人間、とりあえず主義・21 「つつがなく面倒な時代」
(2000年 筑摩書房PR誌)
筑摩書房のPR誌に掲載されたエッセイ。フリーペーパーなので是非読まれるべし。
今回は、あるボランティア団体から講演を頼まれたことの顛末を綴っている。
講演するのに、履歴書を書かされたそうだ。主催者側も、履歴書を書くような人かどうか、著作を読んでいればわかりそうなものなのに。
さらに、ナマ物が苦手だとのデマ情報のせいで、御当地のおいしいお刺身が食べられなかったとのこと。ナマ物が苦手だなんてことは著作を読んでもそんなものはみあたらない。災難でしたね(笑)。
でも、次からの講演では必ずお刺身でますよ。「先生は聞くところによると、ナマ物が大好物だとか」なんていわれて、きっといやってほど、どこもかしこもさしみさしみさしみ。なんてったって杉林ですから、お役所は。
「情報時代は情報が多いだけで、情報が正確になったということではない」とプンスカしている。これからなだいなださんを講演によぼうとしている方、このサイトの情報もいい加減極まりないので、あてになさらぬように。但し、「謝礼は多いほうがうれしいけどみえもある」「履歴書が書きたくない」「おいしいお刺身が食べたい」、この情報は正確。是非参考にしてくださいね(笑)。(2000/6/15)


こころを育てる―杉林がいいか雑木林がいいか―
(2000年 ジャパンタイムズ ISBN4-7890-1016-3 \1500)
6月4日発売の最新刊,書下ろしっぽい感じだけど,詳細不明.
まずは,入手するまでが大変だった.日曜日に買いにいったんだけど、地元の本屋全滅.それから渋谷の本屋も全滅.新刊のコーナーを探すとない、男性作家のコーナーにもない、エッセイのコーナーにもない、店員さんに聞いてみると、教育のコーナーにあるとのこと、でもさがしにいってもない、又聞いてみると「あいにく切らしております」とのこと.新宿のタイムズスクエアの紀伊国屋で発見.電車賃だけでも600円もかかった.わたし的にはこの本の価値2100円.そのほかおなかがすいてソバも食べ、コーヒーも飲んだからもっとかかったぞといいたいけど意地汚いのでやめておく.賢い人はネットで買おう、ビバ!インターネット!.(ここ)
テーマは再三取り上げている教育.形式はなだいなだお得意の対話型.やはり仕事柄、対話にすると一番いいたいことが伝えやすいのかな.しかし今回はいままでとはちがうんです.いつもは、なだいなだが教える人の役をやるんだけど、今回はなだいなだが教わる人で、教える人は夢の中に出てきた人を設定している.なだいなだ自身も「教育のあり方」について、まだまだなやんでいるのかもしれないと思った.
後半で「教育とは一種の賭けなんだ、だからこそ意図が大事なんだ」と夢中人に言わせる、とてもなだいなだらしいセリフ.何年か前の「日本の論点」での「教育は結果が出るまでに何十年もかかる、だから何十年も間違いつづけている可能性がある」という痛烈な文章を思い出す.
ほかにも、この本には、なだいなだの自伝的要素が多く含まれている.自己分析をおこなっていて、人となりがよくわかる.まあわたし的にはイメージどおり(笑).
アテネフランセは私の母校の近く.一度訪れてみよう.



Copyright (C) 2001 Shin-ichi Takeuchi, All rights reserved.
トップに戻る