荒船山( 行塚山:1,422.5m ) 2006.12.23 登山


  艫岩展望台から浅間山を望む ( 2006.12.23 )

【荒船山登山記録】

【荒船山登山データ】

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荒船山登山記録

12月23日の天皇誕生日、荒船山に登ってきた。
本当は新しい登山靴を試すべく少々雪のある山をと思っていたのだが、暮れのこの時期飲む機会が多くて体調が思わしくなく、結局 手頃な高さを持つ荒船山に切り替えた次第である。 そして、数ある山の中からこの荒船山を選んだのは、最近登った裏妙義からその真っ平らな頂稜部を眺め、改めて興味を抱いたからであった。

ということで、横浜の自宅を朝4時半に出発。早朝にも拘わらず環状八号線の相変わらずの混雑ぶりに驚かされつつ練馬ICから関越自動車道に乗り、 藤岡JCTからは上信越自動車道に入って下仁田ICで降り、国道254号線を佐久市の方へと向かった。 上信電鉄の下仁田駅を過ぎ、やがて、左 サンスポーツランドの標識を見て荒船湖への道を分けると、254号線の旧道が左に分かれるので そちらに道を取る。 暫く先で再び新道へと戻る道が右に出てくるが、まっすぐに進んで狭い林道へと入る。狭くUターンもできない道の状態に少々心細くなった途端に、 林道の右手に立派な荒船山登山道案内図が立つ小スペースが現れた。ホッとしてスペースに車を駐める。スペースは車 4台ほどが駐車可能といった程度である。
時刻は 7時35分。無論 駐まっている車はない。

身支度を調え、7時41分に出発。
標識に従って杉林の中に入ったと思うとすぐに林道に飛び出してやや拍子抜けする。林道の右手の方に登山道の標識を見つけ、再び杉林の中を登っていく。
道は明瞭。途中 道が二股になっていたりするが、間違えないように進むべき左側の道に標識が立てられており迷うことはない。
ところがである、その分岐を過ぎて、すぐに道は左側の斜面に対し鋭角に戻るようにして登っていくようになっていたのだが、よく見るとその道に木が横たえてあり、 あたかもそちらへ進んではいけないということを示しているように見える。加えて、その鋭角なカーブの突端を見ると、やや不明瞭ではあるもののまっすぐ進む踏み跡があり、 しかもその前方の立木に赤テープが付けられているではないか。魔が差したとしか言いようがないのだが、そのテープに誘われて私は本来進むべき道をはずれてまっすぐに進んでしまったのである。

道の踏まれ具合はやや不明瞭、しかし落ち葉が道を覆っていると考えればこれもありかなとも思われる。 おまけに木立に付けられたテープは先へとしっかり続いているので、これは前に進まざるを得ない。
テープを辿り、これまでの杉の林から雑木林の中に入る。やがて緩やかな斜面の登りとなり、それなりに高度を上げてきたところでテープを見失ってしまった。 辺りを探し回ると、右の急斜面の下に沢があり、その向こう岸にテープがあるではないか。どこでルートを間違えたやら と思いつつ、急な斜面を一気下り、 最後は斜面の急勾配に耐えきれずに沢に飛び降りる形で 何とかテープのところまで辿り着いたのであった。

そこからも目印のテープは続いており、それに従って進んだのだったが、ますます道は不明瞭になる。
最終的に 急斜面の登りが目の前に現れた時点で、ついにこのルートを辿ることをあきらめることにしたのだった。実はかなり前からこのルートは間違いであろう と気づいてはいたのだったが、 テープが何とか正規のルートに導いてくれるだろう と期待を抱いていたのである。
しかし、本来 荒船山がある方向から右にドンドン逸れていくのであるからもういけない。これは戻るしかないと思い、来た道 ? を戻り始めたのだったが、 ある程度戻ったところで道が分からなくなってしまった。山中を 20分ほど歩き回ったのだが、歩き回れば歩き回るほど道が分からなくなる。何故なら、 何とテープは至る所に付けられていたからである。恐らく山林伐採の人が目印に使うテープなのであろう。

結局、頭で戻る方向を考えて進んだことにより迷ってしまったことを反省し、 先ほど沢に降りた急斜面をよじ登り、着実に辿ってきた道を戻ることにしたところ、その後も若干迷いはしたものの、どうにか 前述した二股のところまで戻ることができたのであった。
まだ朝のうちだったから良かったものの、暗くなっていたら恐らくパニックに陥ったであろう。山を舐めてはいけない。

正規のルートに戻れば、何のことはない。すぐに尾根に辿り着き、枯葉が敷き詰められた道を緩やかに登る日だまりハイクが待っていた。 しかし、身体の方は結構くたびれた状況で、気力の方もやや減退という感じである。
やがて、大きな岩の下に祠がある中の宮と言う場所へと着いた (9時31分)。杉の林の中に突如として現れた大岩はかなり印象的であったが、 それよりもその 5分ほど手前の場所で、木の幹にひっかいた跡がつけられていたことの方がインパクトがあった。恐らく熊の爪痕だろう。

