七瀬優はサンライズのホームページによれば、現在、広島県広島市に住むという。 放送されたアニメでは私はかつては広島に住んでいたが現在は広島に 住んではいないという印象を受けた。 その理由を分析した。
広島の 8 月とはいえ、流星群に一晩つきあうには防寒対策が必須である。
夜半過ぎには家に戻るつもりでいた、と考えるのが自然だろう。
それに現実には
最終の船で宮島入りしたとしても夜明けの 6 時台まで流星観望を
12 才の子供一人で続けるのはそもそも親が許すまい。...
まあ、いずれにしてもかなりの放任主義のようだけれども。
ついでに言えば 1992 年のペルセ群は満月と観望には最悪の条件だったので、
流星が多いことは予想されていたにせよ、
よほど熱心でなければ一晩付き合う予定で山入りすることはないと思う。
七瀬優が旅行好きになったのは「彼」と会った 1992 年以降のことである。
この年に広島市に住んでいて宮島に出て来ていたとすれば、
夜半過ぎに宮島から外に出ることはできないので、
22 時前に宮島を出るスケジュールで一人で星を宮島まで観にきたという形になるが、
.... これは 12 才の子供としては立派な旅行好きの範疇に入ると思う。
広島市街から宮島口まで約 20km もある。
星を観にホイホイと出かけられる距離ではない。
── 「旅行好きになった」件については、
もともとそういう傾向があり、それが単にこの年以後はっきりしただけだ
という解釈が個人的には好き。
星の観望は市街地では困難であり、
とりたてて何のきっかけもなくても自然と郊外に足が向くようになる。
「旅行好きになったのは彼のおかげ」というのは優の思い込みと思う方が
想いとしての構図が素直*^_^*
JR で戻り、広島駅で別れたのなら、優が駅前で言う言葉ではない。
JR 広島駅の構内から駅前まで琴音をひっぱりだす理由が必要であり、
したがって駅構内で琴音は優が広電を使うことを知ったはずである。
宮島口からは広電で広島市に戻るルートもある。
しかし、琴音が JR を使うことがわかっているなら広電で
広島駅まで連れてくるのはかなり不自然である。
宮島から広島港まで直に戻り、そこから広電で広島駅に戻るルートの場合。
夕方、宮島入りする時でさえ広島港からの高速船ルートは使わなかった。
ましてや、時間の制約のすくない帰りに使う筈はない。.... 高価だし :-)
ゆえに、二人が別れたのは JR 宮島口駅前であり、七瀬優は港の方へひきかえして 広島電鉄 宮島口駅から広電を使ったと考えられる。
これから分かることは、優は宮島口〜広島駅間に
流星観望とは別口の用事があるということである。
「きたぐに」を使って広島入りし、それから宮島で流星を観るまでの約 20 時間には
もともとなんらかの用事がはいっていたはずである
(でなければ「きたぐに」ルートは使われない)。
琴音と同一行動を取ったためにその用事は先延ばしになった訳であり、
その用事が「宮島口〜広島間」にあるということでこの辺に矛盾はない。
では
それは自宅だろうか?
広島市も宮島寄りの場所に住んでいたのなら、1992 年 8 月のこの「旅行」は
親の許容範囲だった可能性がある(広島市最西端から宮島口まで約 10km)。
これが棄却されるのは、
広島市も最西端に住んでいたのなら、
そもそも星が良く見える場所として宮島にまで出かける必要は無いことによる。
以上から 1992 年には七瀬優は宮島(広島県宮島町)に住んでいたと考えられる。
余談だけれども、星の観望で旅行に出かける場合、宿はつねに問題になる。 夜半前まで観望し、それから宿入りするのならまだしも、 といっても午前 1 時にチェックインさせてくれるとは思えないが、 夜明け前に観望するために午前 3 時にチェックアウトを許してくれるところは あまりない ...
広島市の自宅に戻るつもりがあったのなら、 彼女の装備は観望のためでなく琴音と出会う前の旅行のもの、新潟方面、それも 厚手の服装(琴音は半袖の Y シャツだった) からして秋田〜北海道といった地域のものに思えるが、 デイパックで出かけられる限界(by definition, 1 日程度の小旅行用)を考えるに 北海道まで出かけていった格好ではないし、それなら新潟経由「きたぐに」での帰宅は そもそもかなり変である。新大阪からは新幹線を使ったのだから、 朝に広島入りしたかった理由がある訳で、それなら飛行機の利用の方が素直。
とはいえ、旅行慣れするとデイパックで 1 週間以上の規模の旅行に出かけたりするから
この辺はなんでもありかもしれない。
広島に朝のうちに帰りつきたかったのは、装備の交換という目的があったとすれば、
広島市に自宅があってもいい ... のだが、
彼女は傘を持っていなかった。星を観にでかける時、
傘を持って行くことはあまりない。
雨らしい気配(雲がでる等)でもあれば
そもそも星を観にでかける筈はないからである。
普通の小旅行で、旅慣れた彼女が傘を持って出ていないとは考え難く、
「きたぐに」
に乗っていた時点ですでに彼女の装備は星を観に出かけるためのものであったと思える。
つまり、「きたぐに」で 「広島に行った」のであり、「広島に帰った」のではない。
まあ、旅行帰りで自宅によるつもりでいて広島に戻り、そして予定を変更して 装備補給せずに そのまま宮島に向かうのはデイパックの容量上、ほとんど不可能だと思うけど、 もし予定を変えてまでそうしたのなら、七瀬優は芹沢琴音がそう思った以上に 親切だったということでもある ──
実は広島在住でないと思ったのは、 そもそも最初に優が夜行「きたぐに」で広島入りしたからである。 夜行は旅行に行く時に使うものであって帰る時に使うものではないという思いこみから そう思った。
東京を中心とする夜行列車はふつう
下りの方が満席であっても上りは空いているから、
パターンとして夜行は帰りに使うものではないという考えはそれほど変ではない
のだろうと思う。
しかし私自身つい最近の旅行では夜行「アルプス」で東京に帰ってきた訳だし、
同じ車両には明らかに帰りの客とおぼしき人達で一杯だったので
これを理由に広島に住んでいないと断言することはできないのだろう。
ここで使った論理展開はもちろんすこしずつ飛躍があって、
適当に修正すれば現在も広島市に住んでいると結論できなくはない。
描かれていないことについて何を「自然」とみなすかによって結論はいろいろと
変わりうるのは当然のことだ ... たかだか 30 分たらずしか描かれなかった訳だし。
しかし、アニメの表現をもって広島市に住んでいることにするという感覚の持ち主が
この話を組み立てているのなら、私は七瀬優の他の話に手を出す訳にはいかない。
これ以上は感覚のズレが問題になりそうだから ...