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 ライトコントローラ”POLEcon”の製作  - Lighting Equipment Controller -
 ■ ”POLEcon”の概要  - Outline -

positionlight-s.jpg   最近、ウインカー兼用のポジションライト(車幅灯)を着けているバイクを良く見かけます。狭い道でのすれ違い時に安心ですし、遠くからでもバイクの存在がアピールできますね。R1100RTもかなり車幅が広いので、車幅灯が欲しいところです。
 ヘッドライトについては、踏切りや長い信号待ちでは消灯したい時があります。特にR1100RTはバッテリーの容量も厳しいようですので、アイドリング時の無駄な電気は使いたくないものです。また、R1100RTのヘッドライトの明るさについて不満の方は多いようです。
 そこで今回は、次の機能を実現するライトコントロールユニットを製作しました。
  1. ウインカー兼用ポジションライト
    ノーマルのウインカー球のままでポジションライト(車幅灯)として動作します。
  2. ヘッドライトのオートディマー
    ギヤをニュートラルにすると一定時間後に減光(または消灯)します。
  3. ヘッドライトの光量アップ
    昔、CIBIEからヘッドライトをリレー制御にする事で光量をアップするチューンアップキットが販売されていました。これと同様の機能を組み込みました。
  ユニットの設計に当たっては、光量アップ以外の機能を簡単にキャンセルできるように、また、ユニットの故障時や不要になった時にはなるべく簡単にノーマルの状態に戻せるよう考慮しました。


<ユニット名称について>
 ユニットの名称 ”POLEcon” は、PWM Operating Lighting Equipment Contoroller の略称です。
ポレコンと読んでください。英語にはちょっと無理もあるかと思いますが、笑って見逃してください。

 ■ ランプ制御の基礎知識  - About PWM -

 本題に入る前に、ランプ制御に関係する知識を簡単にご紹介します。もっとも、私は電子回路の専門家ではありませんので、私なりの理解の範囲とレベルに限られます。

突入電流

totsunyu.gif  電球に流れる電流は電球に表示されている電圧とワット数から計算できます。例えば、ノーマルのヘッドライト球はハイビーム時12V60Wになっていますので、60W/12V=5Aの電流が流れます。ただしこれは電球が点灯して定常状態になった時の値であり、消灯状態から電流が流れ始める時には定格電流の5倍から10倍の「突入電流」が流れます。つまり、ヘッドライトスイッチをONにすると25〜50Aの電流が瞬間的に流れる事になり、リレーや半導体でランプを制御する場合には許容電流に対する考慮が必要です。実際には60Wのヘッドライト球を制御するのに50Aもの大容量リレーを使う必要は無いようです。

減光の方法

genkou_ani.gif   電球の明るさを下げるには色々な方法があります。
  • 電流を制限する(図2上段)
    抵抗器や半導体を使って電球に流れ込む電流を少なくする方法です。仕組みは簡単ですが、制限した分の電流は熱になって消費されますので、消費電力や発熱の点で問題があります。

  • 電流を高速でON/OFFする(図2下段)
    スイッチを高速で切り替えて点灯/消灯を繰り返す方法です。仕組みが複雑になりますが、電力も節約できる上、発熱も少ないのが特長です。デメリットとしては、高速なスイッチングによるノイズの発生があります。
    今回”POLEcon”に採用したPWMもこの方法の一つです。


PWMについて

pwm_circuit.gif このユニットの心臓部ともいえるPWM回路について、簡単にご説明しておきましょう。PWMとはPulse Width Modulation、つまりパルス幅変調という技術です。図2の下段のようにスイッチのON/OFFを高速で行うと、連続してONにする場合に比べて電球の光度は暗くなります。どの位暗くなるかは、ONの時間とOFFの時間の比率に依ります。このスイッチのON/OFFを電子的に行うのがPWMで、モーターの制御や電源装置などにも使われます。
  図3はPWMの基本となる回路です。
A点に電圧(Hレベル)を加えると、B点にはON(Hレベル)/OFF(Lレベル)の電圧が交互に出てきます。このON/OFFのスピードは、つまり周波数という事になりますが、RとCの値で変えられます。今回はこの周波数を約2.5kHzにしましたので、スイッチを切替えるスピードは1秒間に5,000回という事になります。また、ON/OFFの時間の比率(デューティ比)は可変抵抗(VR)により変えられます。
 このPWM回路をポジションライトとオートディマーの両方に採用しました。





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