フィフス・エレメント  ★★★☆

【1997年 : フランス・アメリカ】
 監督:リュック・ベッソン/音楽:エリック・セラ
 出演:ブルース・ウィリス(コーベン・ダグラス)、
    ミラ・ジョヴォヴィッチ(リールー)、
    ゲイリー・オールドマン(ゾーグ)、
    イアン・ホルム(コーネリアス神父)、
    クリス・タッカー(ルビー・ロッド) 他

遙かな未来、地球存亡の危機に立ち向かう男と異星の少女の活躍を描いたSFエンターテインメント。
2214年、NY。地球には宇宙の彼方から正体不明の巨大なエネルギー体が接近しつつあった。神父コーネリアス(イアン・ホルム)はそれが5千年に一度地球にやっくる邪悪な反生命体であること、それを退けるには300年前にも地球にやってきたモンドシャワン星人の持つ4つの石が必要である事を宇宙連邦評議会に提言するが、モンドシャワンの船は武器商人ゾーグ(ゲイリー・オールドマン)の命令を受けたエイリアンによって破壊されてしまう
一方評議会がモンドシャワンの細胞を復元させると、そこに出現したのは赤い髪の美しい少女・リールー(ミラ・ジョヴォヴィッチ)だった。だが言語を理解できないリールーは研究所から脱走し、コーベン・ダラス(ブルース・ウィリス)の運転するタクシーに拾われる。元・統一宇宙連邦軍の精鋭で今はしがないタクシー運転手のコーベンは、成り行きで評議会からの任務を受け、リールーを惑星フロストン・パラダイスまで連れていく事になるのだったが・・・。

リュック・ベッソン作品の中でも気持ちいいほど酷評されてる本作。このお祭りっぽい感じ、私は結構好きなんですがダメっすかね。まあ確かに100億円もかけなくたってよさそうなもんだとは思いますが。(笑)
彼が16歳の時に思いついたネタというだけあっていかにも夢物語、ストーリーとしてはわかりやすいというかいっそ稚拙な印象さえ受けますが、そこはそれ大枚を投じているだけあって勢いでねじ伏せております。
視覚効果といいキャストといい、ベッソン君がやりたいようにおやりなさいとどこかのパトロンでも微笑んだのかというほど豪華絢爛。エンターテイメントを貫くとはこういうことを言うのではありませぬか皆さん。
ゲイリー・オールドマン好きの友人は彼の登場シーンを見た途端に視神経が続きを見ることを拒否したと言っておりました。生憎当方はオールドマンには特に思い入れがなかったためかなんのショックも受けませんでしたけれども、まあ強烈な見た目だったことは確かなので、その頃俳優にはサッパリ疎かった私は今でもゲイリーといえばあのお姿が浮かんでしまい正直困っております。ある種のすり込みに近いかもしれません。
別にこれといって後に何も残らない作品ではありますが、まあたまにはこういうアホらしい贅沢もいいんじゃないかと私などは呑気に思うわけでございます。



 フィラデルフィア  ★★★☆

【1993年 : アメリカ】
 監督:ジョナサン・デミ/音楽:ハワード・ショア
 出演:トム・ハンクス(アンドリュー・ベケット)、
    デンゼル・ワシントン(ジョー・ミラー)、
    アントニオ・バンデラス(ミゲール)、
    ジェイソン・ロバーズ(ウィラー社長)、
    ジョアン・ウッドワード(サラ) 他

エイズを発病したために解顧された男と、その元ライバルで同性愛嫌悪者でもある2人の弁護士が、差別と偏見という見えざる敵に対し、やがて共に闘いを挑む様子を描く社会派ヒューマン・ドラマ。

HIVを描いた作品というのは得てして悲壮感が漂うものですし、実際に同性愛者がそういう描かれ方を歓迎するかどうかというのは別として、とりあえずこの問題を広く世間一般に知らしめよう、それにはやはり好感度と実力のともなったアメリカ代表トム・ハンクスだ!という経緯が目に見えるようです。
そしてその思惑通りまさに泣かせよう感動させようという意図が見え見えのハリウッド印映画なんですが、それでもなお目頭をシビレさせるトム・ハンクスの演技は本当にすごい。鬼気迫るとはまさにこのこと。
そういやこれでアカデミー賞を獲った時の彼のスピーチが、その後「イン&アウト」でパロディにされたわけですな。うーん、長い目で見てナンボのオチです。
それにしても、トム・ハンクスとアントニオ・バンデラスの挨拶めいたキスシーンでさえ後ろ姿しか撮らないっつーハリウッド映画の変な気の遣いようが笑える。



