「計画は 変更のために立てる」 (些論 ver8.1)

 安さんは昔 30年ほど前に、E.K.ウォーレンの「計画する経営:ダイヤモンド社刊」を読んで、

目のウロコが落ちた思いがしたのを 昨日のように憶えている。確か アメリカ経営学会賞とマッ

キンゼー賞を受けた本だった。要旨はヒトコト 標記の通り「計画は 変更のためにたてる」であ

る。安さんには「思う 3原則」という、@思っていなければ 実現しない、A思っていれば 方法が

見付かる、B思っていれば 変化に即応できる、の 3つの信条があって、共感が 大きかったの

だ。《もどる》

 

 生産量で 成長している時期には、リカバリーのチャンスもあったから 失敗を恐れず、まず

やってみることが通用した。しかし 今は、品質のほかに 信頼性という概念が重視される時代

になって、1度の失敗が 致命的な障害になったり、内容に拘って 納期が遅れたのでは世間か

ら相手にしてもらえない時代になった。「準備を シクジルことは、シクジル 準備をしていることだ

(ドン・ウインズロウ)」の 言葉の通り、確かでなければ 生き残れず、技術も 確かさを追って展

開し始めている。

 

 モノゴトが 確かだということは、始めに決めた通り モノゴトを達成するということではナイ。ある

日突然に、収拾できない形で破綻することを 回避できればよいのである。前記の本を読んだ

頃は まだ、高度安定成長の時代だったから 別の意味があったが、今は 変化の時代である。

まさに 計画にモノを言わせる時代なのだ。よく 計画を立てても崩れてしまうから無意味だ、とい

うことを聞くが それはカン違いである。

 

 計画を立てた というので内容を見ると、「いつ 何をしたい」ということだけが 書かれていること

が多い。それは 計画ではなく、「希望を 述べた」 に過ぎない。計画とは 「その 実施条件を、

具体化すること」である。実施条件を 具体化しておけば、実施環境が 変化した場合、その

補完方法がスグ見付かる。予想できる変化に対して 予め代替え案を用意しておくのも計画で

ある。場合によって 計画には、(アポロ13号の場合 のように)目的の変更すら 含むのである。

 

重要なことは 計画の、危機管理の側面の 扱いである。危機管理は リスク管理とは異なり、

ヘッジするとか 余裕を持つとかの 「切り捨てる」発想が通用しない。「絶対に 生き延びること」

が 至上の目的であり、そのためにも 効率(生産性)を落とすような、水っぽい予備的な安全策

は 回避すべきである。ここまで考えると 「計画は 企業の補助手段でなく、同業他社との 競

争要因である」ことが ハッキリしてくる。 オプトナーの システムの定義では、計画は 基準と言

い換えることができる。

 

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