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先月を 振り返って |
<先月の本>
先月は長編の発行が少なかった気がするのは、私だけでしょうか。その一方で、藤木稟、柴田よしきのシリーズ最新作や、クックの翻訳も出たりして、楽しめた1ヶ月でもありました。
先月の★★★★★は、2冊。初めて読んだ天童荒太の「永遠の仔」と、同じく初めて読んだ貫井徳郎の「慟哭」です。
「永遠の仔」は、本当に胸の痛くなるストーリーです。家族からさまざまな虐待を受けてきた3人が、「自分達には価値がない」と思いつづけて生きてきて、再び再会したときというお話。彼らの葛藤を通して、家族とは何なのか、人生とは何なのかという重いテーマに挑んでいます。すでにベストセラーの仲間入りをしていて、いろいろなところで取り上げられているので、これ以上言葉を重ねる必要はないかと思いますが、傑作です。この後天童荒太の本を続けて読んでしまいました。ただ、あまりに苦しい話ですので、復活のためにも、楽しい本を脇に置いておくことをおすすめいたします(^^)。
「慟哭」も同じように家族がテーマとして取り上げられています。ただこの本のすごいところは、何よりもどんでん返し。貫井徳郎のストーリーテリングの才能に敬服です。この本の構造が明らかにされたとき、あなたはうわぁと思えるでしょうか。天童荒太を読み尽くした私は、今度はこの作家にはまっています(^^)。
先月は上2作が突出して面白かったですね。どちらも文句の言いようのない★★★★★。同時に先月の作家は、天童荒太さんです。貫井さんのはまだ1冊しか読んでいませんので、やっぱり天童さんかな。「家族狩り」もよかったですし。これからも、この厚さでこの充実感のある作品を書いていってもらいたいです。
<先月の私>
先月は、映画は1本。ロビン・ウィリアムズ主演の「パッチ・アダムス」です。
自殺を図って精神病院に任意入院させられていたパッチが、一緒に入院している人の心を癒すことで、医者を目指すという実話を元にしたお話。実際に今、ハンター・(パッチ)・アダムスは、長年の夢だった病院開設に乗り出しており、それに1000人以上の医者が同調しているそうです。日本でも医療過誤だの、臓器移植問題だの、病院でのさまざまな問題が話題となっていますが、理想論とは分かっていても、パッチのような医者が立ち上がって欲しいなと思える映画でした。パンフレットにどなたかが「医学生はこの映画をみて、レポートを提出せよ」と書かれていましたが、本当にそうしてもらいたいですね。
先月はあと映画界の目玉、「アカデミー賞授賞式」がありました。去年は平日だったので、私は休暇を取って見ていたのですが(笑)、今年は全国的にお休みだったので、BSで見ていた方も多かったのではないでしょうか。私はあの「同時通訳」が大嫌いなのですが、見ていた方、いかがでしたか。
それはさておき、今年のアカデミー賞は、去年とは異なり、まだ日本では公開されていない映画が多く、予測も全然立てられない感じでしたね。私は助演男優賞、エド・ハリスに取ってもらいたかったなあ。「トゥルーマン・ショー」、話もなかなかでしたが、エド・ハリスの演技が際立っていたと思います。「恋に落ちたシェークスピア」と「プライベート・ライアン」とがそれぞれ6部門で賞を分け合ったことになっていますが、作品賞、主演・助演女優賞、脚本賞という主要な部門を取った「恋に落ちたシェークスピア」の方が、どちらかというと勝ったかな(こんなのに勝ち負けもないかと思うのですが、一応Winnerというくらいですからね(^^))という気がします。おそらく「プライベート・ライアン」はストーリー性よりも、映像に注目が集まったということなのでしょう。注目の作品賞作品の上映もそろそろ始まるのでしょうか。予告編を見ると、なかなか面白そうでした。上映が楽しみですね。