宮城県議会会議録に見る捏造問題(4)

宮城県議会会議録検索システムから、神の手事件に関連する質疑を転載しました

2000  11月定例会12/01佐藤議員 11月定例会12/07今野議員
2001  9月定例会09/28今野議員 9月予算特別委員会10/01今野議員 11月定例会12/10今野議員
2002  2月定例会03/01今野議員 6月定例会07/05今野議員 6月定例会07/08川嶋議員 11月定例会12/02今野議員
2003  2月定例会02/27今野議員 6月定例会07/03今野議員 9月定例会10/02今野議員 10月文教警察委員会10/07柏議員
2004  2月定例会03/03今野議員 9月定例会10/05今野議員 11月定例会12/06川嶋議員 11月定例会12/08今野議員
2005  2月定例会03/07今野議員 


平成16年2月定例会 03月03日

◆ 今野隆吉
 捏造発覚から三年目の昨年末、時効を前にして、福岡県の考古学者奥野正男先生が仙台地検に告発したが、法的けじめすらつけられないまま流産してしまいました。本年一月、福岡県博多市で奥野先生とお会いをし、捏造石器とは一体何だったのか、考古学とはどんな学問かなど語り明かしました。そのときの資料から御質問いたします。
 県費を投じて発掘された遺跡で行われた以上、行政的には知事及び教育委員会の責任が問われる違法行為であるにもかかわらず、知事は、捏造を学術研究上の問題と、責任回避を繰り返してきました。
 座散乱木遺跡で捏造が始まった一九八〇年代に、東京都教育委員会の小田静夫氏らが批判をしていたのであります。二十年前の一九八五年、「科学朝日」七月号で、石器や年代など疑問が残る遺跡と批判し、更に、一九八六年には、人類学雑誌で宮城県の旧石器及び前期旧石器を研究批判していたのであります。文化庁や国立歴史民俗博物館の教授、著名学者たちは、結束して小田静夫氏らを反批判し、若い研究者を学会の権威で押さえ込む一方、批判論文が学会誌に載らない状態が二十数年も続き、考古学協会の大会報告に、一九八一年から二〇〇〇年まで、宮城県推進派グループの捏造遺跡の調査成果報告がほとんど毎年にわたり繰り返されてきたのであります。
 東京大学の考古学者は、教授から助手まで次々に成果を上げる岡村道雄氏や鎌田俊昭氏ら宮城県の旧石器推進派から借りた捏造資料を使って「モノが語る日本列島史」とか「ヘラ型石器の機能論」とか「理論考古学」などという科学性のない研究論文や解説書を書き続け、明治大学初めほとんどの大学の研究者は、東京大学に右ならえして、前期旧石器の容認と学問追認になだれ込んでいったのであります。もちろん宮城県考古学協会や県教育委員会の職員にもいたのであります。
 昨年六月議会、私の質問に対して、知事及び教育長は第三者の検証が必要ないものとして、県の埋蔵文化財行政の監督責任を回避するために、いわゆる前期旧石器推進派の芹沢長介東北大学名誉教授や岡村道雄、当時東北歴史博物館勤務らの説が学会の定説だったかのような虚偽に満ちた答弁を繰り返してきたのであります。捏造現場の監督者として発掘に立ち会い、報告書を書いた東北歴史資料館の県職員は、この批判をどのように理解していたのか、お伺いいたします。
 現場の責任者として、藤村新一氏が埋め込んだ石器を容認していたとすれば、それは発掘現場での作為、不正を意識的に見逃していたそしりは免れませんが、当時、県が関係した遺跡をどのように調査されたのか、お伺いいたします。
 また、旧石器文化研究所には、捏造に関連する多数の調査資料が残されているはずであります。石器、実測図、作業日誌など、特に、捏造に使用された約三千個の石器は、現在どこでどのように管理されているのか、お伺いいたします。三千個全部を藤村氏一人で埋めたとする事実関係はどうか、お伺いいたします。
 県が実施した発掘調査に国庫補助金と県費四千四百万円を使用しておりますが、藤村氏に対し損害賠償請求を求める考えはないのか、お伺いいたします。
 また、納税者が県当局の行政責任を追及し、むだ遣いした県費の損害賠償を求めるのも当然のことであります。実行者が仮に藤村氏一人であったとしても、遺跡の発掘調査という公の埋蔵文化財行政の場で起きた不正を学術研究上の問題にすりかえた知事の議会での答弁は悪質であります。訂正すべきと思うが、いかがか。
 また、県は、捏造遺跡について県税を使ったことに問題はないと思うのか、お伺いいたします。
 藤村新一氏は、発覚当時、魔が差したと謝罪しておりました。その後、精神疾患で精神科病院に入院、昨年七月末退院。入院中に再婚し、現在は名前を変えて平常に生活をしておるのであります。いまだ真相は明らかにされておりません。県及び教育委員会は、藤村新一氏に面談し、事情を聴取したのか、お伺いいたします。
 文化財保護法は、いわゆる文化庁長官の権限を都道府県教育委員会に移譲されています。県内の貴重な遺跡は破壊されたのであり、責任はどうか。また、当時担当した職員は現職で何人いるのか、お伺いいたします。
 県教育委員会が作成した報告書は、余りにもずさんであり、宮城県内で行われた捏造行為の全体像を示していません。少なくとも、県教育委員会及び旧東北歴史資料館から刊行された報告書、馬場壇遺跡、中峯C遺跡、大原B遺跡、江合川流域の旧石器、歴史資料館の紀要に掲載された県職員、山田氏、藤村新一氏の連名論文などに掲載された石器、土器について詳細な報告書が必要であります。いわゆるガジリ痕や鉄分の付着化、そうではない盗作又は新作又は真の断面採取など、明らかにすべきでありますが、いかがですか。更に、本来いかなる時代のものと考えられ、由来する遺跡や地域はどこなのか検討すべきと思うがいかがか、お伺いいたします。
 県が保管している調査記録や出土品などの関連資料については、県民が簡単な手続で調査できるようにすべきであるが、どうですか、お伺いいたします。
◎ 知事(浅野史郎)
 東北旧石器文化研究所の問題でございますが、この後、教育長からお答えを申し上げますが、私からは、旧石器文化研究所の解散についての考え方、お答えをいたします。解散に関連して、県費の損失や資料の流失についてどう考えるかということでございます。
