日本全国郷土玩具バーチャルミュージアム:民芸館:青森県篇(3)



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■(津軽系)こけし
 青森県内の「こけし」は、各温泉を拠点に作られいます。また弘前市内にもこけしを挽いている工人がいます。
 黒石市のそばの「温湯(ぬるゆ)温泉」が、津軽系こけしの発祥の地です。
 津軽系こけしの特色は、ねぶた絵やアイヌ模様を胴に描き入れていることで、この基盤を作ったのは盛(もり)秀太郎さんで、モリヒデの愛称でマニアの間では人気がありました。昭和61年、没。
 現在はこの盛秀太郎の弟子や孫弟子にあたる人達が活躍しています。
「主な制作者・工人」記録
弘前市:  本田功(鳴子系) 長谷川健三(津軽系)
温湯温泉村:  村本文雄 奥瀬鉄則
大鰐温泉村:  間宮正男 島津誠一

八幡馬
 青森・八戸の八幡馬、宮城の木ノ下駒、福島の三春駒は、「日本の三駒」と言われている有名な玩具です。
 昔は八戸近郊の櫛引八幡宮で旧暦8月14日15日の例大祭に、付近の笹子の集落から農閑期の副業として作ったものを売りに来ていました。現在は、祭礼の日には南門の下で売られています。
 【八幡駒の由来書】には、「承久2年(1220)に京から一人の木工師が旅して来て、是川村の天狗沢に住みつき、ここで木工や塗り物を業とした。ところが、部落の溜め池の水換え作業の際に、泥の中から馬形の木片を拾い、それを手本に木馬作りを思い立った」とあります。
 江戸時代、南部藩は馬産地として有名であり、櫛引八幡宮の例大祭の日は「馬市」が開かれた日で、売られて行く愛馬の無事を祈って木馬を買って帰ったのが始まりとされています。
製作者記録:大久保直次郎:八戸市根城笹子15-1 TEL:0178-96-4869
製作者記録:八幡馬製造合資会社(高橋知男):八戸市沼館2-5-2 TEL:0178-22-5729
えんぶりの烏帽子えんぶり人形
 八戸地方では、小正月の豊作を祈る予祝(よしゅく)の民俗行事を「えんぶり」と呼んで、烏帽子形の被り物を被って、田植唄に合わせて舞います。(郷土芸能となっています)。
 この烏帽子は、「えんぶり」の神様で、馬の形を象徴したものといわれ、側面には田植えや刈穂、鶴亀などの縁起ものが描かれています。上部から後方へかけての切り込みは、馬のたてがみを表したもので神の依代(よりしろ)といわれています。
 これを、玩具化したものが「えんぶりの烏帽子」として、市内の土産物店に並んでいます。昭和初期にはすでに作られていたようです。
 「えんぶり人形」は、この郷土芸能の舞いを模したカラクリ人形です。
製作者記録:雇地(やといち)純一郎「丸紅工芸社」:八戸市長者4-6-26 TEL: 0178-22-7920
八戸のくけまり
 かっては、家庭でくず布やくず糸などを利用して、色糸でかがって仕上げた美しい毬でした。現在は八戸市の老人会の手内職で作られています。
 また、もうひとつ糸まりで、くけまり同様に、菱形模様よ中心にした糸かがりの「南部姫毬」があります。
◆(註)記事中の制作者の記録は、1995年頃の調査資料ですので、ご了承下さい。

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(1996.04.14掲載/2000.04.22/2002.06.25/改訂)