでした。鷲沢高尾はああいうキャラじゃないと思うんだけどなあ・・・。
あとは宮崎あおいとか市川実日子なんかが出てますが、そこらへんはわりと無難なお芝居で普通に見られましたよ。特に、藤井朋章に片想いする鷲沢高尾にさらに片想いする関西人(ややこしい!)、緒方篤志を演じている阿部進之介くんがなかなかいい味だったと思います。そういえば彼がコメンタリーで、劇中の石垣くんがともかく可愛かったこと、ちゅうがとっても気持ちよかったことなどを訊かれてもいないのに(それも本人の前で)延々語っていたのがたいへん微笑ましかったです。(笑)
それにしても、改めて考えてみるとこの話、ノーマルカポーは一組しかいないじゃないですか。ある意味えらいことですな。やっぱりこういう物語は、吉田秋生のあの絵柄とあの雰囲気でこそしっくりまとまるのであろうかと、今さらなことをしみじみ思ってしまったことでした。



 ラストエンペラー  ★★★★

【1987年 : イタリア・イギリス・中国】
 監督:ベルナルド・ベルトルッチ
 音楽:坂本龍一、デヴィッド・バーン、スー・ソン
 出演:ジョン・ローン(愛新覚羅溥儀)、
    ジョアン・チェン(婉容)、
    ピーター・オトゥール(レジナルド・ジョンストン)、
    坂本龍一(甘粕大尉)、
    マギー・ハン(イースタン・ジュエル)、
    ウー・ジュン・メイ(文繍) 他

清朝最後の皇帝・溥儀の人生の軌跡を壮大なスケールで描いた歴史大作。
1950年、ハルビン駅。次々と中国人戦犯たちが送りこまれる中、そこには“清朝最後の皇帝"愛新覚羅溥儀(ジョン・ローン)の姿もあった。彼は人目を避けてトイレに逃れると、自らの手首を切って自殺を図る。
そして薄れ行く意識の狭間、わずか3歳で清朝皇帝の地位につき、激動の時代を走り抜けた我が身を思い返すのだった・・・。

中国の歴史をイタリアのベルトルッチが英語で撮ってしまうという、まさしく「ラストサムライ」もしくは今度の「SAYURI」を彷彿とさせる製作背景ですが、それをものともしない完成度ではないかと思います。
まあ、あの時代にあれだけ英語が飛び交うことに違和感がなくはないけど、見るべきはそこじゃないしね。
人に歴史あり、てのはよく聞く言葉ですが、溥儀の人生はまさしく中国の歴史そのものです。
でもそれは決して本人の望んだことじゃないのですね。好きで波乱の人生を歩む人もいるけど、歴史の教科書に載ってる人の人生なんて、気が付くと見えない何かの力によって引っ張られてしまった、っていう人がほとんどじゃないかと思います。どうして自分が?って戸惑いつつも既に変えようがなくて、流れの中で必死に岸辺を探してる感じ。 人間の一生というのはほんとに不思議なもんです。なぜそこに生まれたのか、なぜその時代で、その地位で、その道を歩むことになったのか。選べないものの中に囲まれて、それでも精一杯何かを選び取ろうとした溥儀という人の、晩年の達観した姿が胸に沁みます。
最後のシーンはさすがにぐっときてしまいました。語り尽くせないほどの困難が詰まった彼の人生。
だけどそれは、歴史の一ページからすればあんなにあっけない一言に収まってしまうのね。彼の一生を映画の中で追ってきた観客が、はっとするシーンだと思います。 ああー、思い出してもなんか切ないなあ・・・。



 ラスト・オブ・モヒカン  ★★★☆+☆

【1992年 : アメリカ】
 監督:マイケル・マン
 音楽:トレヴァー・ジョーンズ 、ランディ・エデルマン
 出演:ダニエル・デイ=ルイス(ホークアイ)、
    マデリーン・ストウ(コーラ)、
    エリック・シュウェイグ(ウンカス)、
    ジョディ・メイ(アリス)、
    ラッセル・ミーンズ(チンガチェック)、
    スティーヴン・ワディンソン(ヘイワード少佐) 他