 県の教育委員会が主体となって発掘調査を実施したという遺跡は三つございます。馬場壇A遺跡、大原B遺跡、高森遺跡、この三つの遺跡であります。これら三つの遺跡における石器の発掘が捏造であったということでございまして、結果として県費の損失につながり、これは大変遺憾なことであると考えております。しかしながら、これらの発掘調査は、当時、旧石器遺跡の発掘で実績のあった石器文化談話会の成果や学会の評価を踏まえて行う必要があったということでございまして、この発掘調査自体はやむを得なかったものと考えております。
 また、東北旧石器文化研究所の解散に伴って資料が流失しないかということでございますが、旧石器文化研究所が保管していた石器や発掘調査関係資料については、今後、適切に保存活用が図られますよう、法人清算人等と協議してまいりたいと考えております。
 この件に関しての残余の質問については、教育長からお答えをいたします。
◎ 教育長(白石晃)
 今野隆吉議員の御質問に順次お答え申し上げたいと思います。
 まず最初に、一九八〇年代に本県の前期旧石器遺跡に対して行われた考古学的な批判につきまして、当時の東北歴史資料館の職員はどう理解していたのかという御質問でございます。
 本県の前期旧石器につきましては、当時、熱ルミネッセンス法などによります理科学的年代測定結果への疑義や、石器のみが発見され、その製作の際に出る剥片や砕片がないのは不自然という批判があったことは承知しておりました。しかしながら、当時は旧石器の捏造など思いもよらない状況でございますし、また、こうした批判が関東と東北の地域差や、前期旧石器と後期旧石器といった時代差を適切に踏まえた比較ではないと考えたことから、そのような指摘が必ずしも十分な根拠を持つとは言えないと理解していたものでございます。
 次に、県教育委員会が関係した遺跡に関しまして、発掘現場での作為や不正を意識的に見逃していたそしりは免れないが、当時どう調査していたのかという御質問でございます。
 発掘調査におきましては、石器や剥片などの出土遺物はもとより、炭化物片につきましても水平・垂直分布を記録しておりまして、更に集中箇所の状況の把握を行ってございます。また、遺物につきましては、石器や石核、剥片、砕片などの種類に分類いたしまして、それらの接合作業も試みたところでございます。
 このように、県教育委員会が関係いたしました遺跡の発掘調査は、当時の考古学会の旧石器研究における一般的な発掘調査の方法に基づいて実施したものでございます。
 次に、東北旧石器文化研究所が保管していた石器などは、現在どこでどう管理しているのかという御質問でございます。
 NPO東北旧石器文化研究所が保管していました捏造関係の石器を初めといたしまして、野帳、実測図、作業日誌などの発掘調査関連資料につきましては、現在、法人清算人でございます前理事長宅に、前理事長の責任におきまして管理されてございます。
 次に、石器全部を前副理事長一人で埋めたとする事実関係はどうかという御質問でございます。
 この事実関係につきましては、日本の考古学会における最高権威でございます日本考古学協会が多岐にわたる検証調査の結果、前副理事長が一人で行ったことは動かしがたい事実と結論づけていることや、県教育委員会が行った当時の発掘関係者からの意見聴取から、これまでも答弁してきたわけでございますけれども、前副理事長の単独行為ということと認識しているところでございます。
 次に、県教育委員会が実施した発掘調査につきまして、損害賠償を請求をする考え方はないのかということの御質問でございます。
 一般的に不法行為による損害賠償の成立要件でございますけれども、故意又は過失、違法行為、損害の発生、それから行為と損害の因果関係から判断されます。これに対し、県教育委員会が実施した発掘調査の場合でありますけれども、当時、旧石器の発見に関する石器文化談話会の実績や学会の評価を受けまして県教育委員会みずからの判断で実施したものでありますことから、前副理事長の行為が県を欺いて発掘調査をさせたことに該当するかどうか疑問が残ること。また、該当するとした場合でも、何を損害としてとらえ、その損害金をどう算定するかが困難であること。更に、請求に要する経費に対しまして、本人の支払い能力に疑問がある場合は効果が少なく請求の実益がないことなどを考慮いたしますと、現在のところ、損害賠償を請求することは難しいものと考えてございます。
 次に、公の埋蔵文化財行政の場で起きた不正を学問上の問題にすりかえた答弁は訂正すべきと思うがどうかという御質問でございます。
 平成十三年の九月の議会でありますけれども、捏造問題に関連いたしまして、宮城県考古学会の再調査に県教育委員会はなぜ協力しないのかという御質問がありまして、学問上の問題と答弁したことにつきましては、この事件が学問研究の世界で生じたことであり、学会内部で事件の解明、解決の方策が図られることが望ましく、学問研究の自由を尊重する立場からも妥当であると考えての発言でありまして、責任を転嫁したというものではございません。
 また、捏造遺跡に県税を使ったことについて問題はなかったのかということにつきましては、当時、旧石器時代の調査などに実績のある石器文化談話会が発見し、学会が評価した遺跡を対象に発掘調査を行ったものでありまして、捏造という事案を知り得なかった当時としては、県費を支出したことについてやむを得なかったものと考えてございます。
 次に、前副理事長に面談し、事情を聴取したのかという御質問でございます。
 これまでも県教育委員会といたしましては、前副理事長から直接、事件の真相を聞く必要があると考えまして、日本考古学協会の前特別委員長などを通じて面談の実現に努めてきたところであります。
 こうした中、最近でありますけれども、前副理事長が病院を退院し、マスコミの取材に応じた事実が判明したことから、県教育委員会といたしましても、顧問弁護士を通しまして、前副理事長の所在を調査の上、現在、面談を申し入れているところでございます。
