太郎山( 太郎山:2,368m ) 2000.06.17 登山


  山王帽子山の斜面より太郎山 ( 2000.06.17 )
【太郎山登山記録】

【太郎山登山データ】

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再登山


太郎山登山記録

日光にある太郎山に登ってきた。
日光の山としては 1990年の男体山、 1991年の奥白根山、 そして昨年の女峰山に続いて 4回目となる訳である。
この太郎山は、かつて男体山頂上から見たその隆々とした姿が印象に残っており、 いつかは登ってみたいと思っていた山であったのだが、そのアプローチの遠さに今日まで敬遠していたのである。
しかし、車を使っての登山を行うようになってからはこの太郎山も十分に射程圏内に入った訳で、加えて、 先日の袈裟丸山登山の際に、 日光宇都宮道路の鳴虫山トンネルを抜けた瞬間に目に飛び込んできた真っ青な空とそこに浮かぶ日光の山々の姿が忘れられず、 今回の山行の目的地を選ぶに際しては、迷わず太郎山を選んだのであった。

前日の天気予報によれば、この日は晴れのち曇りということであったが、 東北自動車道を進んでいる時から太陽は雲の中にぼんやり見える程度で、わずかに期待していた鳴虫山トンネル通過後の状況変化も全くなかったのであった。
それどころか、ラジオの天気予報では午後 所によって雨が降ると報じており、少々モラールダウンしながらのアプローチであった。
10年ぶりとなる日光いろは坂を順調に登り、中禅寺湖、戦場ヶ原を通過して右 光徳の標識がある所で左折し、光徳牧場へと向かう。
光徳沼を過ぎ、暫く進むと日光アストリアホテルで、そのすぐ先にある駐車場に車を止めたのは 7時5分であった。

身支度をして駐車場を出発したのが 7時10分
車道 (山王林道) を暫く進むと、光徳牧場との分岐があり、 何とそこには 「太郎山ハガタテコース 通行止め」 と書かれた注意書きが掛かっていたのであった。
思わず 「嘘だろ !」 と叫んでしまったが、どうやら本当に本日登ろうとしているハガタテコースは通行できないらしい。
そして、その注意書きの下には地図がぶら下げられていて、ハガタテコース以外に太郎山へ登るコースとして、 ハガタテ登山口を過ぎてさらに車道を登り、山王峠まで行ってから山に取り付く山王帽子山経由のコースが紹介されていたのであった。
今までの経験上、通行止めとあっても大概は十分に注意をしていけば通れる場合が多かったので、今回もそうではないかと思い、 取りあえずはハガタテの登山口まで行ってみることにする。
車道を登って、矢島市郎の句碑のあるハガタテコースの登山口に着いてみると、そこにも 「通行止め」 の注意書きが置かれており、 また登山道には中に入れないようにロープがかなりしっかりと張られていたのであった。
このロープの張り方に今までとは違う雰囲気を感じ、このままこのハガタテコースを進むことが大いに躊躇われたのであった。

それではと、仕方なく山王峠を目指すことにしたのだが、この車道登りが結構長く辛い。
クネクネとした車道登りは延々と続き、また途中に標識など全くないから大変不安を感じるのである。
それでもよく見ると道路脇に棒が立てられ、その先にリボンやひもなどがつけられているのが目に入るのだが、その意味が良く分からない。
暫く進むうちに、車道からはずれて林の中に進む小道が見られ、そこにもリボンが見えたものだから、標識がないのはおかしいとは思いつつ、 林の中に入り込んでみることにする。
道は途中までは良く踏まれていたものの、途中からササで覆われて見えにくくなり、さらにササに付いた夜露でズボンが濡れ始め、 このような道を頂上まで進まねばならないのかと不安に思い始めた頃、目の前にカーブミラーが現れたのであった。
そう、再び先ほどの車道に出てしまったのである。何のことはない、蛇行した車道のショートカットだった訳である。