18世紀、建国前のアメリカ東部を舞台に、インディアンに育てられた白人青年とイギリス人大佐令嬢の愛を描く歴史ドラマ。
ダニエル・デイ=ルイ〜ス!猛然と走るダニエル!カックイー!(惚)
パンクなあんちゃんやら理屈っぽい紳士やらを演じてる彼を見たあとでは、まさに輝いてますモヒカン!
彼は本当にカメレオン俳優ですね・・・・私は満足です・・・。
1757年、独立前夜のアメリカ東部で英軍を率いる父に会うため、植民地争いの最前線へと向かっていた娘コーラ(マデリーン・ストウ)と妹アリス(ジョディ・メイ)。ところが道中、仏軍側のインディアン・ヒューロン族に襲われて危ういところを、モヒカン族の酋長とその息子たちに救われます。酋長の名はチンガチェック(ラッセル・ミーンズ)。息子のうちウンカス(エリック・シュウェイグ)は純粋なモヒカン族ですが、ホークアイ(ダニエル・デイ=ルイス)は白人で、イギリス人開拓者の孤児だったところをチンガチェックに拾われ、彼の息子同然に育てられたのでした。
身分も慣習も考え方も違うコーラとホークアイですが、 コーラはもともと勇敢で情熱的な娘であったため、そんな彼女に一目置くホークアイとの間に愛情が芽生えていきます。
なんですかねー、ヒロインに横恋慕する少佐が出てきたり、叶わぬ恋の悲しい顛末があったりでラブロマンスとしてはまさに王道かと。しかし王道をこれだけ堂々とやってくれれば文句ないです。しつこいようですが駆け抜けるダニエルの勇姿に☆一個ぷれぜんつ。



 ラストサムライ  ★★★☆+☆

【2003年 : アメリカ】
 監督:エドワード・ズウィック/音楽:ハンス・ジマー
 出演:トム・クルーズ、 渡辺謙、ティモシー・スポール、
     ビリー・コネリー、トニー・ゴールドウィン
    真田広之、原田眞人、小雪 他

日本の封建制度が崩れた19世紀末。かつて参戦した原住民討伐戦に失望し、酒に溺れる日々を送っていた南北戦争の英雄・オールグレン(トム・クルーズ)は、一日も早い近代化を推し進めていた明治新政府よって軍隊の教官として招かれる。だが初めて侍と戦いを交えた日、負傷したオールグレンは捕えられ、勝元(渡辺謙)の村へ運ばれた。
勝元は天皇に忠義を捧げながら、武士の根絶を目論む官軍に反旗を翻している男。異国の村で侍の生活を目の当たりにしたオールグレンは、やがてその静かで強い精神に心を動かされていく・・・。

劇場で予告を見たときからなんとなく気にはなっていたものの、実際見たのはDVDが発売されてから随分経った頃でした。実際に見てみますと、噂通り外国人のスタッフが作り上げたとは思えない丁寧な仕事ぶりに驚かされます。気が付けばトム・クルーズの作品って名前は知ってるのにちゃんと見たものがほとんどなくて、芝居をしているトムさんを見るのは久しぶり。(その他ではよく見る。ワイドショーとか。)
そして久々のトムさんを迂闊にもカッコイイとか思ってしまう自分。(笑)
外国の人って東洋文化の妙な部分に惹かれやすいというか、時に買い被りやすいなと思うんですが、本作はそれを適度に押さえつつ、でもそこはかとなく漂わせつつ、日本人としてはちょっとこそばゆいような描き方をしてますね。実際の武士の生活はあんなに美しかったわけではないし、 「食わねど高楊枝」的な人間くさい部分もたくさんあったはずなのですけど。
日本文化をたっぷり勘違いした海外作品が多い中、本作で「アレ?」と思ったシーンは最後の方の一カ所くらいです。他にもチラホラあったかもしれないけど、明らかなのはそれくらい。
渡辺謙、真田広之、小雪という邦人キャストのはまり具合も功を奏したと思います。時代劇慣れした前者のベテラン二人はもちろんのこと、小雪の凛とした佇まいはとても絵になってました。台詞回し云々を差し引いても余りある美しさです。立ってるだけで雰囲気がある女優って、最近の若手ではほんと少ないからね。
多分、日本の映画会社が外国人俳優引っ張ってきて日本のスタッフで作っていたらさほど珍しい映画にはなっていなかったと思います。ストーリー的にも特に突飛なわけじゃないし。
ただ、外国から見た日本という視点で頑張って作ってくれたなあという気がしますんで、そのへんに敬意を表して星半分オマケしときました。



