インターネット病気個別相談
平成9年12月の質問と回答のページ

(平成10年1月14日最新版)


テレビを見ていて痙攣を起こして光過敏性てんかんとわかりましたが

朝日新聞のコラム欄で知りました。
はじめまして。足立先生。

私の息子(3才)のことでご相談です。 16日夕方、テレビを見ていて全身性痙攣を起こし(5分ほど)、急患センターを受診しました。 幸い診察の結果異常なく、帰宅しましたが、のちに光過敏性てんかんであることを知りました。 痙攣を起こしたとき電気をつけていないすこし暗い部屋で1メートルぐらいの距離でテレビを見ていました。 (32型テレビ)痙攣を今までに起こしたことはありませんし、家族にてんかん持ちもおらず、大変ショックを受けました。 光過敏性てんかんとはそもそもどういう病気なのでしょうか。 後遺症はどのくらい残るのでしょうか。 同じようにテレビを見ていてなんの症状も起きなかったお子さんが大多数であることから すると、私の息子はもともと痙攣を起こしやすい体質なのでしょうか。 今後てんかんに移行していくのでしょうか。 何か予防策はあるのでしょうか。怖くてあの日以来テレビを付けていません。 お忙しいところ申し訳ございませんがご回答よろしくお願い申しあげます。

(97/12/18 15:32 福岡県 Tさん)

(97/12/21)

とてもびっくりされたことと思い大至急お答えしたくコンピューターの操作をしているうちに ウインドウズ95の調子が悪いような気がして再インストールしたところ モデムの設定からプロバイダーへの接続から何から何まで消えてしまい再設定に手間取り コンピューターについてはしろうとなもので大失態をしてしまいました。 そんなわけでお答えが大変遅くなり申し訳ありません。 お電話でお答えを済まさせて頂きました方もいらっしゃいましてこの解答欄をお借りしてお詫び申し上げます。

今回大騒動になった「光過敏性てんかん」の患者さんを直接診察する機会がありませんでしたので 断定的なことは言えませんが私は専門家の間で相当以前から「テレビてんかん」と呼ばれていたものと 考えています。

一言で「てんかん」と言っても千差万別でさまざまなものがあります。 一般の方の中にははイメージ的に「治らない病気」だとか「遺伝性の病気」など決め付けて 自分たちとは異質のものだというような 偏見的、差別的に考えられる方がありこの病気の人達に大変つらい思いをさせていますが 正しい認識が必要と思います。

ここですべてを説明する余裕はありませんがこういった点に関心のある方はは 「日本てんかん協会」という団体が真摯に活動を進めていますので入会されることをお勧めします。 私は個人的にこの協会の長野県支部の永井瑞枝というとても熱心な方と連絡を保っていましたが 最近は京阪神に職場が移り失礼しています。

「テレビてんかん」というのは文字どおりテレビを見ていて「てんかん発作」を起こす「てんかん」のことです。 感覚刺激で誘発されるてんかんとして「反射てんかん」のひとつとされています。 「反射てんかん」という呼び名が適切でないとして「感覚誘発てんかん」とか「感覚過敏てんかん」と 呼ぶ人達もいます。

何らかの感覚刺激でてんかん発作を起こす状態で一番多いのは今回のように光(特に赤い光)の 点滅刺激で起こす「光過敏てんかん」です。この「反射てんかん」にはたくさんの種類があり 「算数てんかん」、「入浴てんかん」、「音楽てんかん」、「閉眼てんかん」、「書字てんかん」など それぞれ計算をしようとするとてんかん発作を起こしたり、「お風呂に入る」「音楽を聴く」「眼をつむる」 「字を書く」などするとてんかん発作を起こす場合もあります。

「図形過敏てんかん」と言って特殊な図形を見ることにより発作を起こす人達もいます。

この「光過敏てんかん」は赤、白の点滅が強く長く(数秒間)続いたときに特に発作が起こりやすく 青色や緑色の場合は反って発作を起こしにくくすることがわかっています。

「テレビてんかん」は昔テレビの映りが悪くてちらつきなどが多かった時代にはよくみられましたが 最近はほとんど見られなくなっていたものです。 たまたますごいちらつきを放映した番組で出たものですが イギリスのようにちゃんとした規制をしておけば防げた問題だと思います。

こういうことを最近の日本では役所も学者も政治家も本気になってやる人は 誰一人としてほとんどいないというのが今の現状です。一般国民は本当に安心が出来ません。

この種のてんかんも日常生活で障害を示すことは無く大人になるにつれて発作も起こしにくくなることが ほとんどでそれほど心配は要りません。

神経内科、精神科、脳外科を標榜ししかも「てんかん」について経験ある医師に相談されておくと安心ですので 一度脳波、CT、MRIなどの設備が整った病院のこれらの科を受診されることをお勧めします。

(97/12/24 13:43 )