それからは、脇道には目もくれずひたすら車道を登り続けることにし、 先の駐車場から 50分ほど経過した 8時1分、道路の先に車が 3台ほど止まっているのが目に入り、 その横に太郎山と書かれた標識と登山道が見つかったのでホッとしたのであった。
ただ、ここから山王帽子山経由で太郎山までどの位かかるのか全く情報はなく (所有している地図、 ガイドブックにはこのルートのデータはない)、空はいつ雨が降り始めてもおかしくないような状況だったので、 気ばかり焦るのであった。
ここからの登山道は良く踏まれており、暫くジグザグの急登を続けると、やがてササ原の中の気持ちの良い道となり、 振り向けば樹林越しに奥白根山方面がぼんやりではあるが見えたりして楽しませてくれたのであった。
山王帽子山は先の登山口からそれほどの距離ではなく、登ること 約40分、8時43分には道の端に大きな岩がある山王帽子山頂上に着いたのであった。
ここは登り着いた肩の部分はやや開けているものの、標識がある所は狭く、登山の通り道に過ぎない状態であった。

山王帽子山で少し休んでからさらに先に進むと、一気の下りが待っており、 目の前に太郎山の姿が見えてきた。
下りから見る山はいつも壁のように聳えて見えるが、今回もかなりの高さである。
一旦下りきると、そこはササ原の中に枯れ木が多く見られる平らな場所で大変気持ちが良く、 そして先を見やれば男体山と大真名子山が手を繋ぐような感じで並んで見えてなかなか楽しい。
惜しむらくは、天候がはっきりせず、大真名子山も男体山もガスがかかっていてぼんやりとしか見えなかったことである。

このササ原が太郎山との鞍部だと思っていたらそれは間違いで、さらにもう一段道は下り、 その後にはキツイ登りが待っていたのであった。
急な登りを息を切らせながら登っていくと、やがてシャクナゲの群落が見られるようになり、 ピンク色の花を楽しんでいるうちにハガタテコースとの分岐に着いたのであった (9時16分)
この分岐にも 「通行止め」 の注意書きとともにロープが張られており、どうやら遠回りしたのは正解だったらしい。
ここからまず目指すは小太郎山と呼ばれる太郎山西峰であるが、地図を見なかったため、大した距離ではないと思っていたところ、 これが結構 急な登り続きで、意外な手応えであった。
しかも、突然後方に人が現れたので、今までのノンビリモードから抜かれてはなるまいという気が一気に起こり、 結構飛ばすことになったため息がかなり上がってしまったのである。
木々がコメツガからやがてダケカンバに変わりだし、小太郎山頂上が近いことを感覚的に知ることができたのだが、 もうこの先が頂上かと思うと、さらに先に登りがあるといった状況が何回も続き、また 後から来る人のペースが結構速かったことから、 樹林を抜けて小太郎山に着いた時には息がかなり上がってしまったのであった (9時48分)

小太郎山は見晴らしの良い場所で、目の前の男体山、 大真名子山、小真名子山が大きい。
靄がかかったような状況ではっきり見ることはできなかったのは残念だが、このような狭い一角にそれぞれの山が独立したように聳えており、 しかも今は皆緑の絨毯に覆われているものの、太古の昔にはそれぞれの山が火を吹いて勢力を競っていたことを想像するとなかなか面白い。
本来なら戦場ヶ原や奥白根山もきれいに見えるのであろうが、 この日は生憎の曇り空である上に霞んでおり、空の色とほとん判別できないような状況であった。
ところで、この小太郎山で休んでいた人と話をしたところ、何とその人はハガタテコースを登ってきたとのことであった。
道は確かに崩壊しているものの、全く問題なく通れるとのことで、先ほど急に私の後に現れた人も同じくハガタテコースを登ってきたらしい。
少し損をした気分にもなったが、山王帽子山からこの小太郎山までの道もなかなかのものだったので良しとしたい。 事前の情報収集を怠った私が悪いのである。

目指す太郎山の方は目の前に見えており、地図では 20分くらいの距離である。
しかし、これではあまりに早く着きすぎると思い、私としては珍しく、最終目的地を目の前にしてこの小太郎山で 20分もの長い休憩をとってしまった。
しかし、今考えると、先ほど後から追いかけてきた人と再び競争になるのがイヤで、先に行かせたかったからかもしれない (10時8分発)
小太郎山から暫くは岩稜地帯が続いており、左右が切れ落ちた岩場を歩くことになる。この岩場にはピンクの花をつけたイワカガミが咲いているのが見られ、 なかなか楽しませてくれる。
この岩場は距離としては短く大したことはないのだが、私は少々道を間違えたらしく、 最後の方で岩をよじ登る羽目になってしまった。岩を越えてから 岩の左側に道があるのを知って驚いたのであったが、 後で調べると岩を登るのも正しいルートで、岩の左側の道は巻き道だったらしい。
一旦岩場から下降し、緩やかに登り返すと、樹林帯が暫く続く。右下を見ると、樹林越しにお花畑と呼ばれる火口原が見えたが、 四方を樹林で囲まれていて野球場のように見える。
やがて、右から裏男体林道からの道を合わせると、もう頂上はすぐそこで、少しの岩場を登り切ると小広い太郎山頂上であった (10時24分)