やがて稜線上に出ると、ここからは胸突き八丁という登りが待っていた。
普段ならどうと言うこともない登りだが、先にエネルギーをかなり消耗している私にとってはかなりの苦しさである。息を切らせながら登っていくと、 これまで遠く樹林越しに見え隠れしていた艫岩 (トモイワ) が目の前に大きく現れ、その岩肌さえも今やハッキリ見える。 こちらは艫岩の側面にあたるのだが、まさにその名の通り、形は頂上大地の船尾である。

道は木で作られた階段へと変わり、さらに壊れたガードレールを左に見て登っていくと、 やがてササ原へと飛び出した。荒船山頂上台地の一角である (10時19分)
このササ原を抜けると、良く踏まれた頂上台地を通る道へとぶつかり、右 艫岩、左 行塚・星尾 と書かれた標識が待っていた。
当然道を右に取り、艫岩へと向かう。立派な避難小屋を過ぎるとすぐに艫岩の絶壁頂上で、そこには
浅間山 を中心とした大展望が待っていた。
時間は 10時22分。ロスした 1時間程がなければ、もっとスッキリした展望を得られたのであろうが、この時間ではやや霞み気味である。

しかしそれでも展望は素晴らしい。まずはお馴染みとなった 浅間山 が雪を頂上に抱き、 どっしりとした姿を見せている。その左手前には物見山。この山も頂上付近は白くなっているが、恐らく木々に付いた霧氷であろう。浅間山の右の方には、 先日登った 裏妙義の谷急山、烏帽子岩 が目立っており、その後ろには榛名山が霞んで見える。
手前に目をやれば、眼下に国道254号線が山間を縫うように走るのが見え、その山々の上に艫岩自体の影が映っている。
この艫岩頂上には方位盤が置かれており、浅間山の周辺には 白根山谷川岳白馬岳槍ヶ岳の表記が見られるが、 この日は全く無理であった。

さて、雄大な展望を十分に堪能した後は避難小屋に入り少々腹拵えをし、その後 行塚山を目指した (10時38分)
この避難小屋から行塚山の基部までは、まさに頂上台地と言われる通りほぼ真っ平らな、しかもまっすぐな道が続く。帰りに乗ったタクシーの運転手が、 太平洋戦争中 この頂上台地を飛行場にするという計画があったと言っていたが、それも頷けるものがある (風が強いため計画は取りやめになったとか・・・)
平らな道を 5、6分進んだであろうか、行く手に見える木々が徐々に白くなり始めた。ここからは霧氷の世界である。恐らく、この区間だけ相当冷たい空気が流れたのであろう、 行塚山への分岐付近まで真っ白い世界であった。

青い空に日差しは明るく、白い木々が映える。時折吹く風に霧氷は飛ばされ、雪のように私の体に降り注ぐ。 なかなか面白い体験であった。
暫く霧氷の中のプロムナードを楽しみながら進んでいくと、やがて行塚山の分岐で、当然道を左にとって行塚山を目指す。行塚山も霧氷に覆われ、 しかも地面の方は数日前に降ったと思われる雪が凍りついていて歩きにくい。
滑る足下に苦労しながら、斜面を登ること 10分弱、登り着いたところが 祠のある行塚山頂上であった (11時10分)
頂上は狭く、祠や三角点がなければ、黒滝山不動寺へと続く道の中の小ピークにしか思えない。また、展望も利かない状況であるが、幸い木々の葉が落ちてしまっているので、 枝越しに何とか展望を得ることができる。目に飛び込んできたのは周囲からニョキッと飛び出しているローソク岩で、その後方には冠雪した 八ヶ岳連峰 がうっすらと見える。

さて、腰掛ける場所もない頂上を後にして、再び分岐点へと戻り、星尾峠を目指す (11時15分)
しかし、この下りが急である。体調が良くない上に、エネルギーを消耗している身体には、この後 兜岩山に登り、再び道を戻ってこの斜面を登り返すアルバイトを思うと、 気が滅入る。
イヤだなあと思っていると、星尾峠に到達する前に黒滝山不動寺への分岐が現れた。そう言えば、黒滝山不動寺からバス停まで出て、バスで下仁田へ戻り、 そこからバスなり、タクシーを使って車を駐車した場所まで戻った方が良いかも知れない と前日考えていたことを思い出し、ついつい足を黒滝山方面に向けてしまったのであった。