 次に、遺跡は破壊されたが、県教育委員会の責任はどうか。また、当時担当した職員は現職で何人いるのかという御質問であります。
 前副理事長が関与した遺跡は、遺跡そのものの大部分が捏造されたものでありまして、本来の遺跡が破壊されたとは考えておりませんけれども、結果的には誤った歴史認識を広め、各方面に混乱を招いたことについては、責任を痛感し、深く反省の意を表したところであります。
 また、当時担当した職員の数でありますけれども、県教育委員会が調査主体となった遺跡の発掘、整理・分析、調査報告書の執筆編集などに携わった職員で、現職は九名でございます。
 次に、県教育委員会が発掘調査を実施した遺跡などの石器や土器につきまして、詳細な報告書が必要ではないかという御質問であります。
 御指摘の、県教育委員会及び旧東北歴史資料館がかかわった資料のうち、馬場壇A遺跡と中峯C遺跡の石器につきましては、平成十三年度に日本考古学協会によりまして、農耕具によるガジリ痕の有無や鉄分の付着など、捏造の判定に有効な七つの観察項目に基づく綿密な検証調査が行われ、報告書も刊行されております。
 また、大原B遺跡の石器、それから江合川流域の旧石器に掲載された石器の大部分及び東北歴史資料館研究紀要で使用された石器につきましては、昨年度、県教育委員会が日本考古学協会が行ったと同様の観察項目による石器検証を実施しておりまして、その結果は、日本考古学協会が刊行した「前・中期旧石器問題の検証」という報告書などに掲載したところであります。したがいまして、県教育委員会といたしましては、これ以上の詳細な報告書を作成することは考えていないところでございます。
 また、これらの石器が盗掘されたものか、断面採取されたものか、新たにつくられたものかを明らかにすべきではないかという御質問でございますけれども、現在、それらを判定する有効な方法は確立されておりませんので、困難であるというふうに考えてございます。
 次に、捏造使用された石器は、本来、いつの時代のもので、由来する遺跡や地域はどこか検討すべきと思うがどうかという御質問でございます。
 捏造に使用された石器の本来の所属時代と、由来する遺跡や地域につきましては、日本考古学協会が捏造関連石器の中で、時代的、地域的特徴が顕著と考えられるヘラ状石器について検証を行っておりまして、その結果、年代は縄文時代に属し、由来する地域は宮城県北部を中心に山形県北東部を含めた範囲の可能性が高いと報告してございます。
 しかしながら、今回捏造に使われた石器の大部分は、ヘラ状石器のような定形石器と異なりまして、時代や地域を特定することが困難な不定形石器でありますので、県教育委員会といたしましては、これ以上の調査を行ったとしても成果は期待できないものと考えているところであります。
 次に、県が保管する調査記録、出土品及び関連資料は、県民が簡易な手続で調査できるようにすべきと思うがどうかという御質問であります。
 馬場壇A遺跡や中峰C遺跡など、県教育委員会が発掘調査を実施した遺跡の出土遺物や発掘調査関係資料につきましては、既に東北歴史博物館において、名前や目的を記入するだけの簡単な申込書により閲覧できるようになってございます。
◆ 今野隆吉
 ただいまの説明の中で、藤村新一氏との面談について、顧問弁護士を通じてということがありましたが、過去、何回ぐらい交渉されたんでしょうか。いまだにまだ面談されていませんけれども、これが一点、お伺いいたします。
 それから、いつもなんですけれども、検証の方法なんですけれども、まだ確立されていないのでできないんだという、ガジリ痕だとか鉄分の付着、この断面採取等々について、これはもう前からこういう答弁は返ってきておるんですけれども、これは、検証方法というのは大体決まっているんじゃないですかね。それで石器捏造事件が明るみに出てわかって、どこの遺跡も学術的に使用ができないという判断が下されたわけでありますので、そういう点で、もう一度、考え方をお願いしたいと思います。
 以上です。
◎ 教育長(白石晃)
 今野隆吉議員の再質問にお答え申し上げます。
 前副理事長に面談したことについてでありますけれども、これは先ほど申し上げましたように、従来から考古学協会の特別委員長を通じまして面談の実現に努めて、何回か重ねて面談を申し入れてきました。その結果、結局は会えないということになったわけでございますけれども、最近、マスコミの取材がありまして、その面談の結果が出たということがありましたので、我々としても、その所在を調査をしまして、それで会えるように、今、面談を申し入れたというところでございます。
 それから、先ほどの検証結果について、これは困難であるというふうに申し上げたところは、あくまでも、石器そのものが盗掘されたものか、あるいは断面採取されたものか、新たにつくられたものか、それらを検証する方法が今のところ確立されていないというところで申し上げたものでございまして、捏造であるかどうかについては、既に御案内のとおり七つの観察の項目がございますので、その観察項目に応じまして検証するという方法は、現在はあるというところでございます。

平成16年9月定例会 10月05日

◆ 今野隆吉
 次に、旧石器発掘捏造事件についてお伺いいたします。
 昨年三月、東北旧石器文化研究所では、袖原三遺跡の発掘調査と中島山遺跡の発掘調査の報告書が刊行されました。この遺跡は、山形県尾花沢市と宮城県の色麻町で発掘された石器が接合したことで、あの大発見が世界的に有名になりました。再発掘による検証や石器観察などの検証の結果、極めて巧妙な手口による捏造がほとんどすべての遺跡で行われ、その行為は、藤村新一が旧石器に興味を持ち始めた一九七〇年代半ばまでさかのぼることが、各種検証による物証によって明らかになったと報告されております。
