第3編 ウサギと一緒に暮らしていくために


第1章 病

監修:VFE15363 いくえ


1 ウサギの病気・ケガには、どんなものがあるの?


【 ウサギの病気・ケガ その症状 】
病 気 ・ ケ ガ よ く 見 ら れ る 症 状
スナッフルくしゃみ、鼻水、前足の内側の毛がべたべたする
パスツレラ症
(複数のタイプ)
くしゃみ、呼吸困難、首を傾げたままになる
結膜炎涙が止まらない、目の回りが汚れる
胃内毛球症腹が張る、フンが小さい、食欲不振、体重減少
腎臓の病気血尿
結石(ぼうこう、尿路)血尿、オシッコが出にくい・痛そうにする
子宮、乳腺の腫瘍お腹、胸の腫れ
腸性毒血症、大腸菌性腸炎水様の下痢
クロストリジウム病水様の下痢、急死
コクシジウム病特に幼いウサギは下痢して衰弱し死ぬことも
カイセン症頭、耳のハゲ
耳ダニ、皮膚のダニ耳をかゆそうにかく、背中のハゲ
足の骨を骨折足を引きずる、足が逆向きになる
脊椎の損傷後足をひきずる、尿・フンを垂れ流す
不正咬合、歯の伸び過ぎよだれ、下痢、食欲不振
熱射病夏のベランダ・車内など高温に置かれると急死

参考:
『うさぎの臨床』インターズー
『うさぎクラブ』誠文堂新光社


2 ウサギから人間にうつる病気、またはその逆はあるの?


 ウサギから感染する病気は、犬や猫に比べると、数も感染例も少ないようです。ペ ットとして飼われているウサギは、あまり外界との接触がないせいでしょうか。しか し、全く感染しない訳ではありません。
 また人間が風邪気味の時は、ウサギにも感染する病気の可能性がありますので、注 意しましょう。


【ウサギから人間に感染するもの】

その他には狂犬病、病気ではないがウサギノミがうつることもある。


【人間からウサギに感染するもの】

注:ブドウ球菌は、人間もウサギも感染するおそれがありますので、注意しましょう。
参考:『ペットから病気がうつる!』国書刊行会、『実験動物学概論』朝倉書店、
   『うさぎの臨床』インターズー


3 他の動物からうつされる病気、またはその逆はあるの?


その他病気ではないが

参考:『うさぎの臨床』インターズー


4 必要な予防注射ってあるの?


 ウサギは、予防注射をする必要はありません。というのは、まだ、確実な効果と安 全性を持つワクチンが開発されていないからです。


5 ウサギによるアレルギーはあるの? ウサギの毛を人間が飲み込んでも無害なの?


 ウサギによるアレルギーはあります。

 自分の体質を知らないで、飼ってみてから、アレルギー症状が出た人もいます。鼻 炎がひどくなったり、まぶたが腫れたり、皮膚がかさかさしたり、コンタクトレンズ の調子が悪くなったりするそうです。ひどい人は、毛を吸い込んで喘息の発作をおこ す場合があります。(毛は飲み込むより、気管に吸い込むほうがこわい)

 ウサギや他のペットのアレルギー対策としては、以下のような事が考えられます。

 心配な人はウサギを飼う前に病院に行って、アレルギー検査をしてもらうなど、自 分のかかりつけの医師とよく相談した方がいいと思います。喘息の発作など、あまり にひどい症状が出る場合は命にかかわります。ウサギが原因なのか、他に原因がある のか特定してもらって、最善の対策をとって下さい。


6 ウサギに詳しい獣医師はいるの? 獣医師の選び方で大切なのはどんな事?


