日本列島・全国郷土玩具の旅

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----北海道県篇(1)----

----HOKKAIDO(1)----



北海道郷土玩具ガイド(掲載されていないもの、廃絶品を含みます)
網走:木彫りの熊。ニポポ。インカルエカシ。セワポロロ。
阿寒湖周辺:イナウ人形。ムックリ。シマフクロウ。コロボックル。
旭川:木彫りの熊。花矢。ムックリ。シマフクロウ。コロボックル。
小樽:木彫りの熊。
札幌:木彫りの熊。アイヌ人形各種。
八雲町:木彫りの熊。
函館:木彫りの熊。

施設
川村カネトアイヌ記念館:旭川市北門町11。TEL/0166-51-2461
北方民族博物館(道立):網走市字潮見313-1。TEL/0152.45.3888
旭川郷土博物館(市立):旭川市四区一条一町目。TEL/0166.51.7786
八雲町郷土資料館:北海道山越郡八雲町末広町154。TEL/01376.3.3131
神恵内村・日本郷土玩具館:(川白岬)古宇郡神恵内村大字柵内村。
  TEL&FAX/0135-77-6577 問い合わせ:神恵内村教育委員会 TEL: 0135-76-5011

参考情報リンク
【北海道】: [HOKKAIDO GOVERNMENT] 北海道総合企画部情報企画課
【観光まるごと北海道】北海道・北海道観光連盟・北海道観光プロモーション協議会
【アイヌ民族博物館】
【手のひら】北海道の町まちリンク集

◆(註)記事中の制作者の記録は、1995年頃の調査資料ですので、ご了承下さい。


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 北海道の各地見られる木彫り人形に「えんじゅ(槐)の木の彫りもの」があり、コロボックルやシマフクロウが作られています。
コロボックル人形
 【アイヌの伝説】
 コロボックルは蕗の葉で葺(ふ)いた竪穴(たてあな)の家に住んでいて、体が小さく敏捷なので漁猟の技術にすぐれていました。とった獲物は人達にも分け、時には物品と交換することもありましたが、決して姿は見せず、食物を贈るのも夜そっと窓や入り口から差し入れていました。
 コロボックルの姿を一目見たいものと、ある日、アイヌの若者が食物を差し入れる手をつかんで部屋の中に引き入れたところ、身の丈1尺(30センチ)ほどの小さな美しい女性で、唇や手の甲に入れ墨をしていました。姿を見られたコロボックルは、それ以後はとうとう現われことはありませんでした。

シマフクロウ
 【アイヌの伝説】。
 神が「国造り」のため下界へ降りてきたとき、一羽のフクロウと犬を伴ってきました。フクロウは高い木の上から見張り役を、犬は神の小間使いとして走り廻りました。
 フクロウは大きな目を見開いて八方っをにらみ続けました。国土がだんだんと広くなるので、雲を突くほどの高い木に止まり、国造りの邪魔をする悪魔が近ずくと、大きな光る目でにらみつけました。
 国造りが無事に終ったあと、この神は「アイヌの守護神」となり、村の入り口にフクロウの作りものを飾って、悪魔の侵入を防ぐ「守り神」としました。
木彫りの熊
木彫りの熊は北海道を代表する郷土玩具で、札幌をはじめ函館・小樽・旭川・網走など、道内のどこの都市や観光地でも見かけます。しかし、それぞれの土地により、彫り方が少しずつ違っています。そのポーズや表情にもほほえましい姿や荒々しいものなどといろいろの形があります。
 【歴史】この熊の始まりは、大正時代からです。東京で生物学研究所を開いていた、徳川義親(よしちか)が、北海道の(現山越郡の)八雲町で徳川農場を経営していましたが、熊の生態研究のためアイヌの酋長の案内で、よく熊狩りに出かけていました。
 大正10年〜11年に徳川義親はヨーロッパの農民生活を視察、スイスから木彫りの熊を買って帰りました。そして、彼は八雲の農民達を集めて熊の木彫りをすすめました。
 大正13年3月、徳川農場主催で「第1回農村美術工芸品評会」が八雲小学校で開かれ、このとき酪農家の伊藤政雄が出品した熊彫りが、北海道の熊彫りの第1号といわれています。
 毎年、講習会や研究会が開かれ、昭和2年に「北海道奥羽六県連合副業共進会」(秋田県主催)で、この伊藤さんの熊彫りが1位となり、この頃から「北海道の熊彫り」が全国に知られるようになりました。一般に売られるようになったのはそれから2、3年後でした。
 昭和の初めには旭川市の近文でも、アイヌの熊狩りの名手と言われた松井梅太郎が熊の彫刻を始め、アイヌ彫りの伝統を生かして次々と新しい熊彫りを創作しました。

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花矢
 アイヌの有名な行事に一般的には「熊祭り」といわれている「熊送り・イヨマンテ」があります。  このとき熊を射るのに「花矢」が使われます。アイヌ語でエベレアイと呼びます。  「熊送り」には、人々は木幣(いなう)を立て、祝詞(のりと)を捧げ、土産に花矢などを持たせて、熊の霊だけを神の国へ送りとどける儀式です。
 この矢を模してつくられた玩具の花矢は、旭川市の「川村カネトアイヌ記念館」前の売店で売られています。(ここには、その他の郷土玩具もいろいろ揃っています。)
川村カネトアイヌ記念館:旭川市北門町11 TEL: 0166-51-2461
ムックリ(口琵琶)■
 熊祭りなどアイヌの儀式に使われる楽器で、低く単調で哀調をおびた音をだします。
 長さ15センチ、幅2センチ位の薄い竹で、その竹の中をくり抜いてリード(発音装置)が作られています。竹を口にくわえリードを振動させて演奏します。
 阿寒湖や白老(しらおい)、旭川などのアイヌコタン(アイヌ集落)の売店で売っています。

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(1996.04.01掲載/2001.01.02/2002.06.24/改訂)