実録ドキュメントオネクリM−23 栄光の軌跡と影

2002年3月10日(日)オネクリM−23が流氷ダイビングにデビューした!それは夢にまで見た瞬間で
あると同時に、水温0℃という厳しい自然環境を改めてまざまざと見せつけられた出来事でもあったのだ。
 
流氷の天使:クリオネと共に、ロボットである流氷の悪魔:オネクリを流氷の下で舞わせる・・・ それこそが
本来のオネクリの目的である。1997年のM−7、1998年のM−10、1999年のM−15、そして昨年
2001年のM−18と、今まで4回の流氷ダイビングに臨んだオネクリはいずれも長時間、水中で舞う事が
出来ず、最終的には水没という結果に終わった。にも関わらず今年のオネクリには絶対の自信があった。
それは先のNHK取材でほぼ完成されたと言えるオネクリ2002の水中動作の実績からであったのだ。
 

    AM10:00、ウトロ港置きに浮かぶ流氷上にて2002年型 M−23を
    カメラの水中ハウジングのポート部分に装着したオネクリハウス(通称
    クネオハウス)に収納。本番を待つ・・・
    AM10:29、エントリー開始。水深7mの水底で待つ現地水中カメラマン
    大和さんが映す中で潜行。
    AM10:32、オネクリM−23の浮力調整完了。右手首に装着したピン
    セットを使い運命のスイッチON!『ウィィ・・・・ン感動の瞬間であった。
    M−23は見事に羽ばたきを披露した。ごんずい、思わず水中でガッツ
    ポーズを見せる。水中では金属羽根が反射して、異様な輝きを放つ。
    問題は獲物(?)であるクリオネである。悲しいかな、2002年も極端に
    クリオネが少なかった事が悔やまれる。

    ← 遂に動作したオネクリM−23
 

   最初のスイッチ投入から約5分もの間、M−23は羽ばたき続けた。そして最初の
   標的でもあるミジンウキマイマイに遭遇(左写真の上がマイマイ)。
   2002年の流氷下はマイマイの天国でもあった。大小様々なサイズのマイマイが
   羽ばたいていた(写真下)。
 
   マイマイがこれだけいるって事は、それを餌にしている
   クリオネだってもっと沢山いてもいい筈なのだが・・・・
   ともあれ昨年のM−18に続き、再び人類はオネクリが
   ミジンウキマイマイを威嚇するシーンを目撃した。そして
   安心したがの如く、M−23のバッテリーは底を付き、
   動作が停止した。予想では5分から10分の間は動作
   するだろうと思っていたが、水温0℃の海は電池には
   非常に厳しかった。

驚く事に(開発者としては驚いてはいけないのだが・・・)、M−23は26分ものダイビングでも全く水没をして
いなかった。但し、1.5V×2ケの小型アルカリ・ボタン電池はこのダイビングで完全に底をついてしまった。
しかし、オネクリM−23にはクリオネと舞うという究極の目的が未だ残っているのだ。AM12:32、2回目の
エントリー。潜行後、もう1つのアイテムであるミジンウキマイマイ型ロボット:ミジンウキみゃーみゃー01の
試運転を行い、その後にドラマが待っていた!
 
   見よ!これが人類史上2回目となる4年ぶりのクリオネと
   オネクリの遭遇シーンである。既にオネクリは電池が切れ、
   動きとしては止まってしまっているが、これぞ待ちに待った
   瞬間なのである。
 
  クリオネとオネクリの
  遭遇・・・ 何とロマン
  チックであろうか!

  このクリオネはこの後
  オネクリとの歴史的な
  シーンをも演出する。
  クリオネとオネクリの
  ロンドである。
 
 
   
 まさに芸術的!接近するクリオネとオネクリ、・・・まだまだオネクリは巨大だと痛感するが、ここまで互いに
 絡んだのは初めてである。これぞオネクリ・ファンが待ち臨んだ瞬間ではなかろうか!ピンが甘かろうが、
 ハレーションしようが、そんな事はこの次元では全く無意味なのだ。
 
  更におまけの物語は続く。今度はウリクラゲに果敢にアタックするのだ。
  本当の狙いは、結構悪食なウリ君にオネクリを食わせてみようという
  何とも凄い計画だったのだが、残念ながらウリ君は全くオネクリを無視
  してくれちゃったりして、少し悲しかったな・・・

  ・・・という訳で、今回のオネクリ2002:M−23は予想以上の快挙を
  成し遂げたのであった。今後のオネクリはどう進化するか今は考えて
  いない。電池交換出来るタイプの開発もしかり。個人的には『攻撃する
  次世代のオネクリ』でも作りたいなぁ・・・等と考えたりもする。でもその
  前に、クリオネがうじゃうじゃといる海でオネクリが自らの動力&浮力で
  クリオネと延々に舞うシーンも見てみたいなぁ・・・

  諸君!今後のオネクリからはまだまだ目を離せないゾ!
 

そして・・・ 2002年4月1日(月)
この歴史的な3月10日の映像が再びNHK:おはよう日本放送されたのであった。



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