 小動物に詳しい獣医師を見つけるのは、なかなか難しい事ですが、ウサギがペット として、広く飼われるようになって長いですから、経験を積んだ獣医師もきっと多く なってきているはずです。
 地方都市やその周辺地域では、信頼できる獣医師探しが大変な仕事になります。し かし、少ない選択肢の中からでも自分がベストと思える獣医師を選ぶのは重要です。

【獣医師の見つけ方】 【獣医師の選び方のポイント】 【獣医師への質問例】
質問に対して、ちゃんと答えてくれないとか、態度が強硬な場合、信頼できな いと感じるはずです。ただし獣医師が忙しい時など、理由があって答えられない 場合もあるので、電話だけでは判断しにくいかもしれません。

【参考】獣医師への質問の具体例(アメリカでのウサギの去勢手術の場合)


7 病気の予防のために自宅できることってあるの?


 病気を防ぐために大切な事

 何も特別な事をする必要はありません。病気は、抵抗力が弱った時にかかるもの。 普段、元気な時にも体の中に病原菌はいます。日和見感染といって、疲れたり、環境 の変化でストレスがたまったりすると、菌が暴れだし、症状が出ることがあります。
 またパスツレラ感染症のように、ケージ内のアンモニア濃度が高いとかかりやすく なる病気もあるので、清潔な環境を保つ事も予防策としてとても有効です。
 そして、毎日よく観察しておいていつもと違うようでしたら、用心して早めに獣医 師に診てもらって下さい。 (観察のポイントについては  第2編 第3章 体の手入れ 5 参照)


8 オシッコの色が白や、赤や、黄色く見える時があるけど、体調の違いで色も変わるの?


 多くは食べたものの色素や塩(えん)、薬の作用、PH等で変わると思います。赤 い場合(赤ぶどう酒色)は、食べたものの影響や、肝臓の異常で血色素合成過程で作 られるポルフィン色素が出ている場合があります。
 血尿は、膀胱炎や尿石症や腫瘍、あるいは急激な溶血を伴うような病気が考えられ ます。膀胱炎の場合、よく注意してみるとオシッコをする時に痛がっていたり、時間 がかかっていたりなど、普段と違う行動でも発見できるようです。
 どちらにしても、尿が赤かったら獣医さんに行く事をお勧めします。

 尿が濃くなるのは、脱水(水を殆ど与えない)、高Ca飼料でなるようです。また アルカリ性の尿では、人でもそうだと思いますが濁っていますよね。ウサギの尿には 炭酸カルシウムや、燐酸アンモニウムマグネシウムの結晶(色々混ざって黄色っぽい 白色)を沢山含んでいると思われます。

 ウサギの血尿検査は、人間用の検査紙でできます。それほど高価ではないので、気 になる時は、自分で調べてみましょう。時々、健康診断のつもりで調べるのもよいで すね。そして、血尿であれば、獣医師に診てもらって下さい。
 検査紙は、薬局で「オシッコが血尿かどうかを調べたい。」と言うと、出してもら えます。この試験紙の使い方は、その入れ物に書いてありますが、自信のない人は薬 局で買う時に使い方を説明してもらうとよいでしょう。

【参考】 ウサギの正常値のデータ
比重1.003 〜 1.036
pH7.6 〜 8.8
蛋白0.7 〜 1.9mg/kg/24h
ぶどう糖0
ケトン体陰性
ウロビリノーゲン0 〜 4( ぐらい)
ビリルビン陰性
潜血陰性

引用:『うさぎの臨床』インターズー 他

(注)正常値のデータは、ごく限られた種類や年齢のウサギからのものですので あくまでも参考にとどめて下さい。
範囲に収まっていても pH が高いようなら検査期間を短めにした方がよいでしょう。
ウロビリノーゲンとビリルビンは肝臓の調子が解ります。


9 病気やケガなどの実例を教えて。


 ウサギが病気やケガをした時、私たちはどうしたらよいのでしょう。実際ウサギの 病気などを見た方に体験談を聞くというのは、とても参考になります。事故などはそ れによって、予防策を講じる事もできますね。
 FPETMAMでは、なるべくそういう実例を詳しく報告して、お互いに参考にするよ うにしています。
 ウサ研の為に、フォーラムのメンバーが、以下のような実例を寄せてくれました。 あなたのウサギの健康を守るのに役立てて下さい。

