■酒田土人形■
この土人形の始まりは明治初期で、仕事場が新井田川の河口にあった鋳物師の大石助右衛門は、梅雨の増水期などに、鋳物型とおなじようにして人形型を作り、土人形を焼きました。
助右衛門から分家して、人形を焼きはじめた孝之助、重助と続いて、大石文子さんが4代目を受け継いでいます。(1992年調べ)。
また、この土人形のことを土地の人達は、窯場があった地名から「鵜渡川原(うどかわら)人形」とも呼んでいます。
制作者記録:大石文子:酒田市亀ケ崎1-7-13 TEL: 0234-22-1718
■酒田の獅子頭■
この獅子頭は、明治初期から作られていました。市内の伊藤さんがその力強い木彫りの伝統的技法を受け継いでいます。
制作者:伊藤久内:酒田市本町1-1-4 TEL: 0234-26-1405
■酒田の絵ろうそく■
ここのろうそくの絵は、鶴岡とは異なりもっぱら種々の草花を組み合わせて描いています。
製造販売の「平野屋ローソク店」の創業は、江戸時代中期、享保年間(1716〜36)で、庄内藩の農家の副業として、ハゼの実から木ろうを採り、ろうそく作りが始められた頃です。
当時ろうそくは貴重なもので、絵ろうそくは更に貴重品でした。鶴岡のろうそくは藩の庇護のもとに育ってきましたが、酒田では、寺院の信仰の中で庶民が育ててきたといわれています。
平野屋ローソク店(平野士郎):酒田市浜田町1-11-23 TEL: 0234-22-0369
■猪之沢土人形■(廃絶品)
天童市の東、関山街道沿いの猪之沢(いのさわ)の集落で、江戸末期から明治にかけて土人形がつくられていました。
文政(1819〜30)の頃、大庄屋小山田理兵衛が雇い入れた、瀬戸焼の陶工、土赤五郎吉が土人形にも興味を持ち、仙台へ出かけて「堤人形」の製作技術を修得、瀬戸焼のかたわら土人形を作ったのが始まりといわれています。
その弟子の卯平とともに、暇を見付けては作った土人形は、谷地や東郷村(現、東根市)、など当時盛んであった「ひな市」で売られたていたということです。
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■酒田人凧(ひとたこ)■
酒田市には「人凧(ひとたこ)」と呼ぶ面白い凧があいます。凧の画面に人物が描かれているので人凧と呼ばれています。
掲載の右は大人用、左は子供用です。大人用は武者絵、小型の子供用の絵柄には「子供獅子舞、犬乗り桃太郎、柴刈り子供」などがあります。
その他、収録できなかったものに「亀凧」「鶴凧」というこの地方のみに見られる凧があります。亀凧は亀に似た中国の玄武(げんぶ)の図で、長い尾が5本も下がっています。亀に対して鶴を絵にしたのが鶴凧です。
制作者記録:松田正美:酒田市東栄町6-20 TEL: 0234-23-0868
◆(註)記事中の制作者の記録は、1995年頃の調査資料ですので、ご了承下さい。
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(1996.08.01掲載/2001.05.23/2002.07.03/改訂)
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