怒涛のゲッターロボ・コレクション!

第11面

『真ゲッターロボ』は『號』のミッシングリンクを埋めるものだったが、
ついに2001年、『號』のその後を描く「残された人々」のストーリーが始まった!!


ゲッターロボアーク
〜 双葉社「アクションピザッツ増刊 スーパーロボットマガジン」 vol.1(2001.8.19)〜vol.14(2003.10.19・休刊)まで連載 〜

双葉社 1巻・2002.7.12第1刷発行 2巻・2003.6.28第1刷発行 3巻・2004.6.12第1刷発行

流 竜馬、一文字號、タイールたちが乗った真ゲッターロボが、ハチュウ人類 を巻き込み火星へ消えて十数年後(?)。神隼人は早乙女研究所を率いて 新たな敵との戦いに入っていた。昆虫のようなおぞましき謎の敵との戦いの中、 隼人の前に流 竜馬の「息子」と名乗る男・流 拓馬が現れたのだ!

「早乙女博士の遺産」最強のゲッターロボ・アークに乗る、流 拓馬、 「おめーの顔はめずらしいんだよ」と拓馬に言わしめた、ハチュウ人類と 人類とのハーフ・カムイ、タイールの弟・予知能力を持つ山岸 獏の 新ゲッターチームが出撃するっ!


ちなみに梵字「アーク」はこう書く。サンスクリット語なんだね。


「アーク」     「キリク」     「カーン」
が、今度の3体の名前ね。

「かみつく」というゲッター史上最もワイルドなその攻撃を見よ! もはや「博士兵器」と化した狂気の科学者・敷島の勇姿に涙しろ! いまだ錆び付かぬ、神隼人のマシンガン使いに歓喜の声を上げろ! かてて加えて、登場人物の素晴らしきセリフの応酬は、色紙か掛け軸に書写して、 朝に礼拝、夕べに感謝を送りたくなるくらいだ!

×        ×        ×        ×

…と、連載開始初期はキャラクター押しで転がしていく形に見えた。 ところが、掲載半ばより人類とハチュウ人類の政治的な駆け引きが 表面に立ち始める。

連載当時、北朝鮮に拉致されていた日本人5名が帰国するという一件が あったワケだが、それに呼応するかのように、恐竜帝国もまた人類を拉致 し様々な研究をしていたらしいコトが示される。しかし帝王中心の独裁主義国家 では、拉致された人類である母とカムイが自由に会えないという描写、 表立って人類とハチュウ人類が交流できないといった描写などを踏まえつつ、 「ご時世」を反映させていくこととなる。

宇宙から攻めてくる軍団に対し、 シリーズ上の宿敵、人類とハチュウ人類が手を結んで戦うことに。 表向きの握手に対し、実は人類への陰謀も捨てていない、ハチュウ人類 の目論見が明らかにされつつ、その象徴カムイが大きくクローズアップされる。

さらには、恐竜帝国が作り出したゲッターザウルスともども、 時空を越えて敵陣へ乗り込むことを決意、無謀な賭けに出る地球軍。 アークとザウルスは実験と実践を兼ねて「ゾーン」に飛び込み、 ついに昆虫軍と戦う遠い未来の人類に出会う。

その軍隊に誰もが見覚えのある男がいた…それは巴武蔵!…と実に いいトコロまで(vol.11まで)が2巻に収録。その武蔵は本物なのか? 虚像なのか?彼らが操るゲッターエンペラーとは?



時空を越えたゲッターチームは、エンペラーの戦う場へ合流、 「人類の繁栄のために」今まで敵だと思っていた者たちを容赦なく 殲滅させていくサマを目にする。それは人類のためとはいえ、 正しい戦いなのか?それともゲッター自身が全宇宙における「悪」 なのか?疑問はゲッターチーム全員に襲い掛かる…。

加えて、百鬼帝国の生き残りも現れ、敵と手を組んでいた。 誰が味方で誰が敵なのか、まったく見えないまま混沌たるストーリー が展開する…はずが、いささか駆け足でvol.14の休刊、「第一部・完」 を迎えてしまう(単行本3巻134ページ)。

ああ、双葉社の賢ちゃんマンガの宿命なのか…。

拓馬はあっさりと仇を潰し「コレで本当に俺の復讐は 終わったのか」とアイデンティティを問う。一方で、ハーフとして 悩んでいたカムイはゲッターエンペラーのとめどない暴力を目の 当たりにし、この無謀なる人類の進化を止めることを決意する。

残す所三本分、40+40+51=131ページ分が連載分。1冊の単行本に まとめるには後120ページばかり足りない状況だったが、 3巻発売の折に20ページの加筆がなされた。(ちなみ更に足りない分は 「マジンガーZ  ミケーネ恐怖の遺産」収録)

再び時空を飛んだゲッターチーム。カムイは恐竜帝国のクーデター に成功し、百鬼帝国の残党が死ぬ間際に託した秘密兵器を完成、 進化する以前のゲッターロボ、アークを破壊しに掛かる。拓馬は アークで迎え撃つが、絶望的な力の違いに破壊されようとする。 その刹那、かつて暴走しながら地下に沈んでいったゲッタードラゴン が蘇り…ああ再びの!<第一部・完>。

事情は分かっちゃいるけども、惜しむらくは連載終了間際と加筆分の 展開が如何にも駆け足で、もっとじっくり読みたかったなあと。

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ちなみに単行本への加筆は、3巻135ページ以降の展開そのものと、 なぜか3巻45ページのムサシのセリフ。人類が外宇宙で初めて戦争を 体験した年が、連載時は「750年前」だったのが、「2500年前」に 変更されている。スケール感をアップさせたのだろうか?

「スーパーロボットマガジン」休刊時の日記はこちら


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