(注)「種類」に「ミニウサギ」とありますが、そういう種類(品種)はありませ ん。ここでは、雑種の総称として使っています。

  記入凡例
  【病気・ケガの名前】
  《種類(品種)・年齢・体重・性別》その当時のウサギの状態
  《症状・外傷》メインの症状・外傷(かっこ内は補足説明)
  《原    因》
  《経    過》  初期の症状がいつから出たか期間など。
        いつ病院に行き、どういう治療をしたら、症状がどうなったか、など
        治った時期、また、その後の手当や様子も。
  《治療法》    病院での薬や手当とその期間、その後の自宅での対処の方法など。

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 病気

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  【胃内毛球症】
  《種類・年齢・体重・性別》  ミニウサギ・2才くらい・オス
  《症    状》  餌を食べなくなる。
  《原    因》  毛玉がお腹に溜まる。
  《経    過》  2〜3日前からフンが小さくなっているのに気づくが何もしないでい
                たところ、餌を一切食べなくなる。丁度見つけた本に従い消化剤と下
                剤を3日間飲ませる。2日目には、くすんだ緑色をして何個もつなが
                ったフンを、大量にするようになる。3日目には餌を食べ始める。
                その後、フンの様子をみて予防的(特に春と秋の換毛期には気をつけ
                て)に消化剤と下剤を与える。                  
  《治療法》    3日間消化剤と下剤を飲ませた。この時予防的に乳酸菌も同時に飲ま
                せた。

