「納期はマチ時間と 悟った安さん」 (些論 ver9.1)

 生産性の向上を 量産指向で考える時代ではなくなったが、生産性向上の 方法論になると、

生産の加工・組み立て面では 多少の工夫が見られるものの、資材管理面では なお多くの革

新の余地を残している。というのは キレイな言いかたで、現実は 未整理・未開拓の、混乱状

態にある。

 

 例えば 納期遅れの理由(イキサツ)などは、全く判ってイナイ といっても過言ではない状況で

ある。まず納期遅れは 個別の契約単位では ナニがドレダケ遅れたかがハッキリしているのに、

品目別や納入者別 あるいは発注者別等の「管理的な 納期遅れの尺度」になると、件数なの

か金額なのか あるいは日数なのか(取り戻しの)加工時間なのか、分納などで 実害が出ない

のか出るのか、金額も契約金額なのか 納入先の儲け損なった機会損失金額なのか、ワケが

判らない。

 

 納入業者のコンサルティングで 経営者に、なぜ遅れが出るのか を聞いてみると、殆どの経

営者が 処理能力の不足を言う。どうして 不足なのが判るのかを聞いてみると、いつまで経って

も 手持ちの仕事が減らないからと言う。これはもう ノイローゼ状態である。手持ちの仕事が 能

率を上げるために必要なことが判らないのでは、生産性が 上がる訳はない。最後の ツメの質

問で、手持の仕事や納期遅れが ダンダン増えているかと聞くと、それは サイワイ一定だと言う。

 

肝心なところで サイワイと言うあたり、実はチャンと 判っているのである。手持の仕事量が 増

える傾向にない限り、処理能力の不足は 遅れの原因ではない。遅れるように 受注している

ことが原因である。期間当たりの受注量と 処理能力が等しくても、納入期限の請け負い方

ムリならば、全部 納期遅れになっても不思議ではないのだ。逆に このままでは全部が遅れる

という場合でも、一方の 納期の遅れ方を大きくして、他方の納期を間に合わすことは ヤッテい

る筈なのだが。《もどる》

 

要するに 納期とはマチ時間なのである。ロット待ち 工程(機械)待ち、材料待ちや運搬待ち

などの中で 不可避のマチは少ない。正味の 加工時間は、請負い価格を競争的な加工単価

で割ってみれば 見当が付く筈である。またよく多品種少量の受注生産で 標準納期を出そうと

するが、これは大概 納期後れを増やす結果に終わる。こういう業態では 標準納期はナイ

思った方が良く、ある品物の納期は 他の品物の納期(受注)の仕方で決まると考えた方が整理

がし易くなる。《11.1へもどる》

 

[提供可能資料]

----------------------------------------------------------(些論 ver9.1)-----