 ブエノスアイレス  ★★★☆

【1997年 : 香港】
 監督:ウォン・カーウァイ/音楽:ダニー・チャン
 出演:レスリー・チャン(ウィン)、
    トニー・レオン(ファイ)、
    チャン・チェン(チャン) 他

別れたりくっついたりを繰り返している男二人のカップルが、南米ブエノスアイレスを舞台にさすらう人生模様を綴った一編。
トニー・レオンはそもそもニセの台本を渡されてこの映画に参加したというだけあって、実はゲイの役だったと知った時は相当ショックだったようです。ご愁傷様・・・。そしてウォン・カーウァイ作品にありがちな、筋書きも決まらぬままひたすら延び続ける撮影期間。アジアの裏側ブエノスアイレスでぼんやり過ごすうちにすっかりホームシックになってしまい、気分はまさにファイそのものであったそうな。
そんな裏事情もふまえつつ、あらゆる芝居が文句ナシに素晴らしいトニー・レオン氏なんですが、やはりどうしても同性愛者を演じる事への抵抗感からか、相手にぞっこんであるゲイの男、という雰囲気はあまりしません。もちろん、ワガママすぎる恋人にいい加減うんざりしてるってのもあるんですが、切っても切れないほどの湿った情があるようには見えないんだな。
一方のレスリー・チャンこそはですね、さすがと言っていいものかどうか、まさにズバリでございます。自分がどこまで許されているのか、相手を傷つけてでも試してみたい破滅型の男にばっちりはまっている。ガラスのコップを高い所から落とす時、人はその高さで割れなければさらに上から落としてみたくなるといいます。そうやって何度も試して、実際に割れてから初めて、もう元には戻らないんだと思い知るんですね。
低く流れる音楽に合わせて、うまくもないタンゴを踊るふたり。妙な色気と儚さが漂っております。
そういう疲れ切った恋の隙間から、新しい光をファイに見せてくれたのが健康的な青年チャンくん。彼は十中八九ストレートのようですが・・・それでもファイにとっては次の世界への入口なのかもね。
やけに突き抜けた明るいテンポのエンディング曲が、若者たちの悲しみと希望を一緒に運び去っていくかのようでした。



 フォー・ウェディング  ★★★☆

【1994年 : イギリス】
 監督:マイク・ニューウェル/音楽:リチャード・R・ベネット
 出演:ヒュー・グラント(チャールズ)、
    アンディ・マクドウェル(キャリー)、
    クリスティン・スコット・トーマス(フィオナ)、
    サイモン・カラウ(ガレス)、
    ジョン・ハンナ(マシュー)、
    ジェイムス・フリート(トム)、
    シャーロット・コールマン(スカーレット) 他

4つの結婚式と一つの葬式をモチーフに、男女の恋愛模様をコミカルに描いたラブ・ストーリー。
チャールズ(ヒュー・グラント)は32歳の独身貴族。ハンサムでリッチで女性にもモテるが、生粋のイギリス人気質が災いして、自分の気持ちを素直に表現することがうまくない。出会いがあっても生涯を共にする相手なのか自信が持てず、結婚となると途端に逃げ腰になってしまう始末だ。共に独身である気心の知れた仲間たちと、代わり映えのしない日々を送っている。
そんなある日、友人の結婚式に招かれた彼はアメリカ人女性キャリー(アンディ・マクドウェル)と出会う。才色兼美でチャーミングな彼女の魅力を前に彼はひと目で恋に落ち、さっそく果敢にアタック。結果、幸運にも彼女とベッドを共にする。だが婚約をほのめかす彼女の台詞を冗談と受け取ったチャールズに、キャリーは冷然と微笑んで立ち去っていった。その後彼女は富豪と婚約、チャールズは途方に暮れる。しかし彼らは招かれる結婚式のたびに顔を会わせ、関係はなにやら複雑に絡んでいく羽目に・・・。

