インターネット個別病気相談室
97年9月の質問と回答集

(平成9年10月26日版)


膨大な質疑応答データをホームページ上で見やすくしたいのですが
限りある私の時間は少しでもお答えに当てるようにし
目次を付けるなどの編集作業はホームページ上では行っておりません

もっと読みやすく編集したものをご希望の方は

プロによる編集済みの電子出版物 をご利用下さい。
居ながらにしてとても簡単に入手できます。

また、電話代、接続料などが気になる方のために
インターネット画面のままの フロッピーディスク版もあります。

インターネットへの接続無しに今ご覧になっているような 感じでじっくり読む事が出来ます。

詳しくは こちらをご覧下さい。

急に手や足がむくみ出してとても心配です

38才家庭の主婦です。「お医者様や看護婦さんもこのページを見て勉強している」と 以前ある病院関係者の方から 聞いたことがあり、また病気のことなら何でも答えてもらえるページだと 聞いていましたのでお伺いします。

今朝から両手、両足が何だか腫れぼったくむくんでいるように思います。 何だか体もだるいです。疲れを取ろうと思ってお風呂に入ったのですがかえって 腫れもひどくなったような感じです。何の病気でしょうかとても心配です。 今まで頭痛くらいで大きな病気などほとんどしたことが無くてスポーツが好きだった私なのに どうしてだろうかと思います。

経過報告お約束しますので是非教えて下さい。

( 97/ 9/28 16:23 長野県 Jさん)

(97/9/28)

むくみの出る病気には肝臓、腎臓、心臓、甲状腺など内分泌の病気、膠原病などいろいろな原因が考えられます。 是非一度、頭痛の原因などと合わせて検査をしてもらっておかれるようお勧めします。 しかし、実際には今まで健康だった若年後期から中年にかけての女性にむくみが出てきた場合には 「特発性浮腫」であるケースが最も多いです。

ここではこの「特発性浮腫」について解説しておきます。

「特発性浮腫」というのは両手両足などにむくみが出て 腎臓、心臓、血圧、その他の諸検査を受けても何の異常も原因も発見されない場合を言います。 中年および中年に入りかけの女性に多くみられ ご本人は大変心配されますがそれほど重大な事態ではなくちゃんと養生しさえすれば治ってしまうことが 多いです。

食事は量を少な目に特にカロリーの高い間食は控えましょう。最も大切なのは減塩です。 「塩断ち」のつもりで塩辛いものを避けて下さい。家庭では漬物、味噌汁などに塩分が多いですが それよりも外食や業者が作って売っているものはよほど高価なものでないと味付けに塩分が必要で 殆どがかなりの食塩を含んでいますので注意が必要です。 家庭で原材料から調理した場合はその点安心です。塩気を少なくすると食欲が落ちる人は レモンなど酸味を利かすなどの工夫をして下さい。

なお、食事を断ってしまうなど極端なことはいけません。特に野菜や良質の蛋白質を 多く含んだ豆腐や塩気の少ない魚などたくさんの種類のものをバランスよく、少しずつ摂るようにして下さい。

水分は塩分ほど気にしなくてもよろしいがやや少な目にしましょう。 足のむくみが主なときは横になって休むときに足を高くして寝ると良いことがあります。

繰り返しますが「特発性浮腫」というのは医師がいろいろと検査をしても異常が無いときを言います。 むくみの程度がひどく、良くなっていかない場合には 特に注意が必要で、是非医師の診察を受けて診断をしてもらって下さい。 また、専業主婦は病医院にかかったり健康診断を受けたりする機会が少なくこういうことを きっかけに一度詳しく調べておいてもらうことはとても良いことでそういう意味でもお勧めします。

とても早くにお答えをどうもありがとうございました。

先生の書かれていたように「塩断ち」をしてみましたところ4−5日でむくみはなくなってしまいました。 すっかりと良くはなったのですが足立先生がおっしゃるようにこれを機会に 今週中に頭痛の検査のために頭のMRIや甲状腺、尿の検査などを受けるように致しました。 どうもありがとうございました。

