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1.天使の卵 3.星々の舟 5.天翔る |
●「天使の卵 エンジェルス・エッグ 」● ★★ 小説すばる新人賞 |
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1996年06月
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電車の中で初めてその女性を見たときから、19歳の予備校生「僕」は恋に落ちます。相手は8歳年上の精神科医、入院している「僕」の父親の担当医でした。 これまで、青春期における年上の女性への憧れ・恋愛といったストーリィを、どれだけ多く読んできたことでしょう。精神的な片想いに終わったものもあれば、肉体関係に至ったものもあります。ツルゲーネフ「初恋」、ラディゲ「肉体の悪魔」、フルニエ「グラン・モーヌ」、三島由紀夫「春の雪」、ヘッセ、片岡義男、等々。しかし、私自身が年を経るに連れ、いつしかそれらは過去の読書録の中にしまいこまれていました。
本書を読み始め、暫くして感じたことは、ああ、随分久し振りだなあ、ということ。次に思ったことは、これまでの作品が殆ど男性作家によるものであったのに対し、本作品は女性作家によるもの、その為か新鮮な印象を覚えたということ。 |
●「すべての雲は銀の...」● ★☆ |
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2004年04月
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恋人の裏切りに大きく傷ついた主人公が、親友の勧めで信州菅平のリゾート宿にバイトにやってくる。そこで、幾人もの心優しい人たちに出会い、その人たちも各々に傷ついた過去を抱いていることを知り、徐々に心を癒されていくというストーリィ。 リゾート宿の様子や、フラワーアレンジメントのこと等、あまり知らないリゾート地の裏側の暮らしが、順々に紹介されていきますので、興味を惹かれるまま、ストーリィの中へ素直にはまり込んでいきます。 しかし、正直言って、きれいごと過ぎるなァという印象あり。 そうした思いは、主人公の女々しさにうんざりする裏返しでもあります。最早どうにもならない元恋人に対して、女々しさをいつまでも引きずっている。それに対比するかのように、彼の見本となるような人々の羅列、という厳しい見方をせざる得ません。 バイト先の宿に集うのは、各々個性ある人たち。それなのに、折角の登場人物がまるで彼のために描かれているような感じで、勿体無い、というのが正直な気持ちです。 恋人との不本意な別れに傷つくのは、ラブ・ストーリィとしては当然のことでしょう。しかし、その点、直前に読んだ「パイロットフィッシュ」の方が、いつまでも消えない、鮮やかな余韻を残しています。 とはいえ、一度読み始めたら止まらず、一気に読み上げてしまうだけの魅力を備えているのも事実です。 |
●「星々の舟」● ★★ 直木賞 |
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2006年01月
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これまでの作品とちょっと異なり、人の重たい部分に初めて入り込んだ作品ではないか、と感じます。 重之と前妻の間の貢、暁は年の離れた兄弟。暁が幼い時に前妻が逝ったため、後妻にはいった志津子の連れ子・紗恵と暁は、兄妹として分け隔てなく志津子に可愛がられて育つ。その時、既に長兄・貢は家を出て下宿していた。そして、末っ子として生まれたのが美希、という水島家の家族構成。 雪虫/子供の神様/ひとりしずか/青葉闇/雲の澪/名の木散る |
●「ダブル・ファンタジー」● ★★ 中央公論文芸賞・柴田錬三郎賞・島清恋愛文学賞 |
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2011年09月
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パスする予定でしたが、3賞を受賞した話題作でもあるし、ちょうど目の前に在ったので、読むことにしようかと思った次第。 35歳の脚本家、高遠奈津が主人公。 「ほかの男と、した? 俺のかたちじゃなくなってる」という帯の宣伝文句は相当に刺激的ですが、それ程官能的な作品とは感じません。官能というのなら、私にとっては中山可穂作品の方がはるかに官能的。 時間をかけて読むのが相応しい作品とは思わなかったので、休日の今日一日で一気読み。 |
5. | |
「天翔る(あまかける)」 ★★☆ |
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2015年08月
2013/04/08
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父親を失い、学校でのイジメによって不登校になってしまった少女=岩舘まりもが、馬との出会いを通じて成長していく姿を描いた、清新な成長ストーリィ。 不登校という自分の状況に苦しむまりも。まりもと知り合って姉妹のように親しい仲となった看護師の大沢貴子も、過去の記憶から男性関係に苦しんでいる。また、貴子がまりもに馬と触れ合う機会を作った乗馬牧場の経営者=志渡銀二郎も、無二の親友に裏切られ家族をも失ったという苦しい経験を抱えています。 彼らが互いに労わり合い励まし合い、そして援助者を得て皆でエンデュランス挑戦に至るまでのストーリィ。その中でまりもの存在がひときわ輝きを放っていることは言うまでもありません。 1.突風/2.目覚め/3.訪問者/4.勝ち負け/5.傷痕/6.限界/エピローグ.空へ |