これまで 当たり前のように、付加価値で モノを考えてきたが、「なぜ付加価値で考えるのか」
は ー度は整理しておく必要がある。付加価値の算出には 多くの方法があるが、大づかみには
「付加価値=売上高−外部(よりの)購入高」と考えると、本質に 迫りやすい。故山城 章先
生(ー橋大学 名誉教授)は 常に、「企業の経営目的は 存続」であり、利益は その手段であ
ると言われ、その論理や 当否よりも、「そう考えれば 理念の選択や意思決定を誤らない」こと
を 強調されていた。
重要なカギのーつは 「なぜ 売上高ではダメなのか」と言う考え方である。アンバランスな生
産のー方の極限に立つ日本は、[もはや グローバルな場での、輸入やODA あるいは、地球
環境の改善基盤造りや 新製品(新機能)の開発などに、より以上の 貢献があっても]、量的な
生産の増大は ネガティブな副作用を伴うことを、覚悟せざるを 得なくなった。しかし 日本の国
民も食わなくてはならないから、「価値的な生産と その売り支え」こそが これからの日本の
課題なのである。《もどる》
価値を生み出す基本は 「新しいモノを 研究(発見)し開発(編集・再組み合わせ)する」こ
とである。もちろん コストを下げることも価値を増大させるが、基本は 変わらない。バブルが崩
壊し 経済規模が2割は落ち込むと予想されている現在、売上高は 付加価値をのせるお盆に
過ぎず、付加価値の確保と その納得できる再配分が目的であるから、尺度もまた 付加価値が
重要な意味を持ってくる。《もどる》
ただ企業の中でも 営業(販売)活動の評価については、売り込む難易度が 売上高に比例的
であることから、売上高が 活動の評価の主要尺度になる。この場合にも 無用の安売りを防ぐた
めに、併行して 付加価値(≒粗利)を使うことが必要になる。また補助・間接部門の活動を 営
業部門と比較して評価する場合は、当該部門の 10万円の節減は、「利益/売上高」で評価で
きる。好況で売上高利益率が 5%なら200万円、不況で1%なら1000万円の それぞれ売上
高に相当する。
もうーつの 理由は、モノゴトの 性質として、『企業は「利益/売上高」でなく 「利益/付加価
値」で動く』という 事実である。それはすでに IPI(付加価値・総合生産性)で説明したように、
基本投入費が産出付加価値に高度の相関があることでも判る。もっと簡単な例は 次のように
示せる。
<仕 入> <加 工> <販 売>
→(100)---[10]---(110)---[40]---(150)---[10]---(160)→
上記の ( )は、ある企業内の 部門間の仕切り価格、[ ]は 各部門の付加価値である。この企
業の 現在の売上高は160、付加価値は 「160−100=60」である。もし企業が 売上高利益
率で儲かるのならば、仕入・加工・販売の3社に分社することを お勧めする。売上高は 「110
+150+160=420」と 前の160に対し2.6倍にも増える。これに対して 利益の増える理由
は何もナイのだ。付加価値利益率なら 利益の付加価値額での比例配分で納まる。これが 本
質なのである。
[提供可能資料]
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