ミグロのＣＤはいいぞ！

ミグロのＣＤはいいぞ！

スイスの大手スーパー”ミグロ”は色々な物を売っていますが、独自のMusiques suissesというレーベルでＣＤも出していることをご存知でしょうか？
　日本の駅や電気屋、書店の店頭でワゴンに乗せて売られている、怪しげな音源によるＣＤではありません。

スイスの作曲家、演奏家を世界に紹介するという目的で制作されている、極めて高尚な目的の為に作られているレーベルなのです。
　したがって、いわゆる名曲路線とは全く違った、マイナーな作品がその中心となっているのですが、モレやヴェレシュ、ウラディミール・フォーゲルといった現代スイスにおける最重要な作曲家達の作品から、シェックの歌曲、あるいはズッターの合唱作品、更にはシューマンの劇音楽「マンフレッド」をスイスの音楽家たちで録音したり（これはスイスのアルプス地方を舞台として展開するバイロンの劇詩を元に作られた傑作）、十九世紀に活躍したティチーノの作曲家カルロ・ソリーヴァ（1791～1853）のオペラ"La testa di bronzo"の全曲盤やゲオルグ・グルンツの作曲によるジャズ・オペラ"Cosmopolitan Greetings"の興味深いライブ録音（グルンツがどういう人なのか、未だドイツ語の解説を訳していないので、よくわかりませんが）等々、大変面白いリリースを続けています。
　一般受けを考えるなら、もっと違った制作方針があると思われますが、そう売れる見込みのない作品をあえてリリースをし続けるということに、このスイスの大企業のスイスに根ざした文化を育てるという決意が見えて（あるいは聞こえて）来るように思えます。

　例えば、メジャー・レーベルからもリリースされて当然と思われるようなタイトルに、ロストロポーヴィッチのチェロ、ザッヒャーとザッヒャーの手兵、チューリッヒ・コレギウム・ムジクムの演奏によるフリブールの寡作の人、モレのチェロ協奏曲（1985）があります。（CD 6103）
　ロストロポーヴィッチの委嘱を受けて書かれたこの作品は、現代スイスが生み出した、最も良質な音楽作品の一つと呼んでいいのではないでしょうか。深い祈りと愛がこの曲のテーマです。演奏の素晴らしさは言うまでもありません。

　また、ハンナ・マッティというチューリッヒ音楽院で学んだメゾ・ソプラノによる「スイスの作曲家による歌曲」（Lieder by Swiss composers）というアルバムもまたお気に入りの一枚です。シェックの歌曲から始まり、全七名のスイスの近代の作曲家による歌曲が歌われています。
　シェック以外はほとんどスイス以外で知られてはいませんが、なかなか魅力的な作品ばかりで、演奏も清潔で丁寧な仕上がり具合で、大変気に入りました。
　アールガウに一八九二年に生まれたヴェルナー・ヴェールリ（1891～1944）、サンモリッツ出身の女流作曲家アニー・ロート＝ダルベルト（1900～）、シェックよりも先輩となるバーゼルのハンス・フーバー（1852～1921）の歌曲集「フィドル・ソング」（確かパウル・ザッヒャーへのオマージュというＥＣＭのアルバムで独奏チェロの為の「無限への移行」という作品で知られているクラウス・フーバーの父ではなかったかと思うのですが、記憶違いかもしれません。
　更に収録されている１９２８年生まれのへディー・サルクィンは指揮者、ピアニストとしても活躍した音楽家だそうですが、レンツブルクに１９０６年に生まれたペーター・ミーク（マークではない）や、ハンガリーに生まれ１９５７年にスイスのゾロトゥルンに移ってきたヤーノシュ・タマーシュのハンガリー訛りの音楽も聴くことができます。（CD 6118）

　更に、シューマンの名曲「マンフレッド」はシュヴィーツ・ヴェルクシュタット・フィルハーモニーの管弦楽、バーゼル・マドリガリーステンの合唱、マリオ・ヴェンツァーゴの指揮という布陣での録音です。独唱者たちも含め、演奏者の写真は解説にのっていたのですが、残念ながら彼らに関する文が皆無で、どういう人たちか私はよく知りません。
　せめてオーケストラの素性位はわかると良かったのですが、それを調べたいと思うほど、
　スイスの人たちによる演奏ということだけですが、独唱や合唱の質の高さに驚かされます。この作品については最近、ゲルト・アルブレヒトの指揮ベルリン放送管弦楽団とリアス合唱団他のＣＤを購入し、聴いたばかりなのですが、ベルリンのオーケストラとの力量の差はやや感じられるものの、大変丁寧にこの作品を演奏しており、充分に濃厚なロマンの香りをたたえた演奏であると考えます。（CD 6122）

　ヘルマン・ズッターの魅力的な合唱音楽については別項にて述べましたのでここでは省略しますが、この他にもまだまだスイスの音楽の素晴らしさと出会う機会がこのレーベルにはあります。
　スイス好きの人は要チェックのレーベルですよ！！