【胃内毛球症】 《種類・年齢・体重・性別》 ミニウサギ・5才・約2.2kg・メス 《症 状》 下痢と便秘(ドロドロのフンと、小さいフンを交互に繰り返す) 《原 因》 毛玉がお腹に溜まる。 《経 過》 ドロドロのフンが2日くらいで治り、1週間くらいで小さいフンにな り、そのまま1週間くらいでまたドロドロのフンが出る。食欲には変 化はなかった。お腹が以前から、ポンポンに膨らんでいた。 2ヵ月くらい繰り返したので、病院で、毛玉を溶かす薬と腸の働きを 活発にする薬をもらい、一週間飲ませた。小さいフンが、2日目には 元のサイズに戻った。 その後何ヶ月かして、またフンが小さくなったので、同じような薬を もらった。 《治療法》 最初の下痢から2ヵ月後に病院で、毛玉を溶かす薬と腸の働きを活発 にする薬をもらい、朝晩一週間飲ませた。
【胃内毛球症?】 《種類・年齢・体重・性別》 ミニウサギ・2才半・2kg・メス 《症 状》 呼吸が荒い・震え 《原 因》 不明 《経 過》 夕食は通常どおり食べる。その後呼吸が荒く目も閉じて苦しそうな様 子。震える。排便なし。 翌日病院で食物滞留との診断を受け、腸を動かす注射をする。また、 併せて点滴液を皮下注射した。点滴液がお腹にたまりゴルフボール大 に垂れ下がる。翌日には解消。 タール状の下痢をする。木をかじったりするがペレットは食べない。 下痢は1日で治まり、その後徐々に食欲回復。 以来1年半、同じ症状の発生はなし。 《治療法》 腸を動かす注射。皮下点滴。
【クロストリジウム症】 《種類・年齢・体重・性別》 ミニウサギ・約9カ月・2kg・オス 《症 状》 下痢 《原 因》 不明 《経 過》 前日(深夜2時頃)までは便も行動も正常。朝6時頃下痢便を発見。 夕方6時頃病院に行く。その際検便をしてもらうが何も発見できず。 ただの下痢であろうということでロペラマイド(下痢止め)を服用。 その後も下痢はとまらず、脱水症状(水に手を浸けたりする)を起こ す。翌日下痢はやまず、獣医師を変える。停電のためその場での検便 はできず、ショック症状が現れているため、症状を和らげる注射を打 つ。 ☆ショック症状☆ 瞳孔が開いている。(前日の獣医師は瞳孔は見てくれなかった) 体に痙攣が起きている。直腸体温は何とか平熱38度を保っている が末端は(耳、足など)は冷えつつある。 帰宅後も痙攣を起こし、再び病院へ行き、その際に原因がクロストリ ジウム菌であることを発見。今後は対処療法しかないと聞かされる。 抗生物質を注射。その後約2時間後に痙攣とともに死亡。 《治療法》 自宅ではケージに入れて暖かくする。タオルを敷いて、下痢で汚れる と取り替え(ほとんど30分毎に取り替えていた)。 病院では上記の通り。 《補 足》 早期のうちに、下痢便に“粘液性”のものが混じっているかどうかを 見極めることが大切と思われる。 下痢の時には便を持って病院に行き検便してもらうのがよい。
【原因不明の下痢】 《種類・年齢・体重・性別》 ミニウサギ・3〜4ヵ月・性別不明 《症 状》 下痢(水様性) 《原 因》 不明 《経 過》 我が家に来た時から元気で好奇心が強く、なんにでも興味を示すウサ ギだったが、来て1ヵ月たった時に突然下痢が始まる。水様性で身体 が汚れてしまうくらいにひどく、あまりにひどいので病院に連れて行 く。 レントゲンをとり盲腸がとても大きいと言われ、先天性なので助から ないかもしれないと言われる(今考えると炎症を起こしていたらその 位大きくなるのではないかとも思う。本当に先天性の物かどうかは不 明)。とりあえず栄養剤の入った注射を打ち、一度家に帰る。 次の日も下痢は止まらず、病院で注射を打つ。水はウサギが飲むよう だったら飲ませてもいいと言われ飲ませるが、一時良くなりかけてい た下痢が再度悪化したので即、水は中止する。餌は一切受け付けない かわりに自分達で注射を開始する。(注1)この時点では、ふらふら で頭を持ちあげる事も出来ないでいた。 2〜3週間良くなったり悪くなったりした後死亡。 このウサギの場合水は飲み放題だったが、また下痢を起こす事を心配 して今飼っているウサギの場合、小さいうちは水の量を体重から計算 してあげていた。 《治療法》 水分補給(&電解質補正&糖分補給)のための注射。 《補 足》 日本にいた時はウサギの事をあまりよく知らなかった。乳酸菌の事な どもっと知っていたら、もっと対処の仕方が違っていたと思う。 死んだウサギには申しわけないがこの事がウサギの事、獣医師に対す る考え方などを見直すきっかけとなってくれたと思う。アメリカでウ サギの飼育書を探したのはこの事があったから……。 (注1)このウサギの飼い主さんは、人間の医師と看護婦というカップルなの で、注射による治療が可能だった。
【原因不明の下痢】 《種類・年齢・体重・性別》 種類不明・1ヶ月くらい・250g・性別不明 《症 状》 下痢 《原 因》 不明 《経 過》 わが家にきて2、3日後、水のような状態ではないが、固形物がない 状態で、お尻がどろどろになってしまうようなひどい下痢。2日間く らい続いていたが、食欲はあるようだった。 以前にシマリスが下痢をしたときに獣医師からもらった、腸内の細菌 バランスを整える薬(白い粘性のある飲み薬)を、獣医師が前に説明 してくれた事を元に、体重に応じて与える。抗生物質なので少し少な 目に与えたが、24時間くらいで元のコロコロしたフンに戻った。 《治療法》 抗生物質(腸内の細菌のバランスを整える働き)1回。