拝啓 足立先生

光過敏性てんかんについて早速ご丁寧なご回答を頂きまして本当にありがとうございました。

先生のご回答でそれほど心配はいらないことがわかり、親としては大変安心いたしました。 お陰様であれ以来、息子は特に不調訴えることなく元気に過ごしております。しかし、 先生のご助言に従いまして、一度小児神経科という診療科のある専門病院にかかってみようと考えております。 今回の事件は社会的にも重大視されているようで、あの後新聞や週刊誌の記事も読みあさりましたが、 まだまだ謎が多いことがわかりました。 1日も早い原因究明と対策を心から望む次第です。 一方で、米露では光線点滅兵器の開発が進められているとの報告もあり、大変複雑な気分です。 お忙しいにも関わらず早急にご回答をお送り下さるようにご配慮いただいたことを知り、 大変感激いたしております。

これからも病気に悩む方たちの大きな支えとして益々のご活躍をお祈り申し上げます。 

 敬具

未分化軟部腫瘍について教えて下さい

000の000で。

文字化けしていてすみませんでした。もう一度送ります。

私の妹のことについてご相談するためメールを送りました。 年齢は00歳(若年成人:足立)なのですが、 昨年00月に未分化軟部腫瘍(腫瘍のできた場所は右下腹部で大きさはソフトボールぐらい) と診断され、抗がん剤治療を数回行い昨年00月に腫瘍の摘出手術をうけました。 その後、手術をした場所の腫瘍はなくなりましたが、 入院したときからあった肺の影が消えず抗がん剤治療を続けて行ったのですが、 腫瘍が小さくなるものもあれば、すこしづつ大きくなるものあるといった具合でした。 しかし最近、抗がん剤治療からホルモン剤などによる治療を行ったのですが、 それからかなり大きくなり、担当医の話ではもう使える抗がん剤がないとのことです。 私の記憶では、最初に赤色の抗がん剤をして(2日間で100ml)、 次に透明のもの(光にあたるといけないらしく点滴にアルミホイルをかぶせてあった)を、 次に透明のもの(5日間で2.5l)をしました。 もう1種類したかもしれません。 今現在、かなり背中と肩を痛がっており、咳き込むとかなりつらそうです。 治療を受けている病院は000立0000です。

・未分化軟部腫瘍について詳しく教えて下さい。
・どこかこれらの治療でよい所があれば教え下さい。
・どんな治療法がありますか。
・痛み止めを飲んだとき、1時間ぐらいすると胃がものすごく痛むようです。 なにか改善策はありませんか。
・なにか情報があれば教えてください。

(97/11/29 07:31 青森県 Pさん)

(97/11/30)

病名だけでなく治療も難しい病気に罹られてご本人はもちろんのことご家族のご心中お察し申し上げます。

「未分化軟部腫瘍」という病気の名前を聞かれたことのある方は少なくまずこの言葉だけでも 戸惑われておられるのではないでしょうか。

文字どおり「未分化」な「軟部」の「腫瘍」ということです。

まず「軟部」ですが「軟部組織」のことを言います。皮膚のすぐ下から骨に達するまで 筋肉や血管、神経などがありますがその間にはこれらをつなぎとめておくための「結合組織」と呼ばれる 素人の方が言われる「すじ」にあたる組織があります。皮下脂肪もあります。 これら結合組織、脂肪組織、血管、末梢神経、筋肉、腱なども含めて「軟部組織」と呼んでいます。

病気としては炎症を起こす事は日常茶飯事で「腱鞘炎」とか「神経炎」などという病気は 聞かれたことがあるのではないかと思います。炎症だけでなく炎症性肉芽腫とか腫瘍性の病気 すなわちここの組織が勝手に膨らんでくる状態もかなりあります。 やけどのあとのケロイドなどは良く知られています。

「腫瘍」というのはそこの組織中の細胞が増殖することですがポリープのように少し大きくなるだけの 「良性」のものと止めなく大きくなったり勝手に体中に飛び散って広がっていく「悪性」のものとがあります。 「悪性」のものにはもとの細胞の種類によって「癌」と"肉腫」に分けられます。 悪性の「軟部腫瘍」ですとすべて「肉腫」ということになります。

軟部組織の腫瘍には脂肪腫、繊維腫、血管腫、粘液腫、筋腫、黄色腫など 良性のものには分かり易いものがありますが、悪性の肉腫になると もともとの組織が複雑で分類や呼び名などかなり複雑になります。 「未分化」というのは最も原始的な組織で未だ十分に組織として成長していないものを指し、 悪性度も最も高いことが普通です。体中どこでも、例えば眼の中とか 腎臓とかもちろん下腹部にできても全くおかしくありません。全身に転移しやすいのも特徴の一つです。

治療にはこれといった特効薬はなく副作用の強いさまざまな化学療法を工夫を重ねて試みられているのが 現状です。今かかっておられる病院はほぼ最高レベルのところですのでかなりの化学療法で 何とか持ちこたえておられるのではないかと思います。