 ラブ・アクチュアリー  ★★★★

【2003年 : イギリス】
 監督:リチャード・カーティス
 音楽:クレイグ・アームストロング
 出演:ヒュー・グラント、リーアム・ニーソン、エマ・トンプソン    アラン・リックマン、コリン・ファース、ローラ・リニー、    キーラ・ナイトレイ、ローワン・アトキンソン、
    ビリー・ボブ・ソーントン、ビル・ナイ、
    アンドリュー・リンカーン、マルティン・マカッチョン、     ジョアンナ・ペイジ、クリス・マーシャル  他

クリスマスを目前にしたロンドンを舞台に、男女19人のさまざまな恋愛模様を描く群像ラブ・コメディ。

劇場公開してる時からとっても観たかった作品です。まあフトコロ具合の都合もあって、結局はレンタル待ちになってしまいましたが・・・。
まず一番に感心する点は、よくこれだけの登場人物を混乱させることなく、また一人もおろそかにすることなく、あたたかく、愛情を持ってきちんと描いたもんだなあということです。群像劇というのはさまざまなストーリーが交錯するぶん構成力が問われるため、難しいようで本当に難しいジャンルだと思うのですが。
監督は「ノッティングヒルの恋人」「ブリジット・ジョーンズの日記」の脚本家リチャード・カーティスなんだそうです。なんともいえないあの間合いとユーモアは、ナルホド納得かもしれません。
ヒュー・グラントやエマ・トンプソン、コリン・ファース、ローワン・アトキンソン、キーラ・ナイトレイなど英国を代表する新旧の俳優が豪華揃い踏み。それぞれがあちこちで共演している顔ぶれなので呼吸もピッタリ、絶妙の掛け合いを見せてくれます。またそうしたベテラン勢に負けず劣らず、その他の恋人たちやロック歌手、恋する少年の子役なども秀逸。共感を呼ぶとてもナチュラルな芝居で、彼らが生活する物語の世界をちょっと上から覗き見させてもらった感じでした。
個人的にはやはり、ヒュー・グラントが得意な分野でまたやってくれた!と満足しきりです。「トゥー・ウィークス・ノーティス」を見た時には彼もだいぶ老けてきたなァなどと思ったのですが、本作ではまたちょっと若返ったか?最近演じることの多かった『不誠実でのらりくらり』といったヘタレ中年像がいささか洗練され、ヘタレはヘタレでも恋に正直で、何よりアメリカにNOと言えるヒュー仕様の英国首相は奇妙なダンスっぷりも冴え渡るイイ男でございました。
誰も皆、なんの苦労もなしに幸せになれるわけではありません。出会いもいろいろ、想いを深めていく過程もいろいろ。中にはすれ違いもあれば、疑いの気持ちに涙することも、叶えられたはずの恋を逃すこともある。そんなどこにでもありがちな、誰もが心当たりのあるあったかくてちょっとせつない恋の気持ちがたくさんつまった素敵な作品です。 やっぱりクリスマスの前後に観るのが絶対オススメ。



 リアリティ・バイツ  ★★★☆

【1993年 : アメリカ】
 監督:ベン・スティラー/音楽:カール・ウォリンガー
 出演:ウィノナ・ライダー(リレイナ)、
    イーサン・ホーク(トロイ)、
    ベン・スティラー(マイケル)、
    ジャニーヌ・ギャロファロ(ヴィッキー)、
    スティーヴ・ザーン(サミー) 他