【パスツレラ症?】 《種類・年齢・体重・性別》 種類不明・2才ぐらい・体重不明・オス 《症 状》 あごの下になにかできてしまったとのこと。 《原 因》 不明(飼い主が不在の時だったため) 《経 過》 食欲がなくなり、死亡。死んでしまった後に「あごの下に何かできて いた」と獣医師に教わった。それまでは気がつかなかった。
【膀胱炎】 《種類・年齢・体重・性別》 ミニウサギ・3才半・2kg・オス 《症 状》 膀胱炎 《原 因》 不明 《経 過》 頻繁にトイレに入るが尿が出ない。排尿を試みながら痛みのためか鳴 く。病院で注射。抗生物質を1週間投与。検尿を1カ月後まで2、3 回続け正常値に戻ったことを確認。 以来半年、同じ症状の発生はなし。 《治療法》 注射。抗生物質を1週間投与(猫用の1/4錠を1日1回)。 針なし注射器による強制投与ができず、ペレットを軟らかくして中に 詰めて食べさせた。
【ショック】 《種類・年齢・体重・性別》 ミニウサギ・8カ月・2.3kg・メス 《症 状》 ショックによる体の不調。 《原 因》 猫に追いかけられた。暑い夏の昼間、コンクリートの上を100メー トル近く「チェイス」され、見知らぬおうちの方に保護されてさわり まくられ、約2時間後に帰宅した。 《経 過》 ケージの中でだらっと横になり、動かない。頭を水入れの器の上にの せたっきり。ときどき水を激しくなめる。通常の何倍も飲む。食欲は 全くなし。二日間このような状態が続く。便の状態はよく覚えていな いが、最初下痢をしたように思う。 二日目の午後、あまりに元気がないので病院に連れていく。体温を測 ったりして、一通りの診察をしてもらうが「大きな異常はない」とい うことで、連れて帰る。投薬はなし。 その日の夜くらいから少しずつものを食べ始め、翌日以降、徐々に元 気を回復。 《治療法》 ただひたすら安静にし、水を与える。
【ショックによる病気】 《種類・年齢・体重・性別》 ミニウサギ・8カ月・1.8kg (最終的には1.4kg)・オス 《症 状》 食欲不振及びくしゃみ・鼻水 《原 因》 室内に侵入してきた野良猫に遭遇しパニック状態となる(外傷なし) 精神的ショックのせいか、或いは猿のような声で絶叫したためか、直 接の原因は定かでないが、以来食事を受け付けなくなった。 《経 過》 1週間様子を見るが、相変わらず食欲なし。元気なし。ペレットを水 で柔らかくしたものやリンゴのすりおろしは少々食べる。そのうちく しゃみや鼻水が出るようになった。 近くの病院での見立ては「風邪“は”ひいている」とのことで、抗生 物質を1週間飲ませる。なお、レントゲンでは骨に異常なし。 一向に回復の気配が見られないため、病院を変える。あごの炎症では ないか、とのことで、消炎剤を1週間飲ませる。 5日目位にごく少量ながら自分から餌を食べるようになった。 その2、3日後に再び元気がなくなる。呼吸が荒い。再度レントゲン を撮った結果、胃の1/3程度の毛玉が発見される。毛玉を溶かす薬 を与える(結局病院から帰宅後の1回のみ)。 お腹がひと晩中ごろごろ鳴っていた。粘りのある固形のフンをする。 衰弱がかなり進んでおり、翌朝死亡。 《治療法》 抗生物質投与1週間。消炎剤投与1週間。毛玉を溶かす薬1回。
【斜頸および眼球の震え(震戦)】 《性別・年齢・体重・種類(品種)》 メス・5ヶ月頃・1.5kg・ロップイヤー 雑種 《症 状》 少し出かけていて、戻ってきたらウサギが ・腰が抜けたように下半身をダラッとしていて・呼吸が浅く早く ・眼が左右に小刻みにブレて(白眼が見えかくれする) ・落ち着きなく顔を左右に揺らして、鼻をヒクヒクさせていた。 《原 因》 不明(飼い主が不在だったので)考えられる原因として、以下3つ。 1.急激な温度変化(寒さ) ウサギは室内飼いで、当時部屋の中に放していた。虫干し&衣替え をしていて、外出時は窓を全部網戸にしてでかけていたので、秋の 暖かい日ではあったものの、昼頃から入ってくる風が若干強くなり 部屋の中にいたウサギには寒かったのかも。 2.薬物による中毒(吸引、または経口摂取) 衣替えで、古くなった無臭タイプの防虫剤を、2つほどテーブルの 上に出してでかけてしまった。ただ、獣医師によると、防虫剤の毒 はたかがしれてるので違うのではないか、という見解だった。 3.頭部の強打 高い場所の衣装ケースを取るために3段踏み台を使用していて、そ れを出したままにしていた。もし一番上の段までウサギが登って、 降りれずに落下したとしたら、下はフローリングなので頭部の強打 は充分に有り得る。 また、急にびっくりするとウサギはパニック状態で逃げ回るため、 よくケージの中にいるウサギが逃げようとしてケージに激突して、 同じ様な症状を起こす場合があるとか。当時室内だったので、何か にびっくりしたか走り回っていてブレーキが間に合わず、壁に激突 してしまったのか。 (その他、偏った食事による成長ホルモンの不足、ペレット食で水分 を切らしたなどのケースも獣医師から伺ったが、うちのウサギの場 合は該当しないようだった) 《経 過》 発見後しばらくして獣医師に診せた。1週間通院して元気になった。 1日目・ペレットは全く受け付けず。便は臭く、絵の具のような軟ら かさ。一応、トイレまで行こうとするが、あちこちでボタボタとして 後ろ脚にベッタリついてしまっていた。 夜、だいぶ落ち着いたようだが、目の揺れは左右に定期的に大きくず れ、首が自然と右側に傾いてしまう(斜頸)。ウサギは一生懸命、正 面に顔を向けるのだが、またつーーっと傾いていく。昼夜、ずっとう ずくまっていた。 ★目の揺れは、こんな感じ。