 他の考古学者から批判や指摘されていたにもかかわらずそれを否定し、今さらながら、私たちは全くその行為に気づかず、結果的にそれを許してきたと記されております。この調査は権威のある学術調査であり、県の学芸員も参加した発掘調査であります。更に、東北旧石器文化研究所が刊行した岩手県岩泉町の「ひょうたん穴遺跡発掘調査報告書」の中でも、藤村氏一人を悪人にしております。報告書で、長年我々と調査をともにしてきた当研究所の理事である横山裕平氏には再三協力の申し入れをしたが、残念ながら種々の事情で協力を得ることができなかったが、いずれの日にか、事実の解明に役立つ彼の情報が得られるものと、元理事長鎌田俊昭氏と梶原洋氏は公表しております。藤村新一と、長年にわたり発掘をともにした横山裕平氏から事情を聴取しないのはなぜか、その理由をお伺いいたします。
 共犯者がいるのは間違いありません。知事及び教育長は、この報告書「藤村新一による旧石器捏造事件と我々の責任」をお読みになりましたか、お伺いいたします。
 以下、五点ほどお伺いします。
 一、一九八二年、住吉遺跡で石器が接合して議論になったが、そのときの内容はどうだったのか。
 二、一九八二年四月、村山・成田山・安沢遺跡いずれかで、藤村新一が石器を差し込んでいるのを目撃されたにもかかわらず一笑された状況は、どういうことだったのか、お伺いします。
 三、一九九二年八月、高森遺跡であきちゃん−−山田晃弘氏のことです。「あきちゃん、かわいそうだから見つけてやっから」と言って、三点の石器を発見したが、山田晃弘氏−−県の職員です−−あきちゃんから状況調査をされたのか、お伺いいたします。
 四、一九九八年十月、上高森遺跡でビデオ撮影の画面に、石器の下から松の葉が映っていたとあるが、そのビデオの確認をしたのか、お伺いいたします。
 五、一九八八年十一月、高森遺跡ゼロ地点で、藤村は、芹沢長介教授の目の前で石器を発見しているが、芹沢教授から当時の状況を調査したのか、以上、五点についてお伺いいたします。
 先月、県民の方から手紙をいただきました。その内容は、宮城県から全国、全世界に発信したあの忌まわしい捏造事件と、公金を使っていながら、だれ一人として責任をとらない無責任ぶりにあきれ返ってしまいました。普通の民間会社なら、首脳陣や現場担当者は、責任をとらされて職を辞すのが当たり前ではないでしょうか。赤信号、みんなで渡れば怖くないといったように、わからなかったとか、見抜けなかった、だまされたと、専門性のかけらもない学芸員は、当然一般職に配置転換すべきであります。また、それを見逃した上司も同罪であります。のうのうと現職にとどまっていること自体、構造的な犯罪に近いものと感ずるのであります。
 藤村こと門馬新一だけを悪者にして事件の幕引きばかりを急ぎ、再発防止策は全くなおざりにされてしまいました。本当の再発防止策は、関係者全員を他の一般職に配置転換し、文化財保護課を格下げし、生涯学習課あるいは社会教育課の下に置くことも有益と考えられます。
 あれだけの事件を引き起こして、いまだそのままの形で温存しておくこと自体、不思議でなりません。この際、反省を促し、宮城県の文化財行政を再生するためにも、うみを出し切り、課の一つをつぶすくらいの勇断がなければ、県民に対して説明責任を果たせないと思うが、いかがかお伺いいたします。
 旧石器発掘捏造事件にかかわった人間が、いまだに公金を使って県の発掘調査に参加しており、文化財保護課に自浄作用は全くないようですがいかがですか、お伺いいたします。
◎ 知事(浅野史郎)
 大綱二点目の文化財保護課の対応については、私と教育長の見解が同じでございますので、まとめて教育長から答弁をいたします。
 なお、発掘調査報告書については、私も目を通しております。
◎ 教育長(白石晃)
 今野隆吉議員の御質問にお答えを申し上げます。
 初めに、長年にわたり藤村氏とともに発掘し、すべてを知っている横山氏から事情聴取しない理由についてはどうかという御質問でございます。
 東北旧石器文化研究所を初めとする関係者につきましては、これまでも再三にわたりまして事情聴取を行ってきたところでございまして、東北旧石器文化研究所理事の横山裕平氏には、平成十五年二月十八日に、文化財保護課長ほか一名が仙台市内で事情聴取を行いました。その際、本人からは、「捏造にかかわるような具体的なことについては、全く心当たりがありません。悔やまれるのは、現場において事実に接近する機会を見逃したことであり、みずからの力量の不足と判断の不明に恥じ入るばかりです」との反省の弁などがあり、これ以上事情聴取をしても、真相解明にはつながらないと判断したものでございます。
 次に、この報告書を読んでいるかという御質問でありますが、目を通してございます。
 次に、住吉遺跡で石器が接合した際の議論の内容など、五点の確認と状況調査等についての御質問でございます。
 住吉遺跡では、別な層位から採取された石器が接合して不自然ではないかという議論になったものと、ひょうたん穴遺跡の報告書に記載されてございます。この発掘調査は、旧泉市が主体となって実施したものでございまして、石器は石器文化談話会が採取したものであり、県教育委員会にはその議論の内容について知り得る立場にはございませんでした。この議論は、「ひょうたん穴遺跡報告書」によれば、石器につけた注記の間違いということで一応決着したものとされてございます。
 村山遺跡それから成田山遺跡、安沢遺跡のいずれかで、藤村氏が石器を差し込むのが目撃されたことにつきましては、石器文化談話会の独自の調査中の出来事でございまして、県教育委員会としては承知していなかったものでございます。
 それから、県職員からの状況調査の有無につきましては、聞き取り調査を実施してございます。その結果、石器が発見されたのは平成四年の高森遺跡の第三次発掘調査のことでございまして、鎌田氏とともに遺跡にあらわれた藤村氏は、県職員が調査していた地点とは別の場所で石器を発見したとのことでございます。また、県職員に関する言葉につきましては、藤村氏が鎌田氏に話したことを県職員が後で鎌田氏から聞かされたものでございまして、藤村氏から直接言われたものではないとのことでございます。このように、県職員は、石器発見を直接見たわけではなく、更に藤村氏の言葉も後で知ったことから、藤村氏の言動に関して特に疑義は感じなかったと言ってございます。
