和歌入門附録 和歌のための文語文法

活用表 動詞についての留意点 助動詞の種類と機能 助詞の種類と機能 仮名遣

助詞の種類と機能 6

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助詞一覧表

連体助詞 格助詞 副助詞 係助詞 終助詞
間投助詞 接続助詞

間投助詞    

間投助詞は、文中の語の下に投入され、語勢を加えたり、語調を整えたり、あるいは詠嘆の意を添えたりする助詞である。

 間投助詞

【主な機能】
  1. 体言に付いて呼びかけの対象であることを示す。

    八千矛の 神の命 吾が大国主…(古事記、須勢理比売
    我妹子我を忘らすないそのかみ袖ふる川の絶えむと思へや(万葉集、作者未詳)
  2. 詠嘆の意をあらわす。

    これこの大和にしては我が恋ふる紀路にありといふ名に負ふ背の山(万葉集、元明天皇
    谷風にとくる氷のひまごとにうち出づる波春の初花(古今集、源当純

    用言では形容詞終止形に付く例が多く見られる(「めづらしや」「わりなしや」など)が、これらは終助詞に分類した。

  3. 語勢を加えたり、語調を整えたりする。

    やすみしし 我ご大君の 畏き 御陵(みはか)仕ふる…(万葉集、額田王
    きりぎりす鳴く霜夜のさむしろに衣片敷きひとりかも寝む(新古今集、藤原良経
    来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼く藻塩の身もこがれつつ(新勅撰集、藤原定家

    一首目の「畏きや」の「や」は「畏き御陵」の語間に投入されたもので、語勢を加えるのみでなく「畏き」の意を強めるはたらきもしている。二・三首目の「や」はそれぞれ「鳴く霜夜」「焼く藻塩」の語間に投入されたもので、主として語調を整える用法と見てよかろう。

  4. 主として場所を示す名詞に付いて詠嘆を添える。(1)古くは助詞「の」の後に付いたが、のち、(2)名詞に直接付いて連体助詞的なはたらきをするようになり、(3)(4)平安中期以後、詠嘆を込めて場所・時・物事などを示し、格助詞的なはたらきもするようになった。(3)の「や」は「を」(または「は」)、(4)の「や」は「に」の意味にはたらく。因みに(5)連歌俳諧の「切字」はこの用法を引き継ぐものと言われる。
    (1)石見の高角山の木の間より我が振る袖を妹見つらむか(万葉集、柿本人麻呂
    (2)大原小塩の山も今日こそは神世のことも思ひ出づらめ(古今集、在原業平
    (3)武蔵野ゆけども秋の果てぞなきいかなる風か末に吹くらん(新古今集、源通光
    (4)網代木浪のよるよる照る月につもる木の葉の数もかくれず(拾遺愚草、藤原定家)
    (5)荒海佐渡に横たふ天の川(奥の細道、松尾芭蕉
【他の機能】

係助詞終助詞としてもはたらく。

 間投助詞

【主な機能】
【他の機能】

格助詞終助詞接続助詞としてもはたらく。

 間投助詞

【主な機能】
  1. 体言に付き、それが呼びかけの対象であることを示す。
    沖つ藻は辺には寄れどもさ寝床もあたはぬかもよ浜つ千鳥(日本書紀、瓊瓊杵尊
    玉の緒絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする(新古今集、式子内親王
  2. 体言に付き、それが感動の対象であることを示す。
    たづね見るつらき心の奥の海潮干のかたのいふかひもなし(新古今集、藤原定家
    吹きしをり野分をならす夕立の風の上なる雲木の葉(草根集、正徹
  3. 相手に対し、同意を求めたり念を押したりする気持をあらわす。のち、詠嘆的な用法にも使われる。
    あら玉の年の経ぬれば今しはとゆめ我が背子我が名のらすな(万葉集、笠女郎
    なぐさむる月こそあらまほしの影おぼつかなし待つに寝ぬ夜を(草根集、正徹)
【助詞との結合例】
【他の機能】

終助詞としてもはたらく。

 間投助詞

【主な機能】

助詞一覧表

連体助詞 格助詞 副助詞 係助詞 終助詞
間投助詞 接続助詞


公開日:平成19年4月26日
最終更新日:平成20年7月6日