○ ○ Y → → 鼻寄りに 耳寄りに (斜頸も、顔全体→に)

2日目・少し目の揺れがゆっくりになった。便は少し固まってきたよ うす。干し草と野菜を少量食べた。3日目・少し部屋の中を移動し始 めた。が、身体の手入れをしようとすると、バランスを崩して倒れて しまう。ペレットを少し食べた。気が付くと、いつも片側の目の方に 壁がくるように休んでいたので、視力が一時的に低下したのかもしれ ない。4日目・だいぶ元気になり、便も元に戻った。5日目・今日か ら薬が変わった。6、7日目・ほぼ目の震えはとまり、斜頸も気にな らなくなった。ただ、まだバランスは今一つ。部屋の中も、走り回る ことはしない。治療が終わって2日後、初めて部屋の中でダッシュし て遊んでくれた。 《治療法》 脳圧を下げる注射を1本、4日目まで打った。(目の震えは、脳圧が 高い時におこる症状らしい)その後、5〜7日目まで、副作用を取り 除いたり、治療で若干残った症状を抑えるための炎症止めの注射に替 わった。 治療方法は、診察台の上で眼球にライトをあてて、震えの速度・幅や 瞳孔の収縮反応(見えているか)、出血があるかなどをみる。 ペレットよりは、口当たりの軟らかい野菜や果物を与えること。また 部屋の中は少し暖かくして、との獣医師からの指示。


その他の病気例 ・後ろ足の裏のハゲ(飛節びらん)→消毒薬を付けた。ケージの床を柔らかいもの に代え、足の裏の負担を軽くする。
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 ケガ