90年代の、いわゆる【ジェネレーションX】世代の若者たちが社会の様々な現実に向き合う中で、本当に探し求めていたものに出会うまでを綴った青春映画。
未来への希望を抱いて大学を卒業したリレイナ(ウィノナ・ライダー)だったが、TV局に就職し実際に社会に出てみると現実は厳しく、やりたい仕事を満足にできずルーティンワークに追われる日々にうんざりしていた。そんなある日、彼女は親友のヴィッキー(ジャニーヌ・ギャロファロ)と出かけたドライブで衝突事故に遭う。相手がMTV編成局長のマイケル(ベン・スティラー)と知り、面識を深めるにつれて心がときめくリレイナ。
やがて男友達のトロイ(イーサン・ホーク)やヴィッキー、トロイの仲間のサミー(スティーヴ・ザーン)という4人で同居生活を始めた彼女は、自分たちの世代を表現したドキュメンタリーを発表したいという夢のために、仲間たちへとビデオカメラを向ける。世の中への不満、焦り、諦め、希望を訥々と口にする友人たち。
中でもトロイはリレイナにひそかな想いを寄せていた。だがリレイナの関心は、今もマイケルへと向けられている。やりたいことが見つからない、見つかっても現実にはうまくいかない。苛立ちの中で迷い、葛藤する彼らが探しだす答えとは・・・。

これぞ青春映画。イーサン・ホーク若い。ウィノナ・ライダー可愛い。なにもかもが初々しい。
そして監督がベン・スティラーだったとはな!コメディでの突き抜けたアホっぷりを拝見していたので、その彼が若干28歳でこの作品を撮ったとは全く驚きです。そして自分もきっちり出ているわけなのね。(笑)
ジェネレーションX、という言葉はあんまり耳にしたことなかったのですが、アメリカのベビーブーム後に当たる'60年代後半〜'70年代半ばまでに生まれた世代の総称なんだそうです。「X」は「よくわからないもの」を表す言葉で、この世代の特徴としては、無気力で何を考えているのかが分からず、旺盛な批判精神、環境への関心の高さなどが挙げられるとか。時代的に就職難だったこともあり、親のスネかじりながら「やりたいことがわかんなーい」とぶつくさ言っていた若者たちを、その頃の大人は怒り半分ビックリ半分で眺めていたんでしょうね。
自分の将来に不安と迷いを感じるのはいつの時代の若者も同じこと。じたばたとあがいている主人公たちの格好悪さは、彼らなりに懸命なのだと思わせる反面、なんだかんだ言って親に頼ってる甘ちゃんなリアリティも上手い具合に描かれてると思います。



 リーグ・オブ・レジェンド 時空を超えた戦い  ★★★☆

【2003年 : アメリカ】
 監督:スティーブン・ノリントン/音楽:トレバー・ジョーンズ
 出演:ショーン・コネリー(クォーターメイン)、
    スチュアート・タウンゼント(ドリアン)、
    ナサーラディン・シャー(キャプテン・ネモ)、
    ペータ・ウィルソン(ミナ)、
    シェーン・ウエスト(ソーヤー)、
    ジェイソン・フレミング(Dr.ジキル)、
    トニー・カラン(スキナー) 他

1899年、ロンドン。ある日、中心部にある英国銀行が謎の軍団によって襲撃された。
超近代兵器で武装したその軍団は、金塊や札束や宝石類には手をつけず、古い海上都市の設計図面だけを盗んでいったという。英国政府はアフリカで悠々自適の生活を送る伝説の冒険家アラン・クォーターメインのもとに使者を送り、世界大戦の勃発を防ぐため、超人的な能力をもつ特殊チームのリーダーになることを依頼。
渋々ながら承諾したクォーターメインはロンドンヘ向かう。
そこで彼を迎えた軍事情報部の“M”と名のる男は、ヨーロッパ国家間のテロ行為の黒幕が、“ファントム”であることを説明し、間もなくベニスで開かれるヨーロッパ列強による極秘の和平会議の妨害を阻止するよう命じる。かくしてクォーターメイン以下、潜水艦ノーチラス号のネモ船長、透明人間のスキナー、半吸血鬼のミナが集まり、“ザ・リーグ”が結成される。さらにロンドンで不死身の男ドリアン・グレイと、“ファントム”の兵士として潜入捜査していたアメリカの諜報員トム・ソーヤー、パリに潜伏していたジキル&ハイドを仲間に加え、7人チームとなった“ザ・リーグ”は、“ファントム”の野望を阻むため、世界を股にかけた戦いの旅に出るのだった・・・。