若いのに血栓を起こします。

 さっそくご返事をいただきありがとうございます。いろいろと考えてみましたが文字化けの原因がわかりません。当方ではMACを使用しております。  念のためもう一度FAXと両方で送らせていただきます。

 8月13日の朝日新聞を見て、通信させていただきました。

 私は00市000区在住の00000ともうします。

 相談させていただきたいのは、義理の姉についてです。

 これまでの病気個別相談室を拝見しましたが、よく似た症例がありませんでしたので、ご相談します。

症状と質問については本人からの文章を送らせていただきます。 なお、義姉は41才で、酒、タバコの習慣はありません。

症状

 00月00日に、それまで何の症状もなく突然、朝起きると右目が見えなくなり、 同時に右側頭部に痺れたような痛みがありました。 すぐ病院(眼科)で血行を良くする点滴を受けました。 その日のうちに視力が90%回復しました。(今もそれ以上は回復していません)

 その後、脳神経外科にて検査の結果、右の首の血管に血栓があり、 それによって右後頭部の血流が悪く、現在左脳でそれを補っている状態だそうです。 なお、血栓は治らないと言われました。

 今のところこれといった症状がないので治療も薬も必要ないとのことです。

質問

 ふつう血栓ができるのは老人がほとんどなのに、なぜ41才にして血栓ができてしまったのでしょうか。 野菜中心の生活で食生活からは考えられません。

 血栓ができやすい原因に血液や心臓、その他内蔵のいずれかに問題がある場合はないのでしょうか。

 もし問題がある場合どのような病院の何科に行けばよいのでしょうか。

 脱水症状に気をつける以外ほかに何か注意することはないのでしょうか。   

以上です。

 お忙しいのに恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

0000の000で

義姉の血栓のことで8月下旬に相談のメールをお送りしました、 00市在住の00000ですが、是非ともお返事がいただきたく、 あらためてこちらのページでお願いします。

前回の質問の時忘れていたのですが、 検査を受けた病院の話では病状が進むと失明すると言われたそうです。

  このまま為すすべもなく手をこまねいているしかないのでしょうか。

  私たち夫婦も気がかりでなりません。血栓を取り除くことが不可能としても、 せめて進行を止める、あるいは遅らせるために何か手だてはないのでしょうか。

また、本人がそのために日常生活で気をつけることがあれば教えていただきたいのです。

ご多忙とは思いますがよろしくお願いします。

( 97/ 9/16 22:46 大阪府 Hさん)

(97/9/18)

大変ご心配なご様子と、ご家族のことを思われる愛情がメールを通してひしひしと伝わってくるようで胸を痛めています。

ご指摘のようにそもそも血栓症というのは中高年者に発症するのが一般的です。

41才の若さでしかも眼と後頭部の2個所の動脈に血栓があるとすると何か特殊な病態がないか、 調べておかれる方が良いでしょう。

可能性のあるものとしては、心臓の疾患、高血圧、喫煙、高コレステロール血症、 抗血液凝固物質の欠乏、抗リン脂質抗体症候群、異常ヘモグロビン疾患、血液粘度亢進状態、 血管炎、膠原病、筋肉繊維形成異常症、動脈の解離、偏頭痛、ホモシスチン血症、 全身性エリテマトーデス(SLE)、コカインや避妊薬の使用、妊娠、外傷、装具装着、 などかなりの種類の状態があります。

最近、ある件で鑑定意見を求められて文献を集めた機会がありましたが、 その中でMocciaという人が、大変たくさんある若年者の脳梗塞の原因で頻度の最も高いものとして 虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)、高血圧、喫煙、高コレステロール血症の4つを挙げていました。 ご質問のメールを拝見したかぎりではこの4つはあてはまらないようですね。

