最近撮った写真から(2008その3 シチリア島一周旅行)


 2年越しの夢がかなって2週間の旅:6月1日〜15日  

(June 21, 2008)


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 今回は、独り旅で2週間、四国より35%も広いシチリア島を、ほとんど全部回って来ました。 パレルモ(3) → セジェスタ → トラーパニ → マルサラ → エリーチェ → ペッレグリーノ山 → モンレアーレ → チェファルー → ティンダリ → メッシーナ → タオルミーナ(3) → アルカンターラ渓谷 →カスティリオーネ → ブロンテ → ランダッツォ → ジャルディーニ・ナクソス → カルタジローネ → ピアッツァ・アルメリーナ→ エンナ → アグリジェント(2) → ジェラ → ラグーザ・イブラ → カーポ・パッセロ(2) → ノート → パンタリーカ古墳 → シラクーサ(2) → カターニャ(1) です。 こうやって列記すると、自分でもびっくりするほど沢山の町や場所を見てまわっています。 でも、通常のツアーのように駆け足で飛び回るのではなく、( ) の中にある数字だけその町には泊り ( 計13泊・・・ほかにローマに1泊 )、いわゆる名所は じっくりゆっくり自分の足で歩いて 観て回りました。 夕方バスに乗り、近在の町まで夕食を食べに行ったりもしましたが、それらの町は上記から除いてあります。 ワイナリーの工場見学も2回やりました。 その一方、カーポ・パッセロでは1日中海を見てボーッとして休養したりもしました。 でもさすがにパレルモ市内の殆どの名所を徒歩で歩き回り、タオルミーナではカステルモーラから歩いて降りてきたり ( 登りはタクシー ) して、1週間連日10km前後も歩いていたら、8日目に右ひざが内出血でゴムマリのように腫れあがりました。 痛くもなく歩けなくもなかったので医者には行きませんでしたが、76歳という年齢も考えて自重し、それ以降はタクシーを多用し、歩行は1日3km前後にとどめました。

 写真は自分なりに腰を据えて合計1000枚以上撮りましたが、 ( 当然ながら )気に入った物は少なく、プリントする気になったのは50枚程度でした。 その一部をご笑覧下さい。 また、特に関心の深かった土地や事柄について旅行記のようなものも書きましたので、ご興味があればご覧下さい。



モンレアーレ ( Monreale ) の金色のモザイクが充満したこの聖堂には、何が何でも行きたかった。  ただただ 「 凄い! 」 の一語だった。
 回教文化の技術であるモザイクがキリスト教の聖堂を飾るという歴史の変転の流れにを思いを馳せながら、いつまでもいつまでも観続けた。




セジェスタ ( Segesta ) のギリシャ時代の神殿跡。 紀元前5世紀前後にギリシャからシチリア島に渡ってきた人たちは、外敵に攻められない高台、山上
に町を造って住んだ。 ここも不便な高地だが、それにしても良く残ってくれた。 梁の上の雑草が 「 つわものどもの夢の跡 」 という言葉を彷彿とさせる。




トラーパニ ( Trapani ) の塩田は、産業上の役割はももちろんあるが、今は観光資源でもある。
塩の山の上を覆う瓦は防雨防風用、風車は包装工程用の動力源である。




エリーチェ ( Erice ) は残念ながら濃霧で、肝心の断崖から見下ろす絶景は鑑賞できなかった。 その代り、ここではマトリーチェ
教会 ( Chiesa Matrice ) をゆっくりと観た。 身廊や内陣ももちろん素晴らしいが、私はその身廊の天井の美しさに心を奪われた。




ティレニア海に面するチェファルー ( Cefaru ) の大聖堂のモザイクも素晴らしいが、モンレアーレのそれを見た後では感動が少ないのはやむを得ない。
 それよりも、私はこの町にどことない上品さを感じる。 ギリシャ人が建てた丘の上の要塞の跡と対比するかのように海岸に並ぶ美しい屋根の街並み。
 漁業者の後継ぎもなく、これという産業もないこの町は観光で生きるしかないとガイドは言っていた。




ティンダリ ( Tindari ) は、黒人のマリア像 ( Madonna nella ) のある聖堂で有名である。 新井豊美の 「 シチリア幻想行 」 を読んで、是非ここに行きたくなった。
聖堂は建て替えられて10年ほどの新しいもので、これと言って興味はわかなかったが、脇の100m近い断崖下の潟 ( laguna ) にまつわる伝説をガイドから聞いて
面白かった。 この写真では一部しか見えないが、母親が嬰児を手から落としたのに、マリア像の形の水たまりにおちた嬰児は奇跡的に無事だったというのだ。




