TULIP Magical History Tour '97

at 日本武道館 10/2/97

コンサート・レポート(2)



心の旅

Reported by Makoto Honda//Tokyo Zepp Website "Communication Breakdown"

●Costume  ・財津:黒っぽいシャツに黒ズボン(注:映像で確認したら、シャツは深緑色でした)  ・姫野:白シャツに黒ベスト、黒スボン  ・安部:マオカラーでペイズリー模様の薄茶のジャケット、薄緑色のスラックスに      白いスニーカー  ・上田:白シャツにボウタイ、黒ズボン  ・宮城:黒シャツ、白ズボン
Equipment  ・安部    Fender Stratcaster(茶、ベッコウピックガード)    Gibson ES-335TDC    レプリカ Rickenbacker #360/12 (12弦、George Harrison Model)    Schecter Les Paul Shape(黒)    Ovation Mandolin  ・財津    Epiphone Casino    Fender Stratcaster(ナチュラル、白ピックガード)    Rickenbacker 331(Light-Show Guitar)    Acoustic Guitar(型名不明。Martin?)  ・姫野    Yamaha Acoustic Guitar(黒)    Acoustic Guitar(型名不明、ナチュラル)    Schecter Telecaster(青)    Stratcaster(メーカー不明、ブラウンサンバースト、ピックガードなし)  ・宮城    Fender Jazz Bass(黒)    Fender Mustang Bass(サンバースト、白ピックガード)    Rickenbacker 4001S Bass(Chris Squire Model)
●Setlist 1. あいつが去った日   Tour序盤では1コーラス程度のIntroが付加されていましたが、この日はIntroなしでいき   なりのスタートです。財津さんはエピフォン・カジノを抱え、センターマイクで堂々と熱   唱しています。声の伸びは良く、声量/音域ともに全く問題ありません。   安部さんは茶色のストラト、宮城さんは黒のジャズベース、姫野はKeyboardでの演奏です。   ややリズムが鈍重な印象を受けますが、これはDrumsのアレンジがスタジオ盤に忠実なた   めと思われます。(第一期のLIVEではもっと軽いアレンジだった)   安部さんの演奏は力強く、ひとつひとつの音に自信が感じられます。   PAの音は非常に良く、Vocalもハッキリ。唯一Bassのみが若干こもっており、この傾向は   LIVEの最後まで続きました。 2. 新しい地球をつくれ   アルバムに忠実なアレンジです。財津さんのVocalはここでも力強いものがあります。   間奏で上田さんはタムを叩きまくっており、往年の「手数王」の姿を垣間見せてくれます。   「君の目の前に...」のところでKeyboardが大きくリズムを刻んでいます。 3. 一人の部屋   財津さんはエピフォンのままで演奏します。1976年までのTourで頻繁に演奏された曲です。   姫野さんがシンセで奏でる固めの生ピアノの音色が、当時のステージをほうふつさせます。   曲の一番最後に、安部さんがVolume Pedalによるヴァイオリン奏法を一発かましています。 4. ハーモニー   2コーラス目から姫野さんのハモリVocalが入ります。昔に比べると若干鼻にかかったよう   な声ですが、この二人のハモる姿は感動的です。   終盤、安部さんのギターは秀逸で、曲をキリリと引き締めていました。 財津MC1 5. 夏色の思い出   財津さんが生ピアノに座り、代わりに姫野さんが黒のアコギを抱えてセンターマイクに立ち   ます。財津さんのマイクの右横が本Tourでの姫野さんの定位置のようです。   安部さんもここで「ついに」Gibson ES-335に持ち替えます。本Tourではあまり使用しない   日もあったようなので、この愛機の登場は嬉しい限りです。   Drumsのロールが原曲に比べて少なめです。姫野さんのVocalは、やはり鼻にかかった感じ   ですが、声には艶があります。 6. ぼくがつくった愛のうた   浦安ではIntroで安部氏が大失敗した曲ですが、今回もちょっとだけ怪しげでした。   