ミグロのＣＤはいいぞ！

　スイスの大手スーパー”ミグロ”は色々な物を売っていますが、独自のMusiques suissesというレーベルでＣＤも出していることをご存知でしょうか？
　日本の駅や電気屋、書店の店頭でワゴンに乗せて売られている、怪しげな音源によるＣＤではありません。

　スイスの作曲家、演奏家を世界に紹介するという目的で制作されている、極めて高尚な目的の為に作られているレーベルなのです。
　したがって、いわゆる名曲路線とは全く違った、マイナーな作品がその中心となっているのですが、モレやヴェレシュ、ウラディミール・フォーゲルといった現代スイスにおける最重要な作曲家達の作品から、シェックの歌曲、あるいはズッターの合唱作品、更にはシューマンの劇音楽「マンフレッド」をスイスの音楽家たちで録音したり（これはスイスのアルプス地方を舞台として展開するバイロンの劇詩を元に作られた傑作）、十九世紀に活躍したティチーノの作曲家カルロ・ソリーヴァ（1791～1853）のオペラ"La testa di bronzo"の全曲盤やゲオルグ・グルンツの作曲によるジャズ・オペラ"Cosmopolitan Greetings"の興味深いライブ録音（グルンツがどういう人なのか、未だドイツ語の解説を訳していないので、よくわかりませんが）等々、大変面白いリリースを続けています。
　一般受けを考えるなら、もっと違った制作方針があると思われますが、そう売れる見込みのない作品をあえてリリースをし続けるということに、このスイスの大企業のスイスに根ざした文化を育てるという決意が見えて（あるいは聞こえて）来るように思えます。

　例えば、メジャー・レーベルからもリリースされて当然と思われるようなタイトルに、ロストロポーヴィッチのチェロ、ザッヒャーとザッヒャーの手兵、チューリッヒ・コレギウム・ムジクムの演奏によるフリブールの寡作の人、モレのチェロ協奏曲（1985）があります。（CD 6103）
　ロストロポーヴィッチの委嘱を受けて書かれたこの作品は、現代スイスが生み出した、最も良質な音楽作品の一つと呼んでいいのではないでしょうか。深い祈りと愛がこの曲のテーマです。演奏の素晴らしさは言うまでもありません。

　また、ハンナ・マッティというチューリッヒ音楽院で学んだメゾ・ソプラノによる「スイスの作曲家による歌曲」（Lieder by Swiss composers）というアルバムもまたお気に入りの一枚です。シェックの歌曲から始まり、全七名のスイスの近代の作曲家による歌曲が歌われています。
　シェック以外はほとんどスイス以外で知られてはいませんが、なかなか魅力的な作品ばかりで、演奏も清潔で丁寧な仕上がり具合で、大変気に入りました。
　アールガウに一八九二年に生まれたヴェルナー・ヴェールリ（1891～1944）、サンモリッツ出身の女流作曲家アニー・ロート＝ダルベルト（1900～）、シェックよりも先輩となるバーゼルのハンス・フーバー（1852～1921）の歌曲集「フィドル・ソング」（確かパウル・ザッヒャーへのオマージュというＥＣＭのアルバムで独奏チェロの為の「無限への移行」という作品で知られているクラウス・フーバーの父ではなかったかと思うのですが、記憶違いかもしれません。
　更に収録されている１９２８年生まれのへディー・サルクィンは指揮者、ピアニストとしても活躍した音楽家だそうですが、レンツブルクに１９０６年に生まれたペーター・ミーク（マークではない）や、ハンガリーに生まれ１９５７年にスイスのゾロトゥルンに移ってきたヤーノシュ・タマーシュのハンガリー訛りの音楽も聴くことができます。（CD 6118）

　更に、シューマンの名曲「マンフレッド」はシュヴィーツ・ヴェルクシュタット・フィルハーモニーの管弦楽、バーゼル・マドリガリーステンの合唱、マリオ・ヴェンツァーゴの指揮という布陣での録音です。独唱者たちも含め、演奏者の写真は解説にのっていたのですが、残念ながら彼らに関する文が皆無で、どういう人たちか私はよく知りません。
　せめてオーケストラの素性位はわかると良かったのですが、それを調べたいと思うほど、
　スイスの人たちによる演奏ということだけですが、独唱や合唱の質の高さに驚かされます。この作品については最近、ゲルト・アルブレヒトの指揮ベルリン放送管弦楽団とリアス合唱団他のＣＤを購入し、聴いたばかりなのですが、ベルリンのオーケストラとの力量の差はやや感じられるものの、大変丁寧にこの作品を演奏しており、充分に濃厚なロマンの香りをたたえた演奏であると考えます。（CD 6122）

　ヘルマン・ズッターの魅力的な合唱音楽については別項にて述べましたのでここでは省略しますが、この他にもまだまだスイスの音楽の素晴らしさと出会う機会がこのレーベルにはあります。
　スイス好きの人は要チェックのレーベルですよ！！