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22.まひるの月を追いかけて 23.Q&A 24.夜のピクニック 25.夏の名残りの薔薇 26.「恐怖の報酬」日記 27.小説以外 28.蒲公英草紙−常野物語− 30.チョコレートコスモス |
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上と外、puzzleパズル、ライオンハート、MAZE、ドミノ、黒と茶の幻想、図書室の海、劫尽童女、ロミオとロミオは永遠に、ねじの回転 |
中庭の出来事、朝日のようにさわやかに、猫と針、不連続の世界、きのうの世界、ブラザー・サン シスター・ムーン、六月の夜と昼のあわいに、私と踊って、蜜蜂と遠雷、祝祭と予感 |
ドミノin上海、スキマワラシ、なんとかしなくちゃ。青雲編 |
●「蛇行する川のほとり1〜3」● ☆ |
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2004年11月 2010年06月 2003/09/07 |
3部作として3回に分けて刊行された、少年少女たちのミステリ・ストーリィ。 第1巻の語り手は、高校生の毬子。 読み終えてみると、前に読んだ内容・印象を忘れてしまっていることもあって、結局何だったのか、というのが正直な感想。 |
●「まひるの月を追いかけて」● ☆ |
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2007年05月
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恩田作品はもう卒業しようか、と思っていたにも拘らず本書に手を出したのは、奈良を旅するストーリィ、洒落た題名、表紙画に惹かれた故です。
研吾が姿を消した、どうも奈良にいるらしい。探しに行くのに同行してと、その異母兄の恋人である優佳利に頼まれ、静は一緒に奈良を巡る旅をすることになります。明日香、山辺の道、奈良市内、というのがその旅程。 ※なお、女性2人は山辺の道を天理から桜井へと歩き、逆の方が良かったかと後で述懐しますが、それはまさにその通り。私は桜井から天理へとかつて歩いたのですが、その方が良いとお勧めします。 |
●「Q&A」● ☆ |
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2007年04月
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2002年 2月11日午後 2時過ぎ、東京郊外の大型商業施設Mで大パニックが発生、大勢の死傷者が出る。しかし、その原因が何であったのか特定できず、聴き取り調査が始まるといったストーリィ。
「質問と答え(Q&A)だけで物語が進行する、リアルでシリアスなドラマ」というのが、帯のキャッチフレーズ。 |
●「夜のピクニック」● ★★★ 吉川英治文学新人賞・本屋大賞 |
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2006年09月
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いいなぁ。久しぶりにいい! 何より雰囲気が良い。ストーリィの中の一時一時(一頁一頁)を大切に読んでいたい、気付けばそう思って読んでいる自分がいる。 本書は、朝8時から歩き始めて翌日の朝まで歩き通すという学校行事“歩行祭”を舞台にした高校生ストーリィ。「六番目の小夜子」「球形の季節」に続く高校三部作の最後の作品とのことです。 評判になったデビュー作「六番目の小夜子」は勿論のこと、恩田さんの魅力はやはり普通の高校生活+αを鮮烈に描くところにある、と感じます。
“歩行祭”は、まず朝8時から夜中の午前2時までをクラス単位で歩く。それから少し仮眠を取った後、制限時間内に20キロを自由に走り、歩いてゴールを目指すという校内イベント。恩田さんの母校にも同じような行事があったそうです。 ※「図書館の海」に予告編として書かれた「ピクニックの準備」あり。 |
※映画化 → 「夜のピクニック」
●「夏の名残りの薔薇」● ☆ |
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2008年03月
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山奥のクラシックなホテルで毎年のごとく催される老婦人三姉妹の主催によるパーティ。そのパーティに集まった関係者の間で次々に起きる事件を描く長篇ミステリ。 閉ざされた場所、閉じられた時間の中で起きる出来事。6つの章において、語り手は順繰りに交替していきます。この辺りは恩田作品の特徴と言える部分でしょう。 ではそれがミステリとして興味をそそるものか、面白いものかというと、それは別物。持って回った書きぶりにうんざりしたというのが、私の率直な感想です。 第1章から第5章まで、同じ場所、同じ人々の中で起きる事件が描かれますが、各章の展開に少しずつ食い違いがあります。それは何故なのか。そこに本作品の仕掛けがあります。 |