しかし、黒滝山不動寺へは先の行塚山頂上から向かうのが正規の道であり、 この道はあまり踏まれていないようであった。行塚山からの道と合流するまで荒れた道の連続である。イヤイヤ、その後も 毛無岩を過ぎるまで、 所々で道は荒れており、苦労の連続であり、しかもその距離の長さに辟易とさせられたのであった。
場所によっては、背丈ほどもあるササが生い茂る中を進むことになり、柱状節理の岸壁の下を歩くところでは所々道が崩れていたり、また倒木が多くて越えるのに苦労したりと、 疲れている身体には厳しい道のりであった。
また、人があまり通っていないからであろう、踏み跡が不明瞭な場所もあり、特に岩場を歩いた時には道を見失いかけ、今朝ほどの悪夢の再現かと一瞬真っ青になった次第である。
しかし、天候の方が良いので、まだ気分は明るい。

行塚山の下を巻いて立岩への分岐まで進む道は、先にも述べたように途中のササが私の背丈まであり、 この道を進むことの不安をかき立てる。しかしそのササの林も足下はキチンと踏まれているので迷うことはない。途中振り返れば、行塚山が樹林越しに見えたが、 意外と鋭角な三角錐の姿に驚かされる。
立岩への分岐を過ぎると、柱状節理が見事な岩が現れ始める。やがてかなりの長い間、柱状節理の岸壁の下を歩くようになるのだが、道が悪い。 途中崩れているところがあったり (右は崖)、倒木があったりで苦労させられる。ただ、この岩場は興味深く、 庇のようになった岩があったり、岩穴があったりして、かつて原始人が暮らしていたのかもしれない といった想像をかき立ててくれる。

道の途中、ところどころで樹林越しに立派な岩峰が見える。恐らくあれが毛無岩であろう。 崩れそうにも見える岩肌と、てっぺん近くに見える一本の木が印象的である。しかし遠い。
疲れた身体にむち打ってただひたすら歩き続けると、やがて立派な標識が立っている相沢越に着いた。まっすぐ進めば黒滝山不動寺、右に下れば道場であるが、 左にも方向指示が出ていて相沢と書いてある。
疲れた身体にはこの 「相沢」 という字は魅力的である。何故なら、相沢は今朝車を駐めた場所そのものだからであり、 従ってこのまま下ればかなりの時間短縮になるからである (黒滝山不動寺まではまだまだ遠い)
しかし、持っている昭文社の地図 「2005年版 西上州」 にはこの相沢越から相沢を結ぶ道は載っていない。しかも、 いくら探しても道らしいものが見えない。恐らくほとんど人が通っていないのであろう。
今朝のこともあって、道に迷う恐怖が結局相沢に向かうことを断念させたのであった。

すぐに道は毛無岩直登ルートと迂回路に分かれる。
ここでも、今朝の出来事+ここまでの道の荒れ具合が、直登ルートを進むことを拒ませる。後でインターネットで調べたら、それほど大変な道ではなかったようだ。 残念。
息を切らせながら尾根に登り着くと道は丁字路となり、右は道場、左は黒滝山不動寺となっている。黒滝山不動寺への道はさらに登っているので、 思わず道場への道に進みたくなったが、ここは我慢。
毛無岩直登ルートと合流した後、やがて送電線の鉄塔下を通ることとなると (13時43分)、かなり道は緩やかになって散策コースと言っても良いような状況になってきた。 しかし、ずっと歩き続けてきた我が身にはキツイ。

トヤ山への分岐は気づかずに通り越してしまい、展望を得られない状況が続く。 ようやく左手樹林越しに鹿岳 (カナダケ) の姿を見ると、やがて杉林の中に突入。登山道は徐々に広くなり、ミニパワーショベルが入って道を整備しているところを過ぎた後は林道並となり、 ようやく黒滝山不動寺の前に飛び出したのであった (14時38分)。しかし、ここからも長い。舗装された道路を下り、 集落を抜けて小沢橋まで 1時間程の道のりを歩かねばならなかったのであった (15時41分)
ようやく着いた小沢橋でも、次のバスまで 1時間程待たねばならない状況であったことから、結局タクシーを呼び、6,090円の出費となってしまったのだった。
コース自体は長いだけでそれほど苦労はなかったものの、色々な経験をさせてもらった長い一日であった。


荒船山登山データ

上記登山のデータ登山日:2006.12.23 天候:快晴単独行日帰り
登山路:相沢登山口−中の宮−胸突き八丁−艫岩−行塚山基部−行塚山−行塚山基部−黒滝山不動寺分岐−立岩分岐−相沢越−送電線鉄塔下−黒滝山不動寺−小沢橋
交通往路:瀬谷−横浜IC−(東名高速道路)−用賀IC−練馬IC−(関越自動車道路)−藤岡JCT−(上信越道)−下仁田IC−三ツ瀬−相沢登山口 (車にて)
交通復路:小沢橋−(タクシー)−相沢登山口−下仁田IC−(上信越道)−藤岡JCT−(関越自動車道路)−練馬IC−用賀IC−(東名自動車道路)−横浜IC−瀬谷 (車にて)


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