モンスターもどきが集まってみんなで悪者退治する話なんだなー、ということは一応知っていたのですが、ジェイソン・フレミングが出てなきゃ多分見てなかった作品です。あれだけ内輪揉めの話が出てるとねえ・・・映画の中身には関係ないとはいえ、出来上がりとしてはどうなのさとかボンヤリ思っちゃった。
実際見てみますと、画面づくりはなかなか凝っていたような気もします。ネモ船長の軍艦とか、絶対あり得ないけどかっこいい。しかし船があれだけ綺麗に作れるのに、なんで海底のCGはあんなにショボイのだ?
出てくる人間はまあほとんど人間じゃないのでアレですけども、ショーン・コネリーは相変わらずカックイーですね。あの年であのアクションができるって驚異。あとは不死身のスチュアート・タウンゼントが素晴らしく美形でした。「クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア」見るべき?(こっちは吸血鬼なのかい・・・)
肝心のジェイソン・フレミングは、もしかしてもしかしてとドキドキしながら確認したところ、予想に違わず大猿で大暴れでした。・・・や、いーんだけどね。根本的にイイヤツだったし。
事件の黒幕は誰かとか裏切り者は誰かという点を軽く推理しつつ進むドラマは、アクションを適度に交えることで退屈させずよかったと思います。凝ったヒューマニズムをアクションに求めるのは無謀だろうから細かいことは言わずにおこう。・・・だとしてもあの終わり方、続編を匂わせてるの?ていうか可能なの・・・?



 リスキーブライド 狼たちの絆  ★★★

【1999年 : アメリカ】
 監督:タムラ・デイヴィス/音楽:マーク・マザースボウ
 出演:ショーン・パトリック・フラナリー(ビリー)、
    ディーン・ケイン(バズ)、
    ドリュー・バリモア(ホープ)、
    アンディ・ディック(テディ)、
    ミッチェル・ホイットフィールド(ソル)、
    ルーク・ウィルソン(ジェス)、
    フレッド・ウォード(バド) 他

旧友の結婚式に出席するはずが一転、強盗一味として銀行に居座る羽目になったかつての仲間たちとその顛末を描くバイオレンス・アクション。
ある事情から刑務所に入っていたジェス(ルーク・ウィルソン)の出所の日。晴れて恋人ホープ(ドリュー・バリモア)との結婚式を迎える彼のために、 高校時代からの友人が集まってきた。俳優志望のビリー(ショーン・パトリック・フラナリー)、元グリーン・ベレーのバズ(ディーン・ケイン)、気の弱い妻帯者テディ(アンディ・ディック)、皮肉屋の弁護士ソル(ミッチェル・ホイットフィールド)。久しぶりに顔を合わせ、複雑な想いを隠しながらも再会を喜ぶ5人。だが式場に向かう途中、その内の一人がおもむろに車から降ろしてくれと言い出した。不審に思った仲間が後を追うと、彼は銀行へ。なんと彼は、近頃世間を騒がしている“ハムレット強盗”だったのだ・・・。

おもいっきし「狼たちの午後」のパクリです。それは作中でもはっきり意識してます。
それにしても登場人物たちの会話がイロイロおかしいだろ。(笑)
強盗に入る理由としては(迷惑加減からして)まあどっちもどっちですが、ドラマの練り方という点でいえばもちろん本家「狼たちの午後」には足元にも及びません。もしソニーの配偶者がちゃんと女で、なおかつソニーに対する愛情を最後まで持っていたら、という流れなんですかね、一応。
そんで、あれよあれよと巻き込まれた仲間たちの死闘(?)を描く。のか?そういう説明で合ってるのか?
だいたいなんでこんなとこに出てるんだろう、ドリュー・バリモア・・・。
とりあえず、ショーン・パトリック・フラナリーが見たかったんです。そういう理由でいくつも作品を見ていますが、それ以外に感想を述べようもない作品が多くて困ります。強いて言うならこれしかありません。
「てゆーかお前が元凶かよ!!」 (裏拳ツッコミ)
作品選びをどうにかしろとか言いたくなる気持ちをグッと押さえ、ここはにこやかにお別れいたしましょう。
アクション作品としては、フツーです。微笑。



 リターナー  ★★★☆

【2002年 : 日本】
 監督:山崎貴/音楽:松本晃彦
 出演:金城武(ミヤモト)、鈴木杏(ミリ)、岸谷五朗(溝口)、    樹木希林(謝)、高橋昌也(劉老板)  他
    