本作の脚本は、11年間に65回もの友人の結婚式に出席したプロデューサーが「これまで無駄にした土曜日への腹いせ」に執筆したとのこと。いやはや、ご苦労様でした。おかげでカントリー風の和やかな式、ロンドンでの豪華な式、スコットランドでの独特な式など、いろんな英国風結婚式を見ることができて興味深いです。
しかしこの作品の難点は、個人的に主人公二人があまり好きになれなかったこと。 チャールズという男が優柔不断な性格であることは明らかですが、それが客観的に見て愛嬌の範囲であるかといえばちょっと疑問。同じ優柔不断でも、なんだか憎めないんだよなあという可愛さが彼にはあまり感じられません。また、相手役のキャリーにも似たようなことが言えます。大人の恋といえば聞こえはいいけど、本当はアナタどうしたいの?ということがちょっと伝わりづらかった。
その代わりと言っちゃナンですが、 チャールズを囲む友人たちはそれぞれにとてもユニークで魅力的です。
主人公たちの何倍も彼らの方が好きだな私は。チャールズに片想いをし続ける女性の格好いいこと。そしてある葬式で愛するパートナーに別れを告げる男性の、その静かな弔辞の感動的なこと。
あまり好きな作品とは言い難いのですが、脇を固めるキャラクターたちがとてもよかったのでそこが救い。
彼らのいきいきとした姿を思い返すと、主人公二人の勝手ぶりを差し置いても採点が甘くなってしまいます。



 普通じゃない  ★★★☆

【1997年 : アメリカ】
 監督:ダニー・ボイル/音楽監修:ランダル・ポスター
 出演:ユアン・マクレガー(ロバート)、
    キャメロン・ディアス(セリーン)、
    ホリー・ハンター(オライリー)、
    デルロイ・リンド(ジャクソン)、
    イアン・ホルム(ナヴィル)、
    ダン・ヘダヤ(ガブリエル) 他

天使の策略で出会った男女の恋の逃避行を描くラブコメディ。
天国の警察署にて、天使のオライリー(ホリー・ハンター)とジャクソン(デルロイ・リンド)は、署長ガブリエル(ダン・ヘダヤ)からある命令を受ける。それは、あまりにも増える人間界の離婚率に光明を灯すため、無理矢理にでもカップルを増やせというものであった。まず手始めにと選ばれたのはわがままなお嬢様セリーン(キャメロン・ディアス)と、その父ナヴィル(イアン・ホルム)の会社で清掃員をしているロバート(ユアン・マクレガー)。
オライリーとジャクソンの策略でロバートは仕事をクビになり、ガールフレンドにもふられ、車も没収されてしまう。怒りが頂点に達したロバートは解雇の恨みを晴らそうと社長ナヴィルのオフィスに乱入、勢いでそこにいたセリーンを誘拐するが、もともと人の好い彼は脅迫電話もまともにかけられない。イライラするセリーンにすっかり主導権を握られるロバート。だが逃避行の中で二人の心は少しずつ近づいていく。
果たして気の優しい凡人ロバートと超お嬢様セリーンの恋は、天使の目論見通り成就するのか・・・?

監督のダニー・ボイル、このナンセンスなストーリーを相変わらずの小洒落た音楽と映像で独特のラブコメに仕上げています。ユアンを主人公に据えた初期三部作の最後を飾る一本ですかね。
二人がバーでデュエットするシーンでは、歌が得意なユアン・マクレガーは相変わらず美声を披露していますが、キャメロン・ディアスはマズイです。わざとなのか?でも間違いなくマズイ感じです。(笑)
なんだかぎこちない二人のミュージカル風ステップはちょっと微笑ましかったですけどね。
なさけなーいユアンはとても可愛く、なさけなーいセリフの数々が大笑いでした。キャメロン・ディアスは容赦ない美人で、ある意味割り切ったワガママ加減が潔いです。「ピアノ・レッスン」のホリー・ハンターがここまで開き直ってコメディエンヌを演じたことも新鮮でした。ていうかブッ飛んだ。
バイオレンスでブラックで皮肉な笑いを誘うことが得意なダニー・ボイル作品にしては突き抜けた明るさもあり、娯楽作品としてはそこそこ楽しめました。



 不滅の恋 ベートーヴェン  ★★★★

【1994年 : アメリカ】
 監督:バーナード・ローズ/音楽監督:サー・G・ショルティ
 出演:ゲイリー・オールドマン(ベートーヴェン)、
    ジェローン・クラッペ(アントン・シンドラー)、
    イザベラ・ロッセリーニ(アンナ・M・エルデーティー)、
    ヴァレリア・ゴリノ(ジュリエッタ・グィチアルディ)、
    ヨハンナ・テア・シュテーゲ(ヨハンナ)、
    クリストファー・フルフォード(カスパール)  他

生涯を独身で通した楽聖ベートーヴェンがその遺書で触れた“不滅の恋人”の謎に迫るミステリー・ロマン。
1827年、ウィーンにて偉大な作曲家が世を去った。彼の名はルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン(ゲイリー・オールドマン)。その遺書には「私の楽譜、財産の全てを“不滅の恋人”に捧げる」として深い愛の言葉がしたためてあったが、肝心の宛て名はなく、誰を指して恋人と呼んだのか誰にも分からない。彼の弟子で親友のアントン・シンドラー(ジェローン・クラッベ)は、莫大な財産を欲しがる親戚たちを説き伏せ、ベートーヴェンの本当の心を知るため、彼女に宛てた手紙を手掛かりに“不滅の恋人”を捜し始めるのだが・・・。