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  【眼球のへこみ】
  《種類・年齢・体重・性別》  種類不明・1才未満・体重不明・オス
  《外    傷》  涙が出る。よく見ると目玉の一部がへこんでしまっている。
  《原    因》  目に何かが触れてしまった。
                (モルモットと同居していたときなので、ケージが狭すぎたのかも知
                れないが、ケンカした様子はなかった)
  《経    過》  病院に連れて行き、目薬を差してもらった。またもらってきた目薬(
                抗生物質入りとそうでないものの2種)を一日3回差してあげた。病
                院には1回しか行かなかった。
                そのうちに外見は元に戻ったが、よく見ると目玉の色が少し違ってい
                た(気が付かない程度)。視力への影響があったかどうかは不明。
  《治療法》    目薬2種類。(抗生物質入りと、そうでないもの)


【角膜の傷】 《種類・年齢・体重・性別》 ミニウサギ・3才・2kg・メス 《外 傷》 角膜の傷による涙 《原 因》 不明 《経 過》 目やにが混じったような白く濁った涙を流す。目は半ば閉じた状態。 病院で目薬をもらい、1日4〜5回差す。 充血が見られたので刺激の少ない種類の薬に変える。 途中痒みまたは痛みのため爪で掻き、治りかけの状態から悪化するが 2週間程度点眼を継続し、完治。 以来1年余り、同じ症状の発生はなし。 《治療法》 目薬2種類。
【爪を折る】 《種類・年齢・体重・性別》 ミニウサギ・4才・2.2kg・メス 《外 傷》 爪が折れる(右前足第3指) 《原 因》 自転車の前カゴから降ろそうとして、人が手を滑らせ、ウサギをアス ファルトに落とした。うまく着地したが爪を折っていた。 《経 過》 折れた爪から出血。アルコールで消毒して救急バンを貼っておいた。 しかしケージに戻すと即座にはがれていた。仕方なくそのまま放って おいたらすぐ血も止まり、いつの間にか爪も再生していた。 《治療法》 アルコール消毒。(オキシドールのほうがよい)
【爪を折る】 《種類・年齢・体重・性別》 ミニウサギ・1才弱・2kg・メス 《外 傷》 伸び過ぎた前足の爪(1本)を折り出血。 《原 因》 室内を走り回っているときにどこかに引っかけた。 《経 過》 一度折れたが軽傷だったため(少量出血)放っておいた。数日後同じ 箇所を再度折り、かなり出血。 折れて取れかかっていた爪を病院で切ってもらい、化膿止めの注射と 塗り薬(粉末)をつける。 以来定期的に爪を切ってもらっている(飼い主には手に負えない)。 折れた部分の爪は黒く変色してしまいあまり伸びてこない。 《治療法》 化膿止めの注射1回。 折れた箇所に化膿止めを塗布。
【爪を折る】 《種類・年齢・体重・性別》 ミニウサギ・6ヵ月くらい・体重不明・オス 《外 傷》 爪が折れる(左足第5指) 《原 因》 飼い主がウサギを他の人に投げ渡しした。その時に多分洋服かなんか に引っ掛かったか、または人の体のどこかに変な形でぶつかったため 《経 過》 すぐに止血して近くの獣医師に電話するが今手術中で診られないので 夕方に連れて来るように言われる。夕方獣医師の所に行くが既に止血 していて何もする事がなく、感染予防に坑生剤の注射をして帰って来 る。 その後、伸びかけの途中で1回折れた(この時は病院には連れて行か なかった)がすぐにまた伸びた。小屋の金網のせいか外側に曲がって 伸びてしまう。 その後他の爪が折れてしまう事もあったが、止血とオキシドールによ る消毒をするだけで、病院には行かず様子をみている。今まで感染し て化膿した事はない。 《治療法》 病院で坑生剤の注射を1回した。後はウサギがなめて自分で治した。 血が止まるまで圧迫止血するのとオキシドールの消毒。
【首輪の事故】 《種類・年齢・体重・性別》 ミニウサギ・5ヵ月くらい・体重不明・オス 《症 状》 呼吸困難、パニック 《原 因》 市販の小動物用首輪が、ずれて口元に食い込んだ。 《経 過》 すぐに気付いて、首輪を切断し、無事。 《補 足》 市販されているということは、買い求めてる人も結構いると思うのだ が、普段からウサギは声をだして鳴くものではなく、頭の形もすべっ て首輪が口元に入りやすい形をしているため、危ないのではと今回の 件で思った。特に昼間は留守で人がいないとなると尚更だと思う。
その他の事故例 ・生まれたばかりの子ウサギを猫に盗まれた。(室外で飼っていて) ・同居ウサギとのケンカによる咬み傷。何針も縫うような大きな傷の場合もある。 ・門歯を乳歯と言われて獣医に抜かれた。 ・飼い主にふんずけられた。 ・右前足の指骨折。(原因不明)
☆ 星になった小さなウサギたちに合掌 ☆