 ビデオの存在でございますけれども、県教育委員会は、平成十四年に日本考古学協会から刊行されました前中期旧石器問題調査研究特別委員会報告で初めて知ったものでございまして、そのときには、平成十三年に行われた検証発掘によりまして、既に上高森遺跡の旧石器が捏造であることが明らかになっていたことから、ビデオについては改めて確認はしてございません。
 芹沢長介氏からの状況調査についてでございます。これは、平成三年に県教育委員会が調査を実施する以前の昭和六十三年の石器文化談話会によります高森遺跡の第一次発掘調査時に行われたものでございます。この第一次調査における藤村氏の発見につきましては、平成十三年十月五日付の日本考古学協会から入手した藤村氏の捏造告白文書に、三点の石器を捏造したということで明記されておりましたので、芹沢氏からの状況調査は、特に必要ないと考えたものでございます。
 次に、捏造の再発防止策として、関係者の配置転換や担当課の改変をしたらどうかという御質問でございます。
 旧石器発掘捏造につきましては社会的影響の大きい問題であると受けとめ、県教育委員会としては、文化財保護課を中心として適切に対応し、県民に対する説明責任も果たしてきたものと考えてございます。
 具体的に申し上げたいと思いますけれども、捏造発覚直後の上高森遺跡に関する問題検討委員会を設置したり、あるいは学校教育や生涯学習活動などに及ぼす影響への配慮もしてございます。また、県教育委員会が主体となって発掘調査を実施した遺跡を対象とした内部調査も実施してございます。更に、日本考古学協会や宮城県考古学会等による石器検証に対する全面的な調査・協力、並びに上高森遺跡、座散乱木遺跡の検証発掘への支援も行ってございます。更には、関係市町村と連携いたしまして、藤村氏関与の県内百四十八遺跡の石器検証とそれから遺跡の現地調査、それから、その結果の公表と関係遺跡の取り扱いについて周知徹底をしたところであります。加えまして、元副理事長との面談に向けた努力などなどにつきまして積極的に取り組み、かつ、最善を尽くしてきたところでございまして、関係者の配置転換あるいは担当課の改変というものは考えてはございません。
 次に、担当課の自浄作用がないと思うがどうかという御質問でございます。
 県教育委員会が主体となって発掘調査を行った遺跡で、前副理事長による捏造が行われていたことはまことに残念でありますけれども、発掘調査を担当した職員がそれを見抜けなかったことにつきましては、当時の事情からしてやむを得なかったものと考えてございます。しかしながら、結果的に誤った情報に基づき各方面に混乱を招いたことから、昨年の五月十六日に、それらの遺跡の発掘、整理・分析や調査報告書の執筆編集に直接携わった関係職員九名に対しまして、今後再びこのようなことがないように、口頭及び文書による厳重注意を行ってございまして、強く注意を促したところでございます。
 県教育委員会いたしましては、今後の再発防止に向けまして、発掘調査で重要な発見あるいは新しい知見が発見された場合などには、発掘現場における複数の調査員による徹底した事実確認と出土品の厳正な取り扱いの励行、発掘調査現場や出土品の積極的な公開による透明性の確保などに努めるなどの取り組みを行っているところでございまして、今後ともその徹底を図りながら、文化財保護行政の信頼の回復に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
◆ 今野隆吉
 再質問いたします。
 知事、先ほどこの報告書をお読みになって目を通されたということを言っていますが、そうしますと、これを読んでみて、どのようにこの報告書を評価されていますかね、それ、まず一点お伺いしておきます。
 それから病院管理者ですか、この医薬品卸売業者に対して提訴を視野に入れてというのは、委員会で前々から言っている話ですよね。それで今になってまた同じことを繰り返した答弁をされているんですが、いつまでそれではやられるんですか、これは。それを一点お伺いしておきます。
 それともう一つなんですけれども、横山裕平氏から事情聴取したと。課長さん一人でしたのかな。これ、ほかにも、横山裕平さんとお会いして、本人から宴の席で、やったと言うのを聞いている人がいるわけですよね。ですから、横山裕平さんは、この核心を握っている方なんですよ。だからこの報告書の中にも、「事実の解明に役立つ彼の情報が得られるものといずれ思います」と、鎌田理事長とか梶原洋さんが言っているわけですから、報告書の中に書いているんですよ。ふたをするためにお会いしただけでは意味がないので、こんなやり方をやっているから、私は文化財保護課は何をやっているのと言いたくなるわけであります。この辺もう一度会って、横山裕平さんに確認すべきですよ。そのようなこと何でもないんだったら、この報告書に、彼も報告義務があるわけですから。ところが、報告書にはこの鎌田さんと梶原さん、二人だけですよ、書いているのは。出てきていないわけでしょう。今の教育長の答弁、そのとおりだったら、何も出てきていいわけですよ。そうでしょう。全部の報告書に出ていませんから。鎌田さんと理事長、梶原さんとそれから藤村さんと横山裕平さん、四人が発掘調査委員だったわけですから。それでその結果を報告するのが、四人で報告書をつくらなければなりません。藤村さんはこのようなことでだめになってしまいましたから。そうすると、残りの横山さんはやはり当然ここに出てこなくちゃいけない、報告書に。この報告書も逃げて書いていませんからね。おかしいと思いませんか。その辺をもう一度お聞かせ願いたいと思います。
◎ 知事(浅野史郎)
 今野隆吉議員の再質問にお答えいたします。
 私からは、ひょうたん穴遺跡の発掘調査報告書、これは東北旧石器文化研究所の鎌田さん、梶原さん、両者が書かれた報告書の感想ということでございます。