アコギを弾く姫野氏は、高い音程の部分がかなり苦しそうです。   「家を離れていった時〜」の部分、Albumでは財津氏が上でハモリを入れるのですが、この   日は姫野氏だけのVocalでした。まぁ、解散前もLIVEでは同じアレンジでしたけど。 7. 悲しきレイントレイン   姫野さんがアコギを軽くジャランと弾いてスタートします。   嬉しい選曲ですが、この曲を盛り上げるべきコーラスのアンサンブルが今ひとつです。   どうやら財津さんが張りきり過ぎて外しているようです(^^;)   「雨は空の涙だと」の部分で、ホルン風のオブリガードをシンセで入れています。   「空よ激しくもっと泣くがいい」の部分は財津さんはハモリを入れてますが、「この悲しみ   が消えるまで」の部分はナシです。 8. 笑顔で   再結成アルバムからの新曲です。追っかけコーラスや交代Vocal(?)など、往年のTULIPサウ   ンドのエッセンスをうまく取り入れた佳曲です。姫野さんのアコギが小気味良く響いていま   す。今の声域に合っているせいもあるでしょうが、姫野さんのVocalは伸び伸びとしてます。   上田さんのDrumsも、このくらいのテンポが一番味があるようです。 安部MC1 9. シェア   安部さんは赤(ファイア・グロー)のRickenbacker 12弦に持ち替えます。   財津さんはナチュラル・フィニッシュのストラトキャスターを手にします。   この曲の「ハイ!ハイ!」という叫び、CM等で耳にすると気恥ずかしいものがあるのです   が、広い会場でエコーがかかった状態で聴くとそれ程でもありませんでした(^^;)   10. We Believe in Magic   事前に「安部さんはIntroを弾いていない」という噂を聞いていたので注意して見ていまし   た。確かにIntro部では後ろを向いてましたが、それ以降正面を向いてリフを弾いてるのを   見る限り、ちゃんと右手の動きと音は一致していました。   サビ前のディストーションが掛かったフレーズも、足元のエフェクターでタイミング良く切   り替えて出していました。   肝心な曲の方はと言うと、余裕で聴いていられる安定した演奏でした。   演奏後、ローディーがモニタースピーカーをステージの前の方に移動し、スツールを用意し   ます。さらに、上田さん用に小型のDrums setを設置します。   並び順は左から、宮城/上田/財津/姫野/安部の順です。   宮城さんはHofnerのヴァイオリンベースに持ち替えます。リア・ピックアップがボディの真   ん中あたりに付いている、いわゆる「ポールマッカートニー初期モデル」です。   安部さんは再び茶のストラトを手にしてます。さかんに咳こんでいるのが心配です。   財津さんと姫野さんはアコギを手にしています。どちらもMartinのような白木のものです。 財津MC2 11. 箱入り娘   解散コンサートでも披露された、御馴染みのアレンジです。   ハイピッチのスネアが小気味良いリズムを刻んでいます。   コーラスエフェクトを深くかけた安部氏のギターが雰囲気あります。   宮城さんはこの曲独特の下降ベースラインをきっちり演奏しています。 財津MC3 12. 風車   財津さんがIntroを弾き始めますが、なかなか姫野さんのフレーズ部分に入れず、数回リト   ライしてます。小品ですが、サビでしっかりTULIP流の変拍子と和音進行を見せる佳曲です。   間奏とエンディング近くで、安部さんがOvation Mandolinでトレモロピッキングを入れて   います。 財津MC4 宮城MC1 上田MC1 財津MC5 姫野MC1 安部MC2 13. 僕のお嫁さん   この曲では各メンバーがVocalを順番に歌います。各人のパートは以下の通りです。   財津さん「君にかけよう〜僕が選んだ、僕のお嫁さん」   姫野さん「足も長いと〜心を一番分かってる」   上田さん「お金もないし〜分かってくれるね」   宮城さん「君の親父も〜好きになったのさ」   財津さん「長いこれからの〜世界いち強い愛で」   安部さん「今日も〜それが僕の大好きなお嫁さん」   間奏部では安部さんがストラトで軽めのSoloを入れています。   最後の掛け合いのところは、安部さんがメインで他のメンバーがコーラスを入れてます。 14. 田舎へ引越そう   「Are you 準備 OK?」という財津さんの一声があってスタートします。   軽妙なアレンジで、コーラスもバッチリ決まっています。   姫野さんは首にハーモニカ・ホルダーを掛け、間奏でハーモニカを聞かせてくれます。 