耳が聞こえず、頑固で偏屈な天才音楽家として知られるベートーヴェンの知られざる恋を、一通の手紙から解き明かそうというちょっとミステリー仕立ての作品。その恋人というのが誰なのかが巧妙な流れで探り出され、気付けば最後までじっくり見入っておりました。
ベートーヴェンにもし本当にこういう過去があったなら、なんて悲運な人生だろうと思います。人を拒否するその裏側にものすごい情熱を秘めていて、しかし音楽以外にそれを表現する器用さを持たず、あれだけの音楽の才能がありながら自身の曲も、そこに向けられた人々の賛辞さえその耳で聴くことができない孤独な人です。本当は、アントンのように心から彼を慕う人間もいたんですけどね。晩年の彼はもう、生きることにすっかり疲れ果てていたのかもしれません。
しかし女というのは不思議なもので、そんな孤高の男に惹かれるところもあるようです。ベートーヴェンの人生にも彼を愛してくれる女性が幾人か登場しますが、ベートーヴェンが本当に愛したのはひとりだけ。最後に明かされる彼女の正体と、二人の恋、その結末になんだかやるせなーい溜息が出てしまいました。
ゲイリー・オールドマンの名演ぶりも素晴らしいです。達者な役者たちと華やかな時代背景、緊張感あふれる物語展開で、人間ドラマとしてすごく良くできてるなあと思いました。



 ブラス!  ★★★☆

【1996年 : イギリス】
 監督:マーク・ハーマン/音楽:トレヴァー・ジョーンズ
 出演:ピート・ポスルスウェイト(ダニー)、
    ユアン・マクレガー(アンディ)、
    タラ・フィッツジェラルド(グロリア)、
    スティーヴン・トンプキンソン(フィル) 他

廃坑で揺れる炭坑の町の名門ブラスバンドが、苦節をへてコンクールでの栄光をつかむまでを描いた群像劇。
1992年。イングランド北部ヨークシャー地方、炭坑の町グリムリーは炭坑閉鎖問題で揺れていた。結成百年の伝統を誇る名門ブラスバンド、グリムリー・コリアリー・バンドでもメンバーそれぞれが苦境に陥り、生活していくことすら危うい状況ではこの先バンドを続けていくことも難しい。だがバンドに全情熱を傾けるリーダー兼指揮者、ダニー(ピート・ポスルスウェイト)は、全英選手権に出場し、ロイヤル・アルバート・ホールで演奏して優勝することを夢見てメンバーにゲキを飛ばす。
そんな中、かつてのダニーの親友の孫娘で、フリューゲル・ホーン奏者のグロリア(タラ・フィッツジェラルド)が街に戻ってきた。彼女が披露して見せた素晴らしい演奏に男所帯のメンバーは色めきたつが、実は彼女は会社側が呼んだ炭坑の調査員だったのだ。唯一そのことを知るのはアルト・ホーン奏者の若者アンディ(ユアン・マクレガー)。だがやがて炭坑存廃を決定する投票の日がやってきて・・・。

この作品のモデルは英国の名門ブラスとして実在するグライムソープ・コリアリー・バンド。劇中の楽曲は同バンドの演奏で、メンバーも俳優たちにまじって出演しているそうです。
いやー、いいよね、ブラスバンド。遠い昔にヘタクソながら参加していた身としては、どうにも聴き惚れてしまいました。ブラスは金管楽器が主体ですんで、元気でかっこいい曲がほんとに似合うんですが、劇中の「ダニー・ボーイ」にはやられてしまった。病院の中庭で、ダニーのためだけに演奏する「ダニー・ボーイ」。
オイオイあざといなーその使い方はちょっとアレだろ卑怯だろ!と憎たらしく思いながらも所詮音楽の力には勝てないのであります。名曲なんだよなあチクショウ・・・。
そして舞台は炭坑の町です。時代と共に消えゆく灯火と、そこで最後の花を咲かせようとする人々の小さな物語はやっぱりなんだかあったかい。別になんにも解決しないし、ストーリーだってこそっとメロ狙いだし、ひねったオチはどこにもないけど、自分たちのために誇らしく演奏する彼らはやっぱりちょっと素敵です。
皆が凱旋しながら奏でる「威風堂々」にこれまた軽くメロリとしてみたり。ああもう、音楽バンザイ。



