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高次の虹 higher order rainbows

一次〜四次の虹の光の経路
図1: 一次〜四次の虹の光の経路
一次〜四次の虹の位置
図2: 一次〜四次の虹の位置 (太陽高度30度)
主虹 は水滴の中で一回反射した光が見せる虹で、 副虹 は二回反射した光が見せる虹です。 そして、段々と光は弱くなりますが、三回、四回、…と反射した光がみせる虹も存在し、 三回反射した光の見せる虹は三次の虹 (third order rainbow, tertiary rainbow)、 四回反射した光の見せる虹は四次の虹 (fourth order rainbow, quaternary rainbow)、 のように表し、 それらはまとめて「高次の虹」(higher order rainbows)と呼ばれます。

左の上の図1は、左側からやってきた太陽の光が水滴の上半分に入った場合の、 一次 (主虹) から四次までの光の経路です。 太陽とは反対側の空に見える主虹や副虹 (二次の虹) と違って、 三次や四次の虹は太陽と同じ側の空に見えることが判ります。 この図では三次と四次の位置関係は把握しづらいですが、 その下の図2のようになります。 太陽からの角度で示すと、三次の虹の赤い部分は太陽から 41度ほど離れたところ、 四次の虹の赤い部分は太陽から 45度弱ほど離れたところに現れるので、 三次の虹の少し外側に四次の虹が見えます。。 また、図1で上向きに光の出ている三次の虹は、副虹と同じく太陽に近い側が紫になり、 下向きに出ている四次の虹は太陽に近い側が主虹と同じく赤になります。

こちらの OPOD のページ のように、 計算上はいくらでも高い次数の虹が見つけられます。 また、こちらのページ のように実験室内で探すことも可能です。 これらのページの図や写真から判るように、次数が上がるほど虹の幅は広がります。 そして、図では判りやすいように明るく書いていますが、 次数が上がるほどそこまでに水滴の外に出てしまう光も多くなるために光量が落ち、 また集中度合いも下がっていくために、どんどんと暗くなります。 三次の虹でも、副虹と較べてもだいぶ暗くなります。

三次の虹と四次の虹 三次の虹と四次の虹(強調) 三次の虹と四次の虹(autoBR+U)
三次と四次の虹
(この状況では肉眼での確認は難しい)
アンシャープマスクによる強調
(黒い粒は雨の水滴)
autoBR+U を掛けたもの
(内側(右)が三次の虹、外側(左)が四次の虹)
それでも、実際に空に掛かる三次や四次、そして 五次の虹 (fifth order rainbow, quinary rainbow) は写真に収められています。 左の写真は、2022/12/13 に東京・調布で筆者が撮った三次と四次の虹の写真です。 これらは写真の上でも肉眼での判別は難しいところですが、 画像処理を施すことではっきりと虹があることが判ります。 三次の虹は 2007年に沖縄で 肉眼でも観測されています。 三次・四次の虹の他の例は こちらのページこちらの論文 などで見られます。

現状では観測事例としてはあまり多くない三次や四次の虹ですが、 そもそも探しづらく、また、 主虹や副虹が鮮やかに見えているときなどに太陽側の空は注目されにくいことなどにより気づかれていないだけで、 実際の発生頻度は意外と高い可能性があります。 みなさんも、虹が見えているときは太陽側の空にも注目してみてください。


関連項目

虹 (主虹) 副虹 副虹の色の順序
その他の虹
(過剰虹、反射虹、雲虹、etc.)
虹の大きさ 変則的な虹

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