裏稼業の男と、人類の危機を救うために未来からやって来た少女が繰り広げる戦いを描いたSFアクション。
裏稼業リターナーとしてミヤモト(金城武)がこなす仕事は、ブラック・マネーを強奪しそれを依頼者に戻すこと。彼はある人身売買の取り引き現場で、かつて親友を殺した仇敵・溝口(岸谷五朗)に出会うが、突然現れた少女・ミリ(鈴木杏)のせいで取り逃がしてしまった。
なにやら事情が有りそうなこの少女に半ば脅されるようにして、彼女の探し物に付き合うことになったミヤモト。実はミリは2084年からやって来た未来人で、人類を絶滅寸前に追い込むことになる宇宙生物・ダグラの最初の一匹を倒すことが目的だという。既に地球に侵入しているゲートダグラはすでに溝口の手に渡る寸前だと知り、半信半疑で潜入した筑波の宇宙開発研究所で目にした光景はミヤモトをも驚かせるものだった。
かくして二人は、未来の地球を救うべく溝口に戦いを挑むのだが・・・。

フ フ フ。なんかあらすじ書いてて笑えてきた。
でも日本製SFの中ではけっこう頑張ってたと思うですよ。カネシロ好きの弟から借りたのですが、なんとなくちゃんと見ちゃった。
金城くんはやっぱり長身でハンサムで見栄えがします。惜しむらくはあの声というか喋り。もともとソフトな声音なので、アクションとかの場面でもイマイチ緊迫感がないんですよね。そんでやっぱり日本語よりは英語の方が滑舌はいいのかしら。英語さっぱりなんで確かめようがないですけど。
鈴木杏ちゃんも大きくなりましたなあ。「ヒマラヤ杉に降る雪」を見てそんなに経ってない頃に鑑賞したので、なんかビフォーアフターを目の当たりにした気分。岸谷氏も悪役すんごく楽しそうでした。
未来と現在の関係の見せ方がなかなかおもしろくて、リターナーという言葉の二重の意味がわかると「ほーう」とか思ってしまった。杏ちゃんの頑張りですね。



 リトル・ヴォイス  ★★★☆

【1998年 : イギリス】
 監督:マーク・ハーマン/音楽:ジョン・アルトマン
 出演:ジェイン・ホロックス(LV)、
    ユアン・マクレガー(ビリー)、
    ブレンダ・ブレシン(マリー)、
    マイケル・ケイン(レイ・セイ)  他

無口な少女の秘めた才能が一気に開花するさまを、スタンダードナンバーに乗せて描いたドラマ。
父の死後、誰とも口を利かなくなった少女エルヴィ(ジェイン・ホロックス)。 本名はローラなのに、母親マリー(ブレンダ・ブレシン)は寡黙なのをバカにして彼女をリトル・ヴォイス「LV」と呼ぶ。そんなエルヴィの唯一の楽しみは、形見のレコードに合わせてスタンダードナンバーを口ずさむことだ。そしていつしか彼女はレコードそっくりに歌える才能を身につけていた。
一方、電話工事で彼女の家を訪れたビリー(ユアン・マクレガー)はいつも黙ってはにかむばかりのエルヴィが気になって仕方がない。だがレース鳩の飼育が趣味という彼もまた、内気な性格のせいでなかなかはっきり言い出せないのだった。
そんなある日、母親マリーの誘いで家に訪れていたブロモーター、レイ・セイ(マイケル・ケイン)がエルヴィの歌声を耳にし、ステージに立つことを持ちかける。気乗りしないエルヴィは、レイ・セイとマリーの強い勧めから、一度だけの約束で舞台に立つことになったのだが・・・。