 読ませていただきまして、本当に率直に反省をされております。それから、ここでもはっきりと、もう二十年も前からやられていると。だから、最近の出来心とか、そういうものではないだろうということがあったのが印象に残っております。それから、そういったことを一つ一つ見抜けなかったのかなという感じで御本人たちもおっしゃっておりますけれども、よほどそこは巧妙にやられたんだなという、そういった感想を持っております。
 なお、ほかの質問については、それぞれ担当からお答えをいたします。
◎ 教育長(白石晃君)
 今野隆吉議員の再質問にお答えを申し上げます。
 横山裕平氏の関係でございますけれども、これは先ほど申し上げましたのは、十五年二月に、文化財保護課長のほかに一人立ち会いまして面談してございます。それで、先ほど申しましたように、捏造にかかわるような具体的なことについては全然心当たりがない、あるいはみずからの力量の不足、判断の不明を恥じ入るということだけを申し上げておりますので、そういった点でいけば、これ以上事情聴取しても真相解明にはつながらないということがありますので、あえて再び会う必要がないんではないかなというふうに考えてございます。
◆ 今野隆吉
 再々質問します。
 教育長、文化財保護課長が十五年の二月に横山裕平氏にお会いをしたと。そのときはそんな身に覚えがないような話だったからと。ところが、十五年の十二月なんですよね、この報告書の発刊は。それには、はっきりと序文の中に書いてあるわけですよ。横山裕平氏には、再三協力の要請したんだけれども、残念ながら種々の事情で、種々の事情で協力を得ることができなかった。しかし、いずれの日にか、事実解明に役立つ彼の情報が得られるものと、完全に情報を握っているというのを承知しているのが、この元理事長鎌田俊昭氏と梶原洋氏なんですよ。そうでしょう。だから、知事さんにも教育長さんにも、この報告書をよくごらんになったんですかと聞いているんですよ。読んでないですよ。上っ面だけですよ、それは。序文の最後の責任者というのにもちゃんと入っているでしょう、このお二人の名前、鎌田さんと梶原さん。ここに横山さん、入っていないわけですよ、名前が。そして後ろの百三十五ページ、後ろの方ですよ、責任というところ。そこの中に、もう三十近く、だーっとその発掘のそれぞれで問題が提起されておったわけですから、それを見過ごしたとか、わからなかったということはあり得ないわけで、その一点一点に対してどうなのということぐらい調べておくべきじゃないかということを申し上げたわけで、再度御答弁お願いいたします。
◎ 教育長(白石晃)
 今野隆吉議員の再々質問にお答えを申し上げます。
 議員引用の「藤村新一による旧石器捏造事件と我々の責任」という文章でございますけれども、これは先ほど説明したように私も読んでおりまして、それで横山氏に聞いた上でいろいろ解明していきたいという旨の話については、二カ所当たりで出てきているというふうに思っておりますけれども、事実として、書いてあることは間違いございません。それで、この横山氏につきましては、いずれ、この東北旧石器文化研究所ということでのNPO法人の中での話でございますので、今回そのレポートをまとめる際に、内部的な話として、横山氏からの協力を得られなかったということだろうというふうには考えてございます。したがいまして、そういった話のほかに、我々としても、いろいろ今回の捏造事件に関しまして横山氏に話を聞きたいということで考えまして、先ほど言ったように、会う機会を持ったということでございます。

平成16年11月定例会 12月06日

◆ 川嶋保美
 それから、嘉倉の遺跡なんでありますが、前に東北旧石器文化研究所の藤村新一さん、副理事長さんの捏造は、世界に大きな衝撃を与えたわけであります。宮城県もですし、日本もそうですが、そして、そういう歴史へのロマンを砕いてしまったということでありますので、そういう意味では、この嘉倉遺跡というものを力を入れることが、やっぱりその信頼を回復する意味で非常に大事ではないかなと思っている次第でありますが、築館町といわずに、県の方でひとつ力を入れて、看板を上げるとか、あそこを整備するとか、山内丸山遺跡よりも古いということですごく地元の人たちは評価をしているわけでありますから、そういう意味では大事な場所であります。
 伊豆沼周辺、内沼周辺にはそのほかに七カ所あるわけでありますから、昔は縄文時代の平和でのどかで生活のしやすい環境の中で何千年も暮らしていた人たちがいるわけでありますから、それをやっぱり将来に残しておくということで非常に大事ではないかと思いますが、その二点、お願いいたします。
◎ 知事(浅野史郎)
 嘉倉の遺跡ですね、これは大変貴重なものであります。もちろん、これは築館町に全部任せてしまうということはございません。先ほども申し上げましたように、我々としても非常に重要な遺跡であるというふうに思っておりますので、これは何とか国の史跡に指定されるということが先決だと思っておりますけれども、それを前提として、我々としてもできる限り支援をしていきたいというふうに考えております。

平成16年11月定例会 12月08日

◆ 今野隆吉
 次に、捏造旧石器と県行政についてお伺いいたします。
 この問題につきましては、平成十二年十一月の第二百八十五回県議会以来、十一回にもまたがり質問してきました。県教育委員会は、重大な過失をしてしまい、前向きの答弁ができないのであります。それは、発掘調査に参加して処分を受けた五名の県職員がおり、この関係者らが知事及び教育長の答弁書を作成しているからであります。歴代の文化財保護課長の中には、若いころ、座散乱木遺跡や馬場壇遺跡を藤村新一と発掘調査をともに参加して行った関係者が今でもいるのであります。
 平成十三年十月、日本考古学会は、藤村新一の捏造告白文について、前・中期旧石器問題調査研究特別委員会で戸沢充則委員長から報告があり、会議終了後、配付資料はマル秘扱いとして回収され、いまだに藤村新一の告白文は黒塗りにされたままであります。
