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その他の虹


過剰虹・干渉虹 supernumerary bows, interference bows

主虹と過剰虹
左の写真で、虹の紫色よりさらに内側に緑っぽい光の筋 (とさらに内側に薄い紫の筋がある) がわかるでしょうか?

主虹のすぐ内側、もしくは副虹 のすぐ外側に、白っぽい縞模様が見えることがあります。 これが、過剰虹 (supernumerary bows)、もしくは干渉虹 (interference bows) と呼ばれる現象です。

これは、ひとつの水滴の中で、もっとも強く光が出ていく方向 (主虹の説明で出てきた「折り返す」方向) の両側の、同じ方向に出ていく二つの光 (折り返す前と後) の出るところの間の距離がちょうど光の波長 (の半分〜数倍) 程度になる場合に見られます。 この距離が光の波長の半分、もしくは 1.5倍、2.5倍、 …の場合は光は干渉して弱めあって暗くなりますが、 整数倍のときは干渉して強めあって明るくなります。 距離はもちろん角度によって変わりますから、 角度によって明るいところと暗いところができて、縞模様になります。

縞の幅は水滴の大きさによって変わり、水滴が小さいほど広い縞になります。 白虹の項で説明しているのと同じく、 水滴が小さいと、それぞれの色の明るさのピークが広くなるのが原因です。

水撒きで見えた過剰虹


白虹・霧虹・雲虹 white rainbow, fogbow, cloudbow

飛行機から見た雲虹
主虹の項で、 虹の七色は必ずしもはっきり見分けられるとは限らないことを書きましたが、 色がはっきりするかどうかは主に虹を見せる水滴の大きさに左右されます。 水滴が比較的大きいときには色がはっきりと分かれ、 小さいときにははっきりとしなくなります。 そして、とても小さなときには、色がほとんど分かれず、白っぽい虹となります。 これを白虹 (white rainbow) と呼びます。 朝日や夕日の、赤い光によってできる場合は、 これが赤っぽくなって赤虹とも呼ばれます。

水滴が小さいときは、光が分かれるところまでは同じなのですが、 他の小さな水滴により回折という現象が起こり、 光がまっすぐ進めずにいくらか散らされるために再び他の色と混ざって、 白っぽくなるのです。 …というのが古い説明でしたが、 光の波としての性質をちゃんと考慮すると、違う説明になります。

波としての性質を考慮すると、 水滴が大きいときは虹のそれぞれの色のピーク (明るいところ) が、 より明るく狭くなるのですが、水滴が小さいと、 ピークがあまり明るくなく、広くなってしまうことが判ります。 ピーク部分が広くなると、隣の色と重なりが大きくなってしまいます。 すると、色が混ざって白くなってしまうのです。

雲や霧というのはとても小さな水滴から出来ているので、 白虹が見えるのは主として雲や霧の中です。 これらをそれぞれ、雲虹 (cloud bow, cloudbow)、霧虹 (fog bow, fogbow) と呼びます。

雲の場合はそもそも明暗があったりするので、見つけ辛いかもしれません。 飛行機に乗っている場合は、眼下に広がる雲に雲虹が見える場合があります。 この場合、雲はおおよそ水平に広がっているので、 雲に沿った形として楕円や双曲線状に見えるかもしれません。

日本語及び漢文の世界などで、 場合によっては、色のついていない、 空に現れる(虹以外の)光の帯をさして「白虹」ということもあるようです。 たとえば、「白虹日を貫く」という言葉があり、 この場合には 幻日環 という現象をさしていると思われます。


水平虹・露虹 dewbow

虹は普通、空に見られます。 しかも、水平線に近いところから、せいぜい40度ほどのところにかけて現れるので、 垂直に立っているようなイメージを受けます。 ところが、草の葉などについた露や、 水面に転がる水滴によって虹が見えることがあり、 この場合、水平線より下、地面や水面に沿って「水平に」虹が現れることになります。 これを、水平虹と呼びます。 諏訪湖でよく見られるらしく、名物となっているらしいです。 露 (dew) で見られることから、露虹 dewbow とも呼びます。