監督さんは「ブラス!」のマーク・ハーマン。よっぽど音楽好きな人なんですねえ。
驚くべきはなんといってもジェイン・ホロックスのパフォーマンスです。七色の声とはまさにこのこと。
歌っているナンバーはマリリン・モンローなどの時代なので残念ながらほとんどわからないんですが、それでもあれだけ歌い分ける力量や、歌い出すとまるで別人のような豊かさを見せるあの表情の変化は感心しきりでした。今回のユアン・マクレガーはこれまた善良で優しくて気の弱い、素敵な凡人。いつになく爽やかに演じてました。それから、エルヴィの母親マリーは欲深で高慢で見栄っ張りで口が悪いというかなりインパクト系の女性です。見ていても凄くハラ立つというか、エルヴィが無口なだけにこっちの方がイライラしてくる。
だけどよくよく観察すると、彼女の焦りや不安といったものが伝わってくる気がします。穏やかなばかりで何を考えているかわからなかった旦那に死なれ、その性質を受け継いだエルヴィのこともやっぱり理解できないし、自分はどんどん年をとって女としての魅力もなくなってくる。自業自得とはいえ、彼女が最後に見せる哀愁に満ちた表情はブレンダ・ブレシンの一番の見せ場だと思います。



 リトル・ダンサー  ★★★★

【2000年 : イギリス】
 監督:スティーヴン・ダルドリー/編曲:ジョン・ウィルソン
 出演:ジェイミー・ベル(ビリー)、ゲアリー・ルイス(父)、
    ジェイミー・ドラヴェン(トニー)、
    ステュアート・ウェルズ(マイケル)、
    ジュリー・ウォルターズ(ウィルキンソン夫人)  他

バレエ・ダンサーを目指す少年の成長と、彼を見守る家族や友人の姿を描くヒューマンドラマ。
1984年、ストライキに揺れるイングランド北部の炭坑町。母親を亡くし、炭坑労働者の父(ゲアリー・ルイス)と兄のトニー(ジェイミー・ドラヴェン)を持つビリー(ジェイミー・ベル)は、ボクシング教室に通っているが、試合に負けてばかりの11歳。そんなある日、偶然目にしたのがウィルキンソン夫人(ジュリー・ウォルターズ)のバレエ教室だった。その様子に強く惹かれ、女の子たちに混じって練習を始めるとすぐに夢中になったビリー。ウィルキンソン先生はどんどん上達する彼に自分が果たせなかった夢を重ね合わせ、熱心に指導を続けるが、ビリーがボクシング教室のための金をバレエに使っていたことを知った父は激怒する。
それでも父に見せつけるように力強くステップを踏むビリー。そして息子のバレエを初めて目の当たりにした父は・・・。

思春期の少年が抱える豊かな感受性や、ひとつのことに一生懸命になる熱意、素直になれずについ意地を張ってしまうビリーの子どもらしい姿が本当に微笑ましいです。
ビリーを演じるジェイミー・ベル君は、いつも何だかムスッとした顔で眉間にしわを寄せているのですが、ふいに笑うとすごくかわいい。途端に少年ぽい表情になりますね。友人のマイケルに「言わないよ」と笑いかけたあの笑顔どう!?お姉さんはメロリンだよ!
ビリーは心根の優しい子ですが、そういう部分を表に出すのが苦手なタイプでもあります。ぶっきらぼうで口が悪く、容易く大人を信じたりはしません。でも家族や友達のことは本当に大切にできる子なのです。
そんな彼を時に叱り、時に励ますのが父と兄。男っぽく荒っぽいやり方ながら、まだ幼い彼の夢をどうにか叶えてやろうと必死になる姿にはうっすらナミダがちょちょぎれました。ビリーのバスを見送りながら、「淋しいよ!」と叫んだお兄ちゃん。再び炭坑のエレベーターに詰め込まれていく親子の姿。うう、たまらん。
なんだか不遇なウィルキンソン夫人の扱いには少々腑に落ちない部分もあるものの、人と人とのつながりにはそういう掛け違いが出ることもあるのかなと思います。彼女もきっと本当はわかってくれてるのでしょう。
炭坑の町を舞台とした作品には他にも「遠い空の向こうに」や「ブラス!」などがありますが、いずれも人間味溢れるあったかい物語になっています。厳しく辛い生活を送った当時の人々の、小さな希望や喜びを扱った作品だからかもしれません。
最後にちらっと出てくるバレエダンサーを演じているのはアダム・クーパー。劇中の「スワンレイク」は有名ですが、2004年にも主演ミュージカルのために再来日した世界的なダンサーです。ほんとにちらっとしか出ないけど、やはり素晴らしく美しいシルエットでございますね。たったあれだけのショットなのに、なんか「すげー・・・」って惚けちゃいました。