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Last updated 2023.10.9mf
弁護士河原崎弘
借用書がない場合の貸金請求取立/弁護士の債権回収
相談:借用書がない場合の貸金
私は、友人にお金を貸しましたが、借用書をもらっていません。借用書をもらわずに金銭を
貸した場合、借主が返してくれなければ、泣き寝入りするしかないのでしょうか。
貸金の時効は何年ですか。
弁護士の回答:貸した証拠の確保
金銭消費貸借契約書 あるいは 借用書 などの書類は、単なる書証(証拠)です。書証がなくても、メールとか、証言とか、当事者の法廷での陳述でも、貸した事実を証明できます。
借用
書がない場合、取立ては、次の順序でおこないます。
- まず、証拠の確保です。借主に電話をして、その会話を録音しておくとよいでしょう。
録音テープが証拠になります。
- うまく録音ができたら、次には、借用書など証拠になる書類を書いてもらう。裁判では、書証は有力な証拠です。
- 次は、返済を求め、返済を約束する書類 を書いてもらう。
初めは、
、返済期日を書かなくてもよいです。返済を約束すれば、債務の承認となり、消滅時効を中断します。
- その後は、何度も請求する。機会があれば、保証人 を付けてもらう。
葉書による請求もよいでしょう。意外に効果があります。
- 最終的な請求は、内容証明郵便 を出すとよいでしょう。
電話録音できない、借用書を書いてもらえない場合は、初めから、内容証明郵便を発送するしか方法はありません。
内容証明郵便の効き目 は、相手に依ります。内容証明郵便を出すと、敵対関係になる可能性がありますので、内容証明郵便は最後でよいです。
- 以後は、 自分で裁判するか 、 支払督促 の申立をするか、少額訴訟 の訴えを提起するか、あるいは、弁護士に依頼することになります。弁護士に頼むことになります。相手の不動産あるいは預金などを仮差押をすると、効果が大です。
借用書なしで、裁判で貸金を回収した例は、結構あります。
貸金債権の消滅時効期間 は一般的に 5 年( 民法 168 条 )です。時効完成前に、借用書を書き直してもらうとか、訴えを提起するなどして時効を更新する必要があります。
借用書(証拠)がなくとも取立に成功した実例
借用書(証拠)がなくとも取立に成功した例があります。共通しているのは、借主は、嘘をつくことを怖がり、経済力があったことです。
- 相手は税理士
証券会社の営業マンが、顧客(税理士)に1000万円を貸しましたが、税理士は返済しません。営業マンは弁護士に依頼し、訴えを提起しました。
裁判では、税理士は借りたことを否認しました。裁判が結審した後、判決まで1週間の時期に、税理士から原告代理人に、電話が入り、1000万円は返済されました。税理士は、嘘がばれそうで怖くなった様子でした。
- 相手は、弁護士
依頼人が弁護士に1000万円を貸しました。弁護士は、返済しません。依頼人は、他の弁護士に依頼し、弁護士会に紛議調停の申立をしました。
借りた弁護士は、答弁書で、借りたことを否認しました。当初、調停は、無理な様子でした。借りた弁護士には、
懲戒処分歴が2つありました。調停期日において、借りた弁護士は、500万円ないし10
00万円の札束を受取ったことは、認めました(おかしな認め方です)。弁護士は、嘘がばれるのを怖がっているようでした。時間がかかりましたが、その日に800万円を返す調停が成立しました。借りた弁護士は、新たな懲戒処分を恐れた様子でした。
判例
- 令和4年6月9日東京地裁判決
そうすると、本件契約書等の作成に当たっても、被告が十分にその内容を理解したかどうか、また、現に3000万円の交付を受けたものかについては疑問なしとせず、この点は、原告が被告から被告名義のキャッシュカードの交付を受けて、平成31年4月から5月にかけて出金を繰り返していたなどの諸事情を考慮しても、上記3000万円全額の交付があったと即断することもできない。
(4)小括
以上のとおり、原告が真に3000万円の貸主であれば問題なく説明、裏付けをなし得る事情について適切な裏付け等がされていない一方で、被告の当時の判断能力等に鑑みれば、3000万円の本件貸付けの事実については疑問なしとせず、原告から相当額の金員の提供があったとしても、少なくとも原告自身、被告から1450万円の支払がされたと自認する中において(前記前提事実(4))、貸付残元本がなお2000万円(及びその遅延損害金)存在することについて、高度の蓋然性をもった証明がされているとまではいえないというべきである。
したがって、被告の主張するその余の点について判断するまでもなく、原告の主張は採用することができない。
登録 Aug. 2, 1998
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