●「酩酊混乱紀行 「恐怖の報酬」日記 イギリス・アイルランド」● ★★ |
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2008年05月
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念願のイギリス&アイルランド行き。 怖い飛行機の中に長時間閉じ込められる恐怖に震えつつ、旅行に持っていく本を選ぶ辺り、旅行中もいろいろな小説に話題が飛ぶ辺り、その関わりが楽しい。(※私としてはA・ヘイリー「大空港」などお薦めしたかったです) ※なお「恐怖の報酬」とはサスペンス映画(1952年)の題名。恐怖のお陰でこんな日記を書いている、という程度の意味とか。 |
●「小説以外」● ★☆ |
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2008年06月
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恩田さんがあちこちに書き散らした(失礼)文庫解説・エッセイ等々、小説作品以外の文章を集めた本。 エッセイという程まとまっていない、僅か1頁程の文章も多いですから雑然とした印象を受けますが、その分かえって作家・恩田陸の実像に触れることができる、というところが本書の魅力です。
恩田作品の誕生経緯などの話も度々出てきますから楽しめますし、恩田ファンとしては是非読んでおきたい一冊です。 |
●「蒲公英(たんぽぽ)草紙 常野物語」● ★☆ |
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2008年05月
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「光の帝国−常野物語−」に続く常野物語の長篇作。ついに出たか!というのが第一の思いです。 恩田さんデビューまもなくの頃から読んでいたファンにとって「光の帝国」は一番のお薦め作でした。超能力をもちながら「常に野にいる」という信条を守って慎ましやかに連綿と続いてきた一族。そうした常野一族の創造も魅力的でしたが、それに勝る魅力は、長篇ネタを惜しまず短篇に使ってしまった結果としての短篇集だった、ということに尽きます。 その後「光の帝国」の各篇が長篇として書き継がれることもなく、すっかり諦めていました。それが突然長篇新作として刊行されたのですから、興奮するなという方が無理というもの。 しかし、「光の帝国」では各篇に凝縮された面白さがありましたが、こうして長篇になってしまうと逆に散漫な印象を受けます。どこへ向かってストーリィが展開していくのか、はっきりしないまま4分の3位まで進んでしまいます。その点は率直に言って物足りない。 本書の主人公は、東北の一地方に住む少女・峰子。彼女の回想としてストーリィは展開します。 物足りないという印象でしたが、最後に至れば常野一族の真価が発揮され、やはり感動させられます。 窓辺の記憶/お屋敷の人々/赤い凧/蔵の中から/「天聴会」の夜/夏の約束/運命 |
●「エンド・ゲーム 常野物語」● ★☆ |
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2009年05月
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「光の帝国−常野物語−」でとくに気になっていた「オセロ・ゲーム」の続きを描いた長篇小説。 暎子が会社の慰安旅行にいった先で意識不明の状態で倒れているところを発見され、時子に急報が届きます。意識不明といっても外傷も脳内部への損傷もなく、深い眠りに入っているような状況とのこと。 それなら本作品はつまらないのかと言えば、決してそうではありません。なにしろ、気になっていた短篇ストーリィの本格的解決編といえる長篇ストーリィなのですから。 |
●「チョコレートコスモス」● ★★☆ |
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2011年06月
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これはすこぶる面白かった一冊! 読み応えも充分で最初から最後の最後まで存分に堪能しました。 まずは、作品が書けないと悩む脚本家、若手の人気女優、劇団を立ち上げた学生たちと、演劇に関わる様々な人物が登場します。そして彼らたちが知って驚愕することになるのは、小柄でまるで目立たない少女・佐々木飛鳥(少女といっても大学1年生)。 そう紹介してしまうと何やらマニアックなストーリィのように聞こえそうですが、とにかく面白いのです。最初からすぐ惹き込まれ、ストーリィ進行に連れ他の登場人物と同様に、どんどん圧倒され続ける、という面白さ、読み応え。 芝居や演技に興味ある人なら、面白いこと間違いありません。 |
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