国際的には最近では doxorubicin とか epirubicin と呼ばれる薬が使われることが多いのですが 副作用が強いので zorubicin という薬を勧める人もいますがこれもやはり血液系統の副作用が強く 治療成績もかなり効果のある人がたまにいらっしゃるという程度です。

ご本人は病気のことについてどの程度ご存知なのでしょうか。 主治医の先生とご家族の間で良くお話し合いをされてご本人に話される範囲は検討済みのことと 思いますが病気が病気なので心が痛みますね。

痛み止めを飲んだあと胃が痛くなるのは胃炎や潰瘍を起こしている可能性がありますね。 ステロイドにも胃や十二指腸の潰瘍を起こす作用があります。 「H2ブロッカー」とか「プロトンポンプインヒビター」など非常に良く効く 潰瘍治療薬がありますので使って頂けると思います。 胃や十二指腸の痛みにも随分と効果があります。

どうしても痛い場合は「MSコンチン」や「アンペック座薬」などという麻薬を 使われることも多いです。 これは主治医の先生に積極的に相談されると良いでしょう。 現時点では患者さんの苦痛を取って上げる事が最も優先される時期に来ているのではないでしょうか。 そうでしたら主治医の先生は疼痛対策にちゃんと対応して下さると思います。

盲腸の手術した方が良いでしょうか

初めまして、私は,23歳の学生です。

今年の9月頃、生理初日の日、突然、激しい腹痛と冷や汗で、顔が真っ青になって、立てなくなり 救急車で近くの病院に運ばれたのですが原因が分からず、次の日、大学病院(内科)で診てもらいました。 検査内容は、、腹部のレントゲン(異常なし)、白血球の数16000〜17000、 炎症反応検査、陽性(+)、超音波検査を受けました。 超音波検査で虫垂のところに糞石がみつかりそれが原因だと診断されくすり、 cefspan100、頓服に、ブスコパンと胃薬(食欲がなかったので)をもらいました。 1週間後ぐらいには、白血球の数、炎症も正常になり安心していたのですが、最近また、 みぞおちの部分が痛くてそれから右横腹と背中がキリキリと痛く重苦しく、 病院に行って、内科の先生に診て頂いたら手術(盲腸)をした方がいいと言われたのですが、 外科の先生は、血液検査も正常値で炎症もないので、盲腸だけが原因だとは、考えられない といわれ手術する必要はないと言われました。 しかし、 長時間、立ったり歩いたりすると右側のおへその横辺りがキリキリするし肋骨も痛くて・・・ 体重も2年間で10kg減りました。

来年2月頃に海外研修があるので本当に大丈夫かとても心配です。 最後の大学生活をノビノビ送りたいです。どうか宜しくお願いします。 どこか良い病院をご存じでしたら教えていただきませんでしょうかお願いします。

了解したし、経過報告約束する

(97/11/22 02:14 福岡県 Nさん)

(97/11/22)

最近は重症でない盲腸(正確には「虫垂炎」)は手術を避けて抗生物質投与だけで様子をみるということが 多く行われるようになりました。

胆石を持っているが痛みなどの症状が全くない人は手術をしないことも多いです。 しかし、私は痛みの無い胆石、抗生物質で治る虫垂炎でも医療設備が整っていないところに良く出かけたり 山登りなどをよくする人たちには元気なときに手術をしてしまっておくようお勧めしています。 万一へんぴなところで痛みが出始めたりして手後れになり腹膜炎にまで増悪してしまうと手術が 大変やりにくく危険を伴うようになるのではと気になるからです。

あなたの場合も症状の強さ、増悪時の白血球の数の多さ、おまけに体重までかなり減っておられる上に海外研修を控えておられるので もしも原因が虫垂炎だったとしたらこれからも繰り返す可能性もあり 手術をしてもらっておいた方が良いと思います。 虫垂炎などの比較的良く行われる手術の場合は大学病院よりも、むしろ中小病院の方が 小回りが効き手術の日程も早く設定してもらえるので良いことが多いです。 ご近所で評判の良い病院を探されてはいかがでしょうか。出来れば消化器外科専門のところが良いでしょう。

なお、もしも虫垂炎以外の病気なのに虫垂切除術の手術を行ったとしたら あまり意味が無いだけでなく手術のあとでかえって具合の悪い症状が出てきて何のための 手術だったのか分からなくなる可能性があります。 消化器外科専門のところで診察、検査(腸やCTなど)を慎重に受けてから判断してもらわれるようお勧めします。

拝啓 足立先生、

 私の質問に早急に答えてくださいまして本当に有り難うございました。
まさか、今日返事が頂けると思っていなかったので、びっくりしました。
先生の言われた通り、海外で痛くなったら困るのでもう一度、 消化器外科専門の病院で診て頂こうと思います。

はっきりしない自分の症状に少しブルーになっていましたが、 先生のおかげで気分がすっきりしました。
本当に、先生のようなお医者さんがいてくださって嬉しく、有り難く感じました。 先生これからも、お体に気を付けて頑張ってください。

敬具



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