頂上には一般的に見られるような山頂を示す標識は見あたらず、太郎山神社奥宮と彫られた石碑と、 積まれた石で囲まれた石の祠だけが置かれていた。
ここの展望も抜群のはずであるが、この日はあまり展望を得られない。目の前の男体山、 大真名子山ももう完全に霞んでいる状態であった。
さて、時刻はまだ 10時半前。このまま帰宅するのは大変もったいないような気がしたので、地図を眺め、天候の心配がなく、 時間も許せば、大真名子山にも登ってみようと決めて、お花畑経由の下山ルートを進んだのであった (10時44分)
樹林の中を下っていくと、大きな岩が 2つ並んで門のようになっている所があり (一方の岩の下には石仏が置かれていた)、 そこを抜けるとお花畑と呼ばれる火口原であった。
ここは周囲を樹林と岩に囲まれた平地で、先ほど述べたように野球もできそうな所である。 このような高い山の中に こういう場所があることに自然の不思議を感じる。
ただ、折角付けられているお花畑という名は名ばかりで、現在この広い台地は背の低いササに覆われていて、 花が咲きそうな気配は全くないのが残念であった。

広い原の真ん中を横切り、火口原の外縁を越えると今度は凄まじいばかりに崩れたガレ場が目の前に現れた。
日光三嶮の 1つである新薙 (ナギ) である。
左側の山の上から川のようになったガレ場が目の前を横切って右へと落ち込んでおり、 その荒れ様は凄まじいものがある。富士山男体山焼 岳などでもそうだが、 このようなガレは火山に多く見られる特質なのであろうか。
新薙を 2ヶ所ほど慎重に横切った後は、薙の横を沿うようにして下っていくのだが、この下り道も結構悪場で滑りやすく注意が必要である。
木の枝や幹につかまりながら、そして途中では備え付けのロープなども使って慎重に下降を続けていくと、 やがて樹林帯に入ることになり、やっと一息つけるようになった。
後は樹林の中の下降で、それ程面倒な所はない。徐々に傾斜も緩やかになり、シャクナゲの群落を過ぎてササ原に出ると、 やがて裏男体林道へと飛び出した (11時49分)
ここから 10分ほど林道を歩くと志津乗越分岐で、時間を見ると 12時2分。ここまで来るとさすがに疲れが出始め、 ここからさらに志津小屋を目指して 40分ほど歩き、そこから大真名子山に取り付く元気はもうなかった。

この志津乗越からの裏男体林道歩きも前回の男体山の時の記憶通り長く、 ただひたすら歩き続け、今朝ほどの駐車場に着いたのが 13時12分であった。
林道歩きの途中で雨も降り出したので、大真名子山登山を行わなかったのは正解だったと自分を納得させたのであった。


太郎山登山データ

 
上記登山のデータ 登山日:2000.06.17 天候:曇り後雨 単独行 日帰り
登山路:光徳駐車場−山王峠登山口−山王帽子山−ハガタテ分岐−小太郎山−太郎山−お花畑−新薙−太郎山登山口−林道出合−志津乗越分岐−梵字飯場跡−光徳・三本松分岐−光徳駐車場
交通往路:瀬谷−横浜IC−(首都高速・外環道・東北自動車道)−宇都宮IC−(日光宇都宮道路)−清滝IC−(国道120号線)−いろは坂−光徳 (車にて)
交通復路光徳−いろは坂−(国道120号線)−(国道122号線)−桐生−(国道50号線)−佐野IC−(東北自動車道・外環道)−練馬IC−(環状8号線)−用賀IC−(東名高速道)−横浜IC−瀬谷 (車にて)
その他の
太郎山登山
光徳駐車場−山王峠−山王帽子山登山口−山王帽子山−  小太郎山−太郎山−お花畑−新薙−林道出合−志津乗越分岐−光徳・三本松分岐−光徳駐車場
  (2015年05月17日 : 快晴)      こ こをクリック

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