15. 夕陽を追いかけて   財津さんは生ピアノに向かい、厳かに歌い始めます。赤い照明がキレイです。   宮城さんはミディアム・スケールのFender Mustang Bassに持ち替えます。   姫野さんはKeyboard席に座り、最初はアコギを、2コーラスあたりからはシンセを弾いて   います。安部さんはES-335だったと思います。(ちょっとあいまいです) 16. 風のメロディー   Introのリズムに合わせ、ストロボのような照明が焚かれます。   姫野さんはシンセでピアノの音を、財津氏はシンセでストリングスの音を入れています。   宮城さんがピック弾きで往年のサウンドを再現してくれているのが嬉しいところです。   最後にGuitar Soloが無く、あっさり終わってしまうのが残念でした。 17. あの娘は魔法使い   ローディーが財津さんのエピフォンを持ってくると、会場から声援が上がります。   解散前は財津さんのギターが小気味良いリズムを刻んでいた曲ですが、今回の演奏ではほと   んど聞こえません。安部さんのギターもOFF気味で、若干迫力に欠けていました。   そのかわりコーラスはほぼ完璧であり、全体としては涙ものの演奏に仕上がっていました。   「白い輪」のスポット照明がステージを美しく彩っていました。 18. 虹とスニーカーの頃   財津さんはTV出演時同様、エピフォンを抱えたままです。   この曲のサウンドは非常に迫力あります。特徴であるサビのタム回しも完璧です。   昔からLIVEで映える、不思議な曲です。 財津MC6 19. サボテンの花   宮城さん、安部さんともにRickenbackerに持ち替えます。   財津さんは前曲に引き続きエピフォンでの演奏です。(TVではGibsonのアコギでした)   各小節の歌い始め位置が前にズレてる「ひとつ屋根の下」Versionです。   ストリングスはSolinaの音を忠実に再現してます。間奏は右手でアコピ、左手でストリン   グスの音という演奏を、姫野さんは軽々とやってのけています。(機材の進歩ですね)   最後にランラランラ...というキメのハモリが無いのは残念です。 財津MC7 20. 心の旅   財津さんは生ピアノに座り、姫野さんは青のテレキャスターを手にセンターマイクへ。   姫野さんのVocalはかなり苦しそうですが、厚いコーラスがそれをカバーします。   安部さんはES-335で、太い「泣き」のフレーズを聞かせてくれます。   さらに、最後はフィードバックしたギターの持続音で終了しています。 21. 光の輪   財津さんの1st Solo Albumからの意外な選曲です。最初の鈴蘭高原LIVEを彷彿させます。   財津さんのVocalは当時に全くひけを取らず、サビでの熱唱も健在です。間奏では生ピアノ   とストリングス(シンセ)で「あの」重厚なアンサンブルを構築しています。 22. Shooting Star   弾かれたようにこの曲がスタート。数少ない、第2期からの曲です。   アリーナ席の観客はほぼ総立ちです。赤い照明の中、ステージ背景には無数の星が輝いて   います。上田さんのレパートリーではありませんが、特に違和感は感じられません。   財津さんは気持ち良さそうに、実に伸び伸びと歌っています。安部さんもエコーとビブラ   ートを効かせた往年のセッティングに忠実に、ヒュ〜〜ンと音を飛ばしています。   終盤には背景に「流れ星」が幾筋も流れます。地方公演では1個だけだったこともあるそ   うですが、武道館では大盤振舞いだったようです。(どちらが良いかは意見が分かれる所   でしょうが) 23. 青春の影   IntroなしでVocalが入る、Album Versionです。   2番に入る前、Bassのオブリガードで妙なアレンジを入れています。   この曲でのヒーローは安部さんでした。間奏で青いスポットライトが幾筋も照らす中、朗   々とSoloを奏でる姿は感動的でした。音色、チョーキング、ビブラート、どれをとっても   文句のつけようのない演奏です。これを聴けただけでも、今日来た甲斐がありました。  演奏後、メンバーは手を振りながらステージを去ります。 <アンコール1> 24. Give Me a Chance   財津さんは生ピアノに、姫野さんはシンセに向かっています。   安部さんはGibson ES-335、宮城さんはRickenbackerを再び手にします。   アリーナTourからの新登場曲であり、雰囲気が盛り上がる良い選曲です。   