タオルミーナ ( Taormina ) はイタリアは勿論、欧州各国から富裕層が訪れる保養地である。 この日も沖合に地中海クルーズの豪華客船が停泊していた。
 海の色は本当にこんなに奇麗なのだ。 船の向う側の岬がエトナ火山からの溶岩でできた Giardini Naxos である。 「 27世紀前にギリシャ人が初めてシチリア島
に上陸し町を作った場所である 」 というイタリア語の碑が建っていた。 ギリシャについて述べるならキリスト教に基く 「 紀元前 」 とは言わないのが見識と言うものらしい。




上とほぼ同じアングルからの夜景。 手前真ん中あたりは国鉄タオルミーナ駅。




Etna 火山の中腹にあるランダッツォ ( Randazzo ) の町には、地味ではあるが多くの美しい建物がある。 この地方の建物
は黒〜灰色の溶岩 ( lava ) を四角に切って積みあげたものが多い。 白っぽい石灰岩を混用すると美しいアクセントとなる。




この陶器の町カルタジローネ ( Caltagirone ) の殆ど唯一のセールスポイントがこの142段の階段 ( scala ) である。
だからこそだろう。 まだ週日の10時頃だというのに、住民が箒で掃いている。 イタリアにしては実に珍しい光景だ。
珍しいついでに言うと、その箒が竹の柄も含め日本の竹箒そのものなのだ。 おそらく中国製ではないだろうか。




同上 接写




エンナ ( Enna ) は、シチリアの 「 へそ 」 と言われ、海抜約1000m の内陸中心部の都市だ。 そこにある廃城ロンバルディア
( Castello di Lombardia ) の塔の頂上まで、息を切らせて階段を上がった。 その苦労に十分報いてくれたのがこの絶景である。






いよいよ、アグリジェント ( Agrigento ) に入った。 コンコルディア神殿 ( Tempio della Concordia ) が目の前に見えるホテルの一室を取った。
 この日、右足を傷めたので用心してあまり歩かず、もっぱら腰を据えて写真を撮った。






同じ位置からの、夜間ライトアップされたコンコルディア神殿






ラグーザ・イブラ ( Ragusa Ibla ) は、華やかに装飾されたバロック様式の家並みの続く古い町である。
高台が半島状に突き出している。 新市街との境界の辺りから全景を撮ったのが、この写真である。






カーポ・パッセロ ( Capo Passero ) はシチリア最南端の岬である。 詳しい事はここをご覧下さい。 地中海の海水はあくまでも青く、刻々とその色合いを変えて行く。






ノート( Noto ) もやはりバロック建築の町である。 ヴィットリオ・エマヌエーレ通りにも素晴らしい教会がたくさん並んでいるが、
ニコラチ通り ( Via Nicolaci ) の元貴族の屋敷は、それは見事というか、ゴテゴテと言うか、とにかく凄いものであった。




パンタリーカ ( Pantalica ) の古墳墓群は2005年にユネスコの世界遺産に指定された。 シラクーサから50km。 馴れた運転手が細く狭い
曲がりくねった坂道を注意深く運転して1時間はかかる。 平家の落人部落なんてものじゃない。 よくまあ、こんな山奥にと思うような奥地
の断崖絶壁に、紀元前13世紀から7世紀にかけて人類が住んでいた。 断崖に掘られた無数の四角い穴は墳墓だったと考えられている。
 こんなところまで訪ねてくる物好きな日本人はごく少ないだろう。 詳しい事は別項で紹介します。( 写真の四角い穴、分かりますか? )






シラクーサ ( Siracusa ) は見る物が沢山あり過ぎて、写真を1枚選ぶのに苦労するが、ここでは有名な 「 天国の石切り場 」 ( Latomia del
Paradiso ) で撮った1枚を出そう。 手前の木にはレモンがなっているが、同じ木に春はオレンジもなるという。 継ぎ木のような事をしているのだろう。




旅の最後に訪れた町カターニャ ( Catania ) では、ホテルの受付の女性にいきなり 「 森本を知ってるか? 」 と聞かれたが、
幸い瞬間的に思い出せ答えを返せた。 そうか、あの少年はここにいたんだったな。 それはともかく、この大聖堂は立派だった。
 このすぐ先の魚市場の中にあるオステリア Antica Marina で、旅の最後の旨い夕食 を腹一杯食べられたのは、幸せなことだった。




以上で終りですが、食事の後にはデザート ( dolci ) が必要かも知れません。 シチリアにはカッサータやカンノーロその他、美味しい
お菓子がありますが、ここでは、アーモンドの粉と砂糖で果物の姿そっくりに作られたマルザパーネ ( Marzapane ) の写真を出して
おきます。 これは欧州各国でも作られ売られており、特にシチリア特有のお菓子ではありませんが、写真的に綺麗なので・・・


ご感想、ご意見、ご質問などがあれば まで。