UKを知ろう
三つのコモンウェルス
連合王国史の本質理解に必須
「コモンウェルス」って何だ？
日本ではあまり使用されていないが、連合王国UKやイングランド王国
の歴史や政治・経済・社会を論ずる時に、必須なのが「コモンウェルス」
（Commonwealth)という表現である。
英語の一般的な理解では「共通の利益を享受する共同体」である。
ちなみに、手元のオックスフォード辞典（Oxford Advanced Leamer's
Dictionary of Current English)では
(1）State;group of States associating politically for their good.
(2) the Commonwealth,a free association of sovereign states
(formerly colonies and dominions of GB) with their dependencies.
となっている。
和英辞典では（1）国家、（2）連邦、共和国（3）イギリス共和国
（4）イギリス連邦、英連邦 などとなっている。
日本語に訳し難いのであろう。広辞苑第四版では、コモンセンス（常識）
やコモン・ロー（慣習法）はあるが、「コモンウェルス」は重要なのに収録さ
れていない。
イングランド共和国(the Commonwealth of England )
日本の天皇制が連綿と続いているように、英国（イングランド王国とそ
の後の連合王国）では王制が続いていると思う方が多いであろう。
ところが１７世紀、正確には、１６４９年から１６６０年にかけての１１年
間であるが王制が廃止され、共和制の時代があった。
ピューリタン革命と呼ばれるこの政治変革の中心的推進者が、これから
紹介するオリバー・クロムウェルである。
オリバー・クロムウェル父子による共和制政治は、僅か11年で幕を閉じ
王政復古となった。
第二次大戦以前の英連邦（the British Commonwealth of Nations )
イングランドは、ウェールズとスコットランドを併呑してグレート・ブリテン
（大ブリテン・英国）となり、さらに１８世紀から１９世紀にかけて産業革命
を通じ、政治・経済・軍事で世界を席巻し、植民地や自治州を含む大英帝
国（Greater Britain)を形成した。
19世紀は、英国がその覇権を世界に広げた帝国主義的侵略の時代で
あった。英本国と植民地は支配・被支配の従属関係で結ばれていた。
２０世紀に入り、第一次世界大戦で、英本国は植民地に大いなる支援を
受けた。その結果、カナダやオーストラリア、ニュージランドなどの自治権
を拡大せざるをえなかった。
１９３１年、これらの自治国や植民地は、ウェストミンスター憲章の下で
女王に忠誠を誓約し、共通の利益を享受する連邦を組織した。
これが、第二次大戦以前の英連邦である。（憶良氏は今後旧英連邦と
呼称する）女王に忠誠が大前提の盟邦であった。
第二次大戦後の英連邦（the Commonwealth of Nations )
第二次大戦では、英国は米ソなどと連合軍を組み、独伊日に勝利した。
インドをはじめ多くの植民地は独立し国家を樹立し、旧英連邦から離脱し
た。
しかしUKはあせることなく、１９４９年の連邦首相会議で、僅かの自治国
を中心として、「女王に忠誠を前提としない、各国対等の立場で、民主主義
政治体制を前提とした、ゆるい結びつきの、新しい英連邦」を組成した。
この新しい英連邦は呼称から「British」をとっている。
当初は旧英連邦から独立し、離脱していた各国も次第に復帰して、現在
５３ヶ国（英国を入れれば54ヶ国）が加盟している。
この現英連邦コモンウェルスの動向に注意すべしというのが、憶良氏の
警告であることは再三述べてきたので、読者諸氏はご存知であろう。
以上、三つのコモンウェルスについて概略説明したが、次回は、問題の
オリバー・クロムウェルと、その共和政治を概観しよう。
英連邦コモンウェルスについての参考情報
「ロンドン憶良見聞録」掲載記事
黄昏でない英連邦の絆
「晴耕庵の談話室」掲載記事
第69回
標題:英連邦について (19 Feb 2002) K.I.さん
第70回
標題:英連邦について(2) (28 Feb 2002) K.I.さん
第71回
標題:英連邦について(3) (4 Mar 2002) K.T.さん
第72回
標題:ニューカスルから(1) コモンウェルスのことなど
(18 May 2002) M.I.さん
「UKを知ろう」掲載記事
７２ヶ国参加のコモンウェルス競技会
注目の英連邦会議（速報）
エリザベス女王、オーストラリアの国家元首を継続
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