原因となりうる状態があまりにも多くてつきとめるのには 大変な作業が必要なことが考えられます。

単にどこかの大学病院に 受診したから原因が突き止められるというものではなく、 血液、膠原病、血管関係に広く深い知識もあり、しかもかなり実力のある医師について調べてもらう必要があります。 しかし、それでもなかなか原因がはっきりしないことも多いようです。

まずは今罹っておられる先生に血液凝固の検査、血液中の凝固物質測定、膠原病や自己免疫疾患に 関する抗体などの検査を調べてもらわれてはいかがでしょうか。 健康保険がきかなくて、高くつく場合もあり得ますので事前に良く相談する必要はありますが 簡単に採血だけで出来る検査が多いです。

あとは大学病院、大病院の血液や膠原病を専門にやっている内科を受診することに なるでしょう。 大阪地域では大阪市立大学附属病院や大阪赤十字病院は脳梗塞、血液疾患、膠原病などいずれも評判が高く、 もしも良い先生にあたれば親身になって相談に乗ってもらえることでしょう。 特定の良い先生の情報までは持ちあわせておりません。

治療法は原因が判明してからということになりますが、脱水を防ぐために水分を十分にとることは いずれの場合でも有効です。 あとは、検査結果ににふりまわされたり、病気に負けてしまわない強い精神力も重要です。

(23 Sep 1997 21:02:18)

お忙しいところ、さっそくご解答いただきありがとうございました。 義姉にすぐ郵送しましたところ、「喜んでおります。お礼を申し上げてください」とのことでした。

先生のお話の通り、通院先でいろいろたずねるのは、なかなか難しい現状があります。

今後ともよろしくお願いいたします。遅くなりましたが、9月22日に000きました。 どうもありがとうございました。先生自身もお体を大切に、御健闘ください。

男性が服用した薬で胎児に奇形が出ますか?

以前にも利用させていただきました。

すばらしいページだと思います。影ながら応援いたします。

女性が薬の服用で、妊娠中の胎児へ悪影響があるというのは よく聞く話ですが、男性が薬服用中の性行為で 女性が妊娠した場合、胎児へ影響がある場合があるのでしょうか? その場合、それはどんな薬なのですか?

おかしな質問かもしれませんが よろしくお願いします。

( 97/ 9/14 07:28 千葉県 Tさん)

(97/9/14)

決して「おかしな質問」ではなく誰もが気になることで実際しばしば尋ねられます。

はっきりとしたデータが示されているわけではありませんがまず心配ないとされています。

昔、痛風の特効薬として使われた「コルヒチン」という薬や「エトレチナート」という ビタミンA誘導体で「乾癬」や「魚鱗癬」などの皮膚角化症の治療に使われる薬などで 男性側の使用による胎児異常が言われてこともありました。

しかし、現在ではこれらの薬だけでなく抗がん剤など催奇形性の強い薬剤でさえ 殆ど影響が無いと考える人が多いです。

理由は精子の競争原理に因ります。
もともと正常男性の精液中の精子には顕微鏡で確認できるだけでも約20%何もの奇形精子が 存在します。受精は何百億もの精子の中で激しい競争に打ち勝ったもの1個が選ばれるわけで すので、男性が服薬のためにかなりの数の精子がたとえ奇形になったとしてもこの競争の中で淘汰されると 考えられます。精子の運動能力だけでなく受精能力、受精卵の着床能力などでもこの競争原理が 働きます。殆ど影響が無いとされることが多いのはこういうわけです。

なお、万が一影響があったとした場合、精子はおよそ74日で造られて射精時まで蓄えられますので、 3ヶ月前くらいからの薬が影響するのであって射精直前に服用した薬は大変考えにくいですので 申し添えます。

当然のことですが、薬は本当に必要なものだけを使うことが大切です。

肝臓が炎症って?