 プランケット&マクレーン  ★★★☆

【1999年 : イギリス】
 監督:ジェイク・スコット/音楽:クレイグ・アームストロング
 出演:ロバート・カーライル(プランケット)、
    ジョニー・リー・ミラー(マクレーン)、
    リブ・タイラー、アラン・カミング 他

8世紀のイギリスに実在した紳士強盗・プランケット&マクレーンをモデルに、 ラブロマンスを交えて描くアクションストーリー。
1748年のロンドン。事業に失敗し強盗稼業を始めたプランケットと、スコットランドの聖職者の息子として生まれながら、今ではすっかり落ちぶれた若者マクレーン。彼らはある日、貴重なルビーを巡る争奪戦によって出会う。一旦は監獄に放り込まれた二人だが、この苦境から抜け出すためある協定を結んだ。プランケットがもつ頭脳・盗みのノウハウと、マクレーンがもつ上流階級の情報を提供しあい、紳士強盗として荒稼ぎしようというのだ。二人はそれぞれの夢を叶えるため、次々と金持ちを狙うのだが・・・。

監督のジェイク・スコットはリドリー・スコット監督の息子さんだそうです。・・・・リドリー・スコット?・・・あー、エイリアンか・・・。(今調べた。)
主演の二人は「トレインスポッティング」のベグビーとシック・ボーイですね。当たり前だけど全然違う役柄で共演してるのを見るとなんか面白い。ロバート・カーライルってインタビューを受けている時は結構かっこいいオジサンなのに、本編だとなんであんな黒目勝ちの小動物みたいに見えるんだろ・・・ナゾだな・・・。あ、あとリブ・タイラーが美人でした。
技術も能力もコネもあるのに地位と金が足りない主役の二人は、自分の持っているものをお互いに提供しあって一花咲かせようと目論みます。でも元は商人であるプランケットはマクレーンの名誉欲を馬鹿馬鹿しいと思っているし、マクレーンは身分の低いプランケットをどこか見下しているしで、最初はちっとも噛み合いません。それが、プランケットの薬学に助けられたり、マクレーンの真っ直ぐな若々しさを目の当たりにするうちに少しづつコンビとして成り立っていきます。(・・・・まあ、どっちかというとマクレーンはヘタレなままですが・・・。)
複雑なところのあまりない、強盗物語のくせにちょっと勧善懲悪な雰囲気もする軽快な作品です。気張らずに楽しめる青春時代活劇といったところでしょうか。



 ブリジット・ジョーンズの日記  ★★★☆

【2001年 : アメリカ】
 監督:シャロン・マグワイア/音楽:パトリック・ドイル
 出演:レニー・ゼルウィガー(ブリジット)、
    コリン・ファース(マーク)、
    ヒュー・グラント(ダニエル) 他

30歳代独身女性の日々を描いた英国ベストセラー小説の映画化。
ロンドンの出版社に勤める32歳の独身女性ブリジット(レニー・ゼルウィガー)の視点を通して、恋と仕事とダイエットに奮闘する女性の姿をユーモラスに描いています。
彼女がこれまでの経験上「ああいう男に手を出してはいけない」と自ら戒める女の敵、セクシーな上司ダニエルにヒュー・グラント。これがピッタシ。口ではうまいこと言いつつも、誠実さは欠片もなく、だけど女としてはなぜか憎めない遊び人をえらく楽しそうに演じておられます。
そして、カタブツで気が利かず、ちょっとマザコンの気もあったりするけど実は誠実な弁護士マークにコリン・ファース。あーもう、ヒュー・グラントとコリン・ファースが並ぶってだけでも、心当たりのある方はウホウホ言ってますよ。(笑)
両英国男優の間で英国民に大人気のブリジットを演じることになった米国女優レニー・ゼルウィガーは、それだけでもずいぶんプレッシャーだったようですけど、体当たり的な明るさを存分に活かしてて好感が持てました。この映画の成功で彼女自身の人気もずいぶん跳ね上がったのは、その後の活躍ぶりからも窺えます。
ちょいと売れ時を逃したブリジットの呟きは、文化の違いはあれど世界の独身女性共通の憂鬱を代弁しているのかもしれません。
けれどもそれに決してへこたれない彼女の逞しさや、そんな自分を笑い飛ばす皮肉屋なユーモアがこの映画の魅力なのでしょう。誰もが経験するだろう日常の範囲の紆余曲折を、まるで横から見物しているような面白さがありました。