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        1913年発表 
         
        1998年12月 
        岩波文庫刊 
        (700円+税) 
         
        1999/01/09 
         
          
         
        2005年2月 
        みすず書房刊 
        (2400円+税) 
         
        amazon.co.jp 
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   初めてこの作品を読んだのはもう27年も前のことです。その時は「さすらいの青春−モーヌの大将−」という訳題でした(角川文庫)。 
        主人公が15歳の時に現れた友人モーヌ。彼は学校を脱走した或る日道に迷い、ある館で開かれた不思議な園遊会に紛れ込んでしまいます。そこで彼が知り合ったのは、イヴォンヌという美しい少女。 
        その館への道を再び見失ったモーヌは、その時からその少女を探し求めて彷徨を続けることになるのです。 
        本書のストーリィはちょっと捉えにくいところがあります。その所為か、以前からストーリィを思い出そうとしてもなかなか果たせず、歯がゆい思いをしたものです。 
        でもその一方、霧の向こうに切ないような青春の面影を見た思いが、いつまでも消えることが有りません。 
        主人公とモーヌは各々作者の分身ですし、登場する二人の女性も作者が現実に恋愛関係にあった二人をモデルにしたものだと言われています。 
        本作品は、作者の思いがそれだけ投影された分、読み手の胸を深く打って離さないような気がします。 
        モーヌが再登場する最後の場面は、いつまでも胸に響いています。 
        紛れも無く、本作品は私にとって忘れ難い青春小説のひとつです。 
  ※2005年02月みすず書房より森まゆみ解説付きの「グラン・モーヌ」が刊行されています。アラン=フルニエの故郷を訪ねる等作者についての詳細な説明がなされており、お薦めしたい良書です。 
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