はじめまして。

お忙しいところすみません。 実は母の件ですが、3週間ほど前から体のだるさと喉の痛みをうったえていました。 1週間ほどたち脇腹の痛みも伴なってきたということで、 近くの医者に診察してもらったところ風邪と判断されました。 ところが1週間ほど前に急に発熱を伴ない、脇腹に激痛が走り000にある病院に急遽入院しました。 レントゲン、エコーで検査したところ胆のうが脹れていることが判明しました。 しかし現在もなぜ脹れているか判らず、検査中です。 熱はひいたようですがまだ胆のうの脹れと痛みはとれないそうです。 また先日になって肝臓が炎症(うみをもつ手前)していることも判り、 今後肝臓に抗生物質を直接入れる(外から針で)そうです。 いったい何の病気でしょうか?また癌とは考えられるでしょうか? 以上この件について宜しくお願いします。 000の000でお願いします。

( 97/ 9/10 08:12 Rさん)

(97/9/10)

「何の病気か」、「癌の可能性はあるか」については実際にご覧になっておられる先生にお伺いになるのが 一番正確なお答えが出るはずですが、「肝臓に膿を持つ手前」と言われたのでしたら 「肝膿瘍」が出来ていないか、それを確かめるために検査を進めて下さっているのではないでしょうか。

ご質問のページにも書いておりますように、 実際に拝見もせずに診断を下すことは出来ませんので、今回はこの「肝膿瘍」について解説しておきます。

 肝膿瘍には細菌性とアメーバ性(原虫によるもの)、真菌性(カビによるもの)などがあります。

細菌性の場合、「化膿性肝膿瘍」とも呼びます。 糖尿病とか高齢であるとか、またはどこかに癌ができている場合など、 全身の抵抗力が落ちた状態で起こりやすくなることもあります。  

症状は、発熱,おなかの右上のあたりの痛み、肝臓の腫れなどです。 血液検査では細菌を退治するために白血球が増多し、血沈も悪くなり、全身の炎症状態を示す CRPと言う検査の値が高くなります。 肝臓のいろいろな検査の値が高くなりますが、中でもアルカリフォスファターゼ(ALP)というのが 高くなることが多いです。

診断に最も役立つのはCT,MRI,超音波などの画像診断です。 中でも超音波(エコー)の検査が最も手軽です。肝臓癌などの腫瘍や嚢胞との区別が重要ですが、 肝膿瘍は短期間で画像パターンが変化するという特徴がありそういう場合は肝膿瘍が疑われます。 確定診断はご質問者が書かれているように肝臓に針を刺して、膿瘍の部分を探り当てて(普通は超音波検査をしながらやります) 膿がみつかれば出来ます。この検査のときに膿を吸い出すと同時に原因となっているばい菌をみつけて どういう抗生物質が効くかの検討もつけます。治療にも応用できます。 点滴などで全身に抗生物質を投与するのも有効ですが、 膿瘍ができているところに針を刺して中身を洗ったあとで抗生物質を注入しておくと さらに効果があるのです。

肝膿瘍が広がると胆のうまで炎症を起こして腫れることもありますので ご質問者の場合もそういう状態なのかもしれません。

アメーバ性肝膿瘍の場合は特別な治療が必要となります。

癌と「膿瘍」は経験ある先生でしたらCT、MRI、エコー所見などで殆ど鑑別可能ですが、 場合によっては癌がきっかけでその周囲に膿瘍ができてしまっている場合があるので注意が必要です。

いずれにせよ現在診てもらっておられる先生から逐一病状についての説明をお伺いになることを お勧めします。

これ以前のご質問と回答は

「97年8月の質問回答集」

「97年7月の質問回答集」

「97年6月の質問回答集」

「97年5月の質問回答集」

「97年4月の質問回答集」

「97年3月の質問回答集」

「97年2月の質問回答集」

「97年1月の質問回答集」

「96年12月の質問回答集」

「96年11月の質問回答集」

「96年10月の質問回答集」

「6月下旬から10月中旬までのすべての質問回答集」を ご覧下さい。

「ホームページ」に戻る