 ナンバー一、平成十三年八月十六日受信した手書きのファクスメモの告白文。第二、同年九月十三日、面談の際に直接手渡された告白文。第三、同年九月二十六日受理した告白文。以上三回、藤村新一から戸沢調査研究特別委員長に渡された告白文は、黒塗りにされて、いまだ公表されていません。
 また、平成十四年九月設置された県の石器検証部会は、部会長に文化財保護課長、会員は、県の主任主査と東北歴史博物館副主任研究員などで構成され、その中に藤村氏と発掘調査に参加した県職員がいるのであります。
 一昨年、私に対して、宮城県考古学会・旧石器発掘ねつ造問題特別委員長から圧力がありました。入院先の病院に夜訪ねてきて、議会で取り上げないでいただきたいと言うのであります。だれに頼まれたかとただしたところ、前・中期旧石器問題調査研究特別委員会の委員長から依頼されたこと。これが考古学会の実態であります。
 文化庁から教育委員会に対して、窓口を一本化するから、教育委員会は勝手に動くなと指示がありました。更に、文化財保護課長は、検証の方法が確立されていないとして、独自の検証をしようとしなかったのであります。藤村新一一人を悪者にして、文化庁も県も真相を解明しようとしなかったのであります。県教育委員会は、初めて土から顔を出した石器の写真を一枚も撮っていなかった点、石器に枯れ葉がついていた点など、ずさんな発掘を黙認してきたのであります。したがって、藤村新一にだまされたのではなく、故意に事実を隠ぺいしていたのであります。二十年以上にも及ぶ捏造を見破ることができなかったとか、藤村にだまされたと言う、初歩的知識すらない職員を文化財保護課に配置して、知事及び教育長の答弁を作成させてきたのであります。藤村とともに発掘調査に参加した職員に答弁書を作成させ、知事及び教育長は、ただ棒読みをしているだけなのであります。
 そこで、三点お伺いいたします。
 知事、教育長及び教育委員会委員長それぞれの御所見をお伺いいたします。二つ、文化財保護審議会はどのようにかかわってきたのか、お伺いいたします。三つ、県が設置した石器検証部会の検証方法と結果はどうか。以上、三点をお伺いいたします。
 次に、知事の政治姿勢についてお伺いします。
 去る十一月十日、第四回都道府県議会議員研修交流大会が開催され、慶応義塾大学の小林教授の基調講演がありました。県議会からも数名参加したのであります。その中で、二〇〇〇年四月一日、地方分権一括法が施行されたことにより、議会は、かなりのことを、やろうとすればできる法律なのであります。最近の知事は、住民と直接問うようになり、議会は知事に伝えるパイプ役として映ってしまい、自治体の施策をつくるのは知事というように誤解を招いてしまいます。知事は、住民との直接パイプをどんどんつくっていくのです。知事は、議会を通さないで、直接、住民からインターネットやファックスで受け、監視機能を住民に与えているのであります。無論、我々議会ももっと危機感を持つべきであります。
 また、小林教授は、通告制についても、文章化されたものを読み合っている茶番劇であると鋭く指摘されていました。藤村新一の捏造旧石器問題に対しても、職員が文章化したものを読むだけなのであります。
 確かに、鳥取県の片山善博氏は、議会は、学芸会と八百長であると言っています。学芸会とは、最初から全部、シナリオとセリフまでが決まっており、議会前に根回しが行われているという状況を指摘したものであります。<以下略>
◎ 知事(浅野史郎)
 旧石器捏造問題についてでございますが、この問題についての事態の推移に対応して、その時点その時点において、検討・検証組織を立ち上げるなど、教育委員会においては、この問題に対して適切に対応してきたものというふうに私としては認識をしております。
◎ 教育委員会委員長(藤村重文)
 一連の捏造事件に関し、県教育委員会の職員が故意に事実を隠ぺいし、藤村新一氏にすべての責任を押しつけたのではないかという御質問であります。この質問についてお答え申し上げます。
 今回の捏造事件が学校教育や生涯学習活動などにはかり知れない影響を与えたことには、大きな衝撃と憤りを感じているところでございます。また、県が主体となって実施しました遺跡でも捏造があり、それを見抜くことができなかったことは、まことに遺憾であると思っております。しかしながら、結果的には誤ったものではありましたが、調査を担当した職員は、当時の学会の水準を踏まえて発掘を行ったものと理解しております。
 この事件を教訓としまして、今後は、再発防止に努めますとともに、文化財保護行政の信頼回復に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
◎ 教育長(白石晃)
 今野隆吉議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、今回の捏造事件に関しての感想でございますけれども、今回の捏造事件というものが、学校教育、あるいは生涯学習活動、あるいは地域おこし事業、そういったところに非常に大きな影響を与えたこと、これは、大きな衝撃と憤りを感じていること、更に、県が主体となって実施した遺跡につきましても捏造がありまして、それを見抜くことができなかったということ、まことに遺憾であるということは、委員長と同じ思いであります。
 特に、県内百四十八の関与遺跡があったわけですけれども、そのうち九割近い百二十九遺跡が、旧石器時代の遺跡とは認められないといった深刻な結果になったわけでございますけども、これについても、まことに遺憾というふうに考えてございます。
 この事件を教訓として、これからは、やはり再発防止というものが非常に大事になるであろうというふうに考えておりまして、そのために、県独自の改善策といたしまして、常に複数による事実関係の確認を重複して行うとか、あるいは、必要に応じて出土状況の写真記録を作成する、そういったことを励行するとかということで、県独自の改善策というものをこれからきっちりと守っていきまして、今後とも、文化財保護行政の信頼回復に努めていきたいというふうに考えておるところであります。