10 ちょっとしたケガや、いつもより少し調子が悪い時、自宅でできる手当はあるの?


 軽い症状のものには、以下のような対処が自宅でできます。しかし、あくまでも、 軽いものです。重い症状の場合は、すぐに獣医師に治療してもらいましょう。

症   状対    処    方
傷による出血圧迫して止血します。あとオキシドール(過酸化水素水) で消毒。これは薬局で買えます。塗り薬は、ウサギがなめてしまうので塗りません。家の中 で飼っている分には、化膿する事もないと思うので、むやみに坑生剤は使わない方がよい でしょう。
下痢下痢便を見つけたら、すぐに乳酸菌を与えます。そして水と野菜を 少な目にして様子をみます。下痢がひどくなったり、長く続くようなら病院に行きます。 とりあえず様子をみているうちに治る場合も多いです。しかし、下痢はウサギにとって命 取りになる恐い症状です。甘く考えないで、便の状態をよく観察して下さい。(便の状態 については 第2編 第3章 体の手入れ 5 参照)
便秘消化剤と下剤で治る場合も多いです。普段から気をつけていれば獣 医師にかかる前に防げます。 (第2編 第3章 体の手入れ 5 参照)


11 ウサギの首の下から肩にかけてモコモコしてきたけど、大丈夫? 太り過ぎはよくないの?


 ウサギの首周りにつく襟巻きのような肉のひだは、肉垂といい、心配ありません。
 ただ、ひだに隠れた部分が炎症になりやすいので気を付けて下さい。

 しかし、ウサギの太り過ぎには注意した方がいいようです。
 何故なら人間と同じように心臓に負担をかけてしまうからです。太り過ぎると心臓 病で死ぬ可能性は随分上がるようで、洋書の飼育書のほとんどがその事に触れていま す。

 太り過ぎの基準はどの本にも書いてないのと、そのウサギがどの種類のかけ合せで あるかという事(つまり雑種です)でも違って来てしまうので解りません。ただ、「 純血」のドワーフラビットに関しては、1.5kg(ドワーフロップでこのくらいの 体重です。)以上の場合は、太り過ぎだと思ってもいいのではないかと思います。
 いわゆる「ミニウサギ」というのは、小さめの雑種ですので、この基準は当てはま りません。


12 ウサギに薬を飲ませるには、どうすればいいの?


 病院でもらってきた薬を、素直に飲んでくれるウサギはめったにいません。たいて い嫌がります。そういう時には獣医師に薬の飲ませ方を教えてもらいましょう。嫌が っているから、無理に飲ませるのは可哀想、などといって飲ませないでいると、どん どん取り返しのつかない状況に陥ります。心を鬼にして実行して下さい。
 以下に飲ませる時の工夫を書いておきます。

【スポイト・針なし注射器】

【手の甲に塗る】

【ペレットに混ぜる】


13 外を散歩させると、体によくない虫やダニがつく心配があるって本当?


 犬や猫と同じではないでしょうか。そんなに心配しなくてもいいと思います。
 どうしても気になるようでしたら、部屋に入る前に念入りにブラッシングしてあげ たり、足や体を洗ってあげればよいでしょう。ただ、シャンプーのし過ぎはウサギの 皮膚によくありませんので、度を越さないようにしましょう。


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