財津さんと上田さんの「叫ぶような」Vocal、安部さんのディストーションの効いたギタ   ーが相乗効果をもたらし、全盛期を上回るような大迫力の演奏となりました。 25. ROUTE 134   姫野さんがストラト型のギターを手にセンターマイクへ。   ビリー・ジョエルの『MY LIFE』そのまんまのアレンジは問題ありですが(^^;)、とりあえ   ず気持ち良さそうなので良しとしましょう。    26. 早くおいで   前曲からメドレー形式での演奏で、若干テンポが遅めです。   上田さんの歌い方に妙なクセがついてしまった感がありますが、懐かしさでは二重丸です。   吉田さんの低音コーラス部を宮城さんが忠実に歌っています。意外にそっくりです。   演奏はかなり粗削りで、転調等も力技で押し切ってます。 27. ここはどこ   これもアリーナTourでの披露曲です。   残念ながら各楽器の演奏のまとまりがなく、散漫な印象です。安部さんが随所のキメとな   るフレーズを弾いていないのが大きな要因だと思われます。 28. 私のアイドル   彼等のLIVEでは珍しく、ギターのカッティングでいきなり始まります。   財津氏さんRickenbacker 331、俗名ネオンギターを手にし、間奏の頭でブリッジ横のツマ   ミをゴソゴソ。内蔵の電球がチカチカと鮮やかに輝きました。   それ以降は若干疲れが出たのか(?)、全員Vocalがヘロヘロでした。 27. 夢中さ君に   姫野さんがKeyboardに走り、ほとんど間髪を入れず、この曲がスタート。   ブレーク位置で観客が「財津さん!」と叫び、財津さんがベンチャーズよろしく6弦をデ   ケデケと弾く、あの懐かしいパターンは健在です。   間奏では宮城/財津/安部の3人がステージ前に一列に並び、横方向にスライドするダンス   を披露してくれます。   気になるのは、財津さんがマイクスタンドの足のあたりをさかんに蹴っていることです。   曲が終わり、メンバーはステージを降りますが、その帰り際、財津さんがモニターを指差   し、ローディーに何やら指示していました。どうやら、モニターから音が出てない様子で   す。アンコールの拍手の中、駆け出してきたローディーは、モニタースピーカーのコード   の接触具合を確認していました。 <アンコール2> 28. 再会の日   安部さんは黒のSchecterを、宮城さんは再びMustang Bassを手にしています。   財津さんは生ピアノをでたらめに叩いてからIntroを弾き始めます。   シンプルなサウンドで、姫野さんはオルガンの音色で白玉コードのみ、安部さんは軽くア   ルペジオを弾いているだけです。その分、コーラスは非常に美しく響いています。 29. 銀の指環   姫野さんは再びストラトを手にします。Introは安部さんと姫野さんのツイン・リードで   す。姫野さんはここに来て頑張りを見せ、力強いVocalになっています。それを盛り上げ   るコーラスもいい感じです。   間奏の入りで「ヘイ!」と叫び、姫野さんはステージ前へ。最初は右手、次は左手とステ   ージをゆっくりと横切り、余裕しゃくしゃくでマイク位置に戻ります。 30. 魔法の黄色い靴   姫野さんはアコギに持ち替え、Introをアルペジオで弾き始めます。   財津さんは手ぶらでマイクに向かいますが、なかなか歌い始めません。どうやら先程のモ   ニタートラブルが解決していないようで、さかんにステージ右横のスタッフの方に合図を   しています。   ようやく「き〜み〜」と歌い始めますが、すぐにやめ、今度は姫野さんのマイクで歌い始   めました。姫野さんは財津氏の向かって左側に回りこみますが、どうにも演奏がしづらい   様子です。姫野さんのギターがハウリングを起こしたために、財津さんは姫野さんに一礼   し、自分のマイク位置に戻って歌い続けました。このため「おおきな海を」の「おおきな」   の部分を歌うことができませんでした。   その後、財津さんはマイクをスタンドから外し、ハンドマイク状態で観客をあおり始めま   した。観客はこぶしを上げての大合唱で応えます。   財津さんは「3階席/2階席/1階席」と呼び掛けて順番に歌わせますが、武道館には3   階席はありません(^^;)。   演奏後、メンバーはステージ前に集まり、一列になってご挨拶。手を大きく振りながら   ステージを去って行き、Tulip初の武道館公演が終了しました。 終了アナウンス
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