 それから、二点目としまして、文化財保護審議会とのかかわりはどうだったのかというようなお話がありました。
 この文化財保護審議会は、御案内のとおり、そもそも設置の目的は、県指定文化財の指定に関する審議、あるいは文化財の保護と活用に関する重要事項を審議するということになってございます。この捏造事件につきましては、平成十二年の十一月に発覚したわけでございますけれども、その発覚した後には、審議会の開催ごとに状況報告を行ってございます。昨年の三月の審議会では、県教育委員会としての検証結果というものを報告いたしまして、了承されておるというところでございます。
 それから、三点目としましては、石器の県の検証についてはどうなのかと、体制、方法、あるいは結果ということでございますけれども、これは、この石器検証に当たりましては、平成十二年に上高森に関する問題検討委員会というものを設置してございまして、その中に石器検証部会というものを組織して行いました。この構成員でありますけども、これは、やはり専門的な知識を持つ者が必要でございまして、石器の検証などを通じまして、開発等を制限する側面を持つ遺跡に対する適正な評価を早急に行う必要があったということがありまして、十分な専門性を持って、しかも継続的に検証調査に対応できる職員を充てたというところであります。
 検査方法については、これは、日本考古学協会が採用してございます、例えばガジリであるとか、鉄分であるとか、あるいは付着土、そういった有無などについて検証をしてございます。それで、そういったことだけではなくて、更に、石器検証部会での調査結果につきましては、調査内容がほぼ明らかになった時点で、日本考古学協会、それから宮城県考古学学会の専門家八名を招きまして合同検討会を開きまして、検証方法と、それから調査結果の確認などを行いまして、客観性あるいは透明性を確保したということであります。
 その結果でありますけれども、先ほど申し上げましたように、県内百四十八遺跡あったうちで、九割近い百二十九遺跡で旧石器時代の遺跡等を、今後、その百二十九遺跡については、旧石器時代の遺跡としては取り扱わないという結果になったということであります。
◆ 今野隆吉
 旧石器の関係でございますが、私は、だまされたとか、あるいは見破ることができなかったというのは全くのうそです。土木工事、見てごらんなさい。基礎工事の段階で、まず写真撮ります。そして、でき上がったら、また中間写真、完成写真というのを撮っていくわけですね。これを記録として残すわけです。発掘調査も同じでありまして、発掘して、石器が顔を出した段階で、まず写真撮らなければなりません。そして、取り上げて初めて、こういう石器が出ましたということで記録写真を撮るんですよ。ところが、この二〇〇〇年十一月四日、捏造が発覚する以前に、既にこういうような証拠写真が、座散乱木・馬場壇遺跡についてもさえ写真がないんですよ。ですから、隠ぺいしたんではないかと言わざるを得ないんです。
 更には、出てきた石器に枯れ葉がついてたんですよ。こんなこと、十万年、三十万年前にありますか。これは、だまされたとかですね、専門家のあれで部会をつくらなくちゃいけないなどと言ってますけども、また、今の体制の中で対応できない、そういうような話の答弁、教育長さん、今の話、ちょっとおかしいのと違いますか。もう一回、各報告書を全部お読みになればわかる話です。報告書にはそういう写真一切載ってないんですから。
◎ 教育長(白石晃)
 石器の出土状況の写真記録のことでございますけれども、この遺跡の発掘調査における個々の石器の出土状況の記録につきましては、特別な決まりがあるわけでございませんで、特徴的な石器、あるいは特殊な出土状況を示している場合などに、発掘調査者が必要に応じて撮影しているというものであります。
 具体的に申し上げますと、初めて土から顔を出した石器につきましては、いわば、土にまみれて特徴が判然しないということもございまして、一度取り上げて、付着している土を除去して、再びもとの位置に戻して写真を撮影するというやり方が、捏造発覚以前では、全国的に見て一般的な方法でありました。例えば、東京都の発掘調査報告書もあるわけですけども、そういった報告書の中でも同様な状況にあるということでございます。したがって、宮城県における旧石器の発掘調査だけが、個々の石器の出土状況を示す記録写真を撮らないで報告書に掲載していないわけではないということと思ってございます。
 そういった問題も今回の捏造の関係で生じてきたわけでございまして、先ほど御答弁さしていただいたように、再発防止の具体的な改善策ということで、その部分について触れてございます。それで、発見された特に重要な出土品については、出土状況の写真記録の作成、あるいはインプリント、これは地面に残された圧痕でありますけども、そういった確認などの励行に努めましょうと。そして、更に、不自然な痕跡などを徹底的にチェックしましょうということで、これまで以上に厳正な取り扱いに努めていこうということにしてございます。
◆ 今野隆吉
 まあ、何度言っても同じなんでね、しようがないですけどね。やっぱりその辺、もう、遺跡の数が多いんですよ。それだけに報告書の数も多いわけですよね。そういう報告書を全部、一ページから全部、検証、本の方の、報告書を検証したらいいんじゃないですかね、もう少し。そうやっていかなかったら、ただ、今のように、マニュアルでも新たにつくってやってながめれば、まだまだいろんなの出てくんじゃないですかね。
 再発防止、防止と言ってますけども、ならば、マニュアルとかそういうのももうできたんですかね、二〇〇〇年にこういう問題が発覚したわけですから。それがいまだにないと思いますよ、マニュアル。それで、本会議場で、答弁だけは再発防止と、こう言ってるんですよね。効果、全く出てない感じいたします。まあ、感想ですから、あと言ってください。

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