関口良雄作のページ


1918年長野県飯田市生まれ。53年大田区新井宿に古本店山王書房を開店。63年「上林暁文学書目」、64年「尾崎一雄文学書目」を自費出版。70年尾崎一雄らと五人句集「群島」を刊行。死後の78年随筆集「昔日の客」、81年「銀杏子句集」が三茶書房より刊行される。77年結腸癌のため死去、享年59歳。

 


 

「昔日の客 ★★☆




2010年10月
夏葉社刊

(2200円+税)

 


2014/08/19

  


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東京は大森で古書店“山王書房”の店主だった著者が、文士たちとの交遊等々について語ったエッセイ集。
島田潤一郎「あしたから出版社を読んだからこそ知った一冊です。
三茶書房、昭和53年刊行本の青葉社による再刊。

読んでまず感じることは、古き良き時代かなぁ、ということ。
正宗白鳥、尾崎士郎、尾崎一雄といった当時を代表する文士たちの磊落な姿、著者との普段着の付き合いが生き生きと息づいていて、読んでいるだけでとても楽しい。
彼の人たちは“小説家”ではなく、いかにも“文士”なのです。
また、それに相応するように、古本屋という存在も、現在よりもっと奥床しいものがあったのではなかったか、と感じます。

文士との交流部分も得難いのですが、古本屋の店主として度々訪れる客とのやりとり部分もまた味わいがあります。著者が商売人くさくなく、本好きという匂いを盛んにしているところも楽しい所以です。
(トイレの照明をめぐる逸話、電車での忘れ物についての逸話には、つい笑わされてしまいました。)

なお、本書に登場する文士・作家は、正宗白鳥、尾崎士郎、尾崎一雄、上林暁、三島由紀夫、川端康成といった面々。
また、著者略歴において交流のあった作家等で主だった人たちの名前が紹介されていますが、その中に
沢木耕太郎、村岡花子、出久根達郎といった方たちの名前もあったことに目を惹かれます。

是非お薦め。

     


 

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