もちろん、よくよく観察してみれば、あくまで対日点の周り 42度の位置に光の帯があるわけですが、 その光までの距離が、背景の地面や水面までの距離に見えてしまい、 (虹自体は、左右の目に同じ角度で光が入ってくるので、 背景がなければ無限遠に見える(#1)) また、 実際に近くの水滴から来た光のほうが明るく (すなわち近く) 見えるでしょうから、 楕円や双曲線の虹が水平にあるように知覚されるのです。 同じ場面でも、写真に撮られると背景までの距離の明確さが減るので、 通常と同じく円形であることが幾らか分かり易くなります。

太陽が高いときに見られる、地面すれすれに (普通の) 虹の上の部分だけが見える虹が水平虹と呼ばれることもあるようです。 この場合は虹は水平ではなくあくまでアーチ型なので、 「水平線近くの虹」といったほうがより正確かもしれません。

#1: 「無限遠」といっても、人間の左右の目で見え方が違うこと (視差) により距離が分かるのはせいぜい数十m なので、「だいぶ遠く」 というのと差はあまりありません。


月光虹・月虹 moonbow

太陽の光だけでなく、月の光でも虹が見えることがあります。 これを、月光虹とか月虹とかいいます。 月の光は太陽に較べて遙かに弱いので、虹自体もとても暗く (月が欠けているとさらに暗くなります)、 色を見分けるのが困難なことが多いようです (人間の眼は暗い光では色を見分けることがあまりできません)。 それでも、満月に近い月がちょうどよい位置にあるときは、 少なくとも二、三色は見分けることができますし、 長時間露出で写真に撮るときれいに色が見えます。 筆者が見たときは、 「空の色が一部変」→「よく見ると色が分離した帯になっている」 →「あ、虹か」→「ふりむいたら月が見えた」 という感じでした。


反射虹 reflection rainbow

副虹と同じ仕組みで三本目の虹が現れることは、 とても難しいのですが、 実は、他の仕組みで三本目、時には四本目の虹が見られることがあります。 それは、通常の虹に加えて、水面に反射した光によって虹が出来る場合です。 この虹を、反射虹、といいます。

元になる光の向きが変わってますから、反射虹は、対日点 (太陽とちょうど逆の位置、自分の頭の影が見える方向) の周りではなく、 対日点を水平線に対して対称に移動した位置にある点の周りに現れます。 ちょっと紙に描いてみると判りますが、対日点と、 それに対称な位置の点の周りに同じ大きさの円があると、 ちょうど、 一つの円を水平線で折り返したような形が水平線より上にあることになります。 水平線に近いところでは、何と V字型の七色の光の帯が見られることになります。

反射虹はもちろん主虹、 副虹それぞれに対応したものが現れますので、 最大で四本の虹が見られることになります。


蕪虹・株虹

虹が、雲と水平線の間だけに見えているような場合をさして、 蕪虹 (かぶにじ) と呼ぶそうです。 株虹とも書きます。 現象自体は虹そのものです。 日本語以外で対応する言葉を持つ言語があるかどうかは知りません。

これ以外にも日本で蕪虹として言及されているかもしれない現象が二つほどあるようです。 一つは、反薄明光線と呼ばれるもので、 雲の切れ間から太陽の光が放射状に広がって見える薄明光線が、 太陽と反対の空にまで現れる場合です。 これはちょうど、太陽の反対側の水平線から放射状に、 何本かの光の筋が現れているように見えます。 日本語では裏御光とも呼びます。 もう一つは、 向日アーク、もしくはウェーゲナーのアークと呼ばれる現象で、 太陽と同じ高度かつ水平方向に180度反対側の位置で交差する、 二本の光の帯が現れるものです。 加えて、向日光柱という、太陽と反対側に現れる光の柱も含んでいるかもしれません。 これらは氷の結晶が原因で見られる現象で、かなり珍しいものです。


関連項目

虹 (主虹) 副虹
虹の大きさ 副虹の色の順序 変則的な虹

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