山ある記

光岳   (2,591m ) − 静岡・長野県                 2000.08.28(火), 29 (水)

 
天候:晴れ後曇(1日目)
標高差
:2,000m(本谷口から光小屋まで)

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光石(てかりいし、23KB、2日目撮影)

  <遅い夏休みの過ごし方>
 世間一般とは少し遅れて夏休みをとった。とある事情で免停中の身であり自家用車では山へ行けない。こういうときは、災い転じて福とせねばならぬ。免停幸いと、マイカーでの日帰り登山では出来ない縦走をやるしかないと、前々から考えていた。
 百名山も車でのアクセスの便がよくなっているとはいえ、南アルプスでも南部のこの辺りは日帰りは厳しい。車で行ったとしても山中で一泊は避けられそうもないのだ。

 今回の計画は、長野県飯田市側の本谷口から易老(いろう)岳を経て、光岳へ。更に易老岳へ戻って茶臼岳を経由して、聖岳へ縦走し、静岡県側の大井川へ下りる。
 しかし、最初に断っておこう。残念ながら聖岳の山頂までを踏むことは出来なかった。理由は後で。
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茶臼岳から聖岳を望む(2日目撮影、18KB)

 

<入山まで>
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<いざ、光岳へ>
08/28(火)5:00 起床。夜は明けても遠山川そばの本谷口は、まだ薄暗い。空は明るいが深い谷まで陽が差し込むのはもっと先だろう。早速、出発の準備。和風レストラン横には綺麗な水洗トイレもジュースの自販機もあり、野宿するだけなら十分だろう。
5:25 本谷口(標高500m)を出発。遠山川に架かる橋を渡り、支流の本谷川沿いの車道を歩く。
5:45 車道の舗装がなくなり、次第に悪路になる。6:05には車道の谷側が崩れ落ち、到底車が進めそうもなくなる。更にその先では土砂崩れで完全に道路が寸断されていた。さて、どう進もうか?一旦、谷に下りるか、流された土砂の斜面を進むか?結局、手前の山肌を攀じ登り、土砂を横切ってその先へ。その先では土砂崩れの復旧作業の途中であった。まだ作業員は一人もいなかったが意外に簡単に先へ進めたので安心した。
6:40 谷で民家を発見。こんなところに家が、と驚いた。更に10分ほど歩くと、老朽化した橋が現れる。路面が木の板で穴も空いている。その先にログハウスがあった。この先の道はもっと酷くなる。到底、乗用車は進めそうもなくなる。灯りのないトンネルを5つほど、懐中電灯で照らしながら歩くところも。草は生え放題。倒木が道を塞ぎ、小規模な土砂崩れも。
8:10 北又渡(666m)。トラックや生コン車が行き来する。ほうほうの体でようやく、車道らしい道に出た。しかし、光岳への登山口である易老渡(いろうど)までは更に車道歩きが続く
。 
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イワオトギリ(26KB)

 

 

<とりあえず、小屋に到着!>
9:40 易老渡(880m)。登山の前に、既に4時間近くも車道を歩いた。これから静岡県営の光小屋のある標高2,500mまで標高差1,620mの本格的な登りだ。登り口のポストに手書きの登山計画書を入れ、橋を渡って山に入る。一歩、山道に入ると清涼な空気が鼻から肺の奥へと充満していく。一気に気分が良くなる。それも束の間、急登が始まる。見る見る汗が吹き出す。ここからは、ほぼ均一の傾斜がジグザグに延々と続く。
11:20 面平。少し登っては休み、体をクールダウン。木々の間は涼しく、汗はすぐに引いていく。
11:50 標高1,650m付近で昼食。先は長い。焦ってはいけない。一進一休(一退ではない。造語)を繰り返す。重装備が堪える。リュックが肩に食い込む。
 ちなみに今回の装備はいつもの日帰り登山とは異なり、かなり重い。山中でのテント泊のために一人用テント、シュラフ、アルミコーティングのスポンジマット、着替えに雨具、食料など。
14:15 易老岳(2,354m)。ここが茶臼岳と光岳への分岐
。ここで一段落。丁度、光岳から下って来られた方と一緒になる。一休みしながら話をして、彼が易老渡へと下山始めるのを機に私も立ち上がり、光岳へと歩き出す。気温22.4度。
 易老岳から一旦下った辺りで眺望が良い三吉平(2,200m)に出る。トリカブトが咲き乱れる。しかし、まだ光岳の山容ははっきりしない。
16:20 光小屋(2,500m)に到着。三吉平から再び小屋までの登り。水涸れた沢伝いに登る。遠くで雷の音が聞こえてくる。光岳と思しき山頂付近は次第にガスって来る。一雨来る前に小屋に着けるといいなと思いながら、心持ちペースを上げる。しかし、気は焦るだけで足は進まない。朝から10時間以上歩き続けたのだから、疲れもピーク。ちょっとした草原状の静高平、センジヶ原に着いた頃は、完全に辺りはガスが立ち込め視界も悪くなっていた。小屋はそこからはすぐであった。なんとか雨にはやられずに済んだ。
<参考地図>
・どこでもアウトドア 「日本百名山を登る(下巻)」(昭文社)
ヤマケイ・アルペンガイド15 「荒川・赤石・聖」(山と渓谷社)
<就寝準備>
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<2日目に続く・・・>
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