尼崎キッズワークショップの報告1尼崎キッズワークショップの活動が1年半をすぎ、そろそろ子供達と、神戸演劇フェスティバルに参加しようと話し合っていたころ、 阪神大震災の被災者復興支援会議から活動を見学したいというお話がありました。 その時の記録がわたし達の活動内容を客観的に表現してくれると思い、ここに掲載してみました。 もし、掲載に不都合があればご連絡下さい。 【活動】移動いどばた会議記録票 記録者:前田、森 実施年月日 平成10年2月28日(土)14:00〜17:00 意見交換先 神戸シアターワークス(キッズワークショップ) 開催場所 塚口さんさんタウン2番館 4階大会議室 参加者 神戸シアターワークス:浅岡輝喜(代表)、担当演出(メンバー)、天野(協力者)、高校生(協力者)、母親3名 被災者復興支援会議メンバー:岩本しず子、島田 誠 プロジェクトチーム.:森 哲男、前田信行 1 神戸シアターワークス (1)演劇を通じて地域コミュニティーの再生、あるいは子供のケアができないかということで、 一昨年1月頃から半年ほどかけて浅岡氏を中心に俳優教育の実績をもつ担当演出氏、 兵庫県こども劇場・おやこ劇場協議会の代表委員の天野氏ら関係者が議論を重ねた。 このことが新聞記事になり、震災によりアトピー症がひどくなった (転居による環境変化に対応できなかったことが原因) 子供をもつ親から、演劇を通じて治療することができないか相談があった。 (2)これがきっかけとなり、神戸で2カ所、尼崎で1カ所立ち上げた。 現在(平成10年当時)尼崎では第二、第四土曜日の午後に開催しており、8人のこどもが参加している。 (3)通常のワークショップではなく、子供の普遍的な問題を解決していくことをめざしている担当演出氏やその助手の役割が大きい。 参加費は無料である。 2 当日の状況 (1)群読の見学(14:00〜15:15) 子供たちが、音楽に合わせてセリフを言い(祭りの場面)少しずつ動きを形作っていく(群読)ところを見学した。 演出氏と助手の女性がリードしているが、決して押し付けではなく、 子供たちに提案させ、選択させながら創っていく過程がよくわかった。 二人が子供たちと対等の立場で会話し、辛抱強く待って提案を導き出していく手法は見事であった。 (2)障害物ゲームの見学(15:20〜15:40) 会議室内の机や椅子を並べてその上を自由に歩かせ、随時のタイミングでストップをかけて、 その姿勢で、何をしようとしているところかの問いかけをするゲ一ム。 子供たちが自由な発想をしていくところが興味深かった。 (担当演出 注:空想の世界では無く、自分の普段の生活の中に、止まったポーズとよく似た場面を想起してもらい、 何をしているかを答えてもらった。この設定により、こどもたちの応答が、 こどもたちの成長に従って日々、月々変化していくことに気付かされることとなった。) (3)バレーボールゲームの見学(15:40〜15:50) 円陣を組み、ビーチボールを使ってできるだけ長くボールのやりとりを続けるゲーム。 相手にできるだけ打ちやすいボールを送る必要があり、全員で課題を解決していくことを体で覚えることが狙いとのことであった。 (担当演出 注:ある継続回数を目標に定め、その回数を全員で達成しようとする時、少しづつ、 学年を超えたチームワークのようなものが生まれていった。その過程を活用して、群読が生まれていった。) (4)意見交換(15:50〜17:00) 以上のワークショップを踏まえて、意見交換を行った。 3 意見交換の概要 ・子供たちは良い子でありたい、悪い子のふりをしたい、認めてもらいたいと思っている。 できないことには言い訳しようとする。しかし、これを変えていこうとは思わない。 任す、できたらほめる、失敗してもいいという方針で体で理解させることが大切である。 子供は小さいながらも、一人の人間として人格を持っているということを理解しなければならない。(担当演出) ・親はどうしても子供に期待をかけるため、上からものを言いがちだが、ここでは対等に接してもらっている。 これがワークショップの魅力である。(母親) ・学年の異なる子供たちが参加していることがよい。相手を思いやる気持ちが強くなる。(高校生) ・今の子供には学校と家庭以外に自分を生かせる場がない。帰属意識がないことが孤立、不安につながっている。 自分に対する評価、自分の役割が見えない。 こういう状況の中で、今日のような活動を進めていくことは非常に意義がある.(岩本) ・演劇を通じて、自分の行動や発言が周囲とあっているかといった、場の理解ができるようになる。(担当演出) ・一人っ子であるが、上下関係の中で発散し、表現する力が身に付いてきた。(母親) ・ワークショップは共同作業であり、やり方は無限にある。一緒にさがす、見つけるという行為である。 子供のよさを引き出すために「待つ」、そして「決断する」その力量が大人に課せられている。(担当演出) ・ここまでくるのに1年半の試行錯誤があった。今の課題は、担当演出さんのような指導者がいないことである。(浅岡) 4 感想 おとなしい子・やんちゃな子、はにかむ子など様々な個性を持つ子供たちが、それぞれなりに伸び伸び、 生き生き、楽しく調和を保ちながら行動していることに驚いた。 こうした手法を教育現場にも導入できないものかと思う。 |
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