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1.ねむりねずみ 5.ふたつめの月 6.サクリファイス −"サクリファイス"シリーズNo.1− 7.タルト・タタンの夢−"ビストロ・パ・マル"シリーズNo.1− 8.ヴァン・ショーをあなたに−"ビストロ・パ・マル"シリーズNo.2− 9.エデン−"サクリファイス"シリーズNo.2− 10.シティ・マラソンズ |
サヴァイヴ、キアズマ、スティグマータ、マカロンはマカロン、ときどき旅に出るカフェ、インフルエンス、震える教室、みかんとひよどり、歌舞伎座の怪紳士、たまごの旅人 |
おはようおかえり、シャルロットのアルバイト、それでも旅に出るカフェ、ホテル・カイザリン、間の悪いスフレ、山の上の家事学校、風待荘へようこそ |
●「ねむりねずみ」● ★☆ |
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2000年11月
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近藤史恵さんの第2作にして、歌舞伎を題材にしたミステリ。 ひとつは、梨園の御曹司にして今売り出し中の若手女形・中村銀弥(深見屋)が、突然物忘れが酷くなるばかりか声まで出なくなってしまうというストーリィ。こちらの主人公は、銀弥の若妻である一子。 本作品は、次のような魅力的な要素を備えています。 なお、女形であるからには男性なのですが、その話し方からついつい女性のように感じさせられてしまう小菊の存在、「自分だけそんな面白そうなことをして」と小菊を非難する師匠・瀬川菊花のひと言は、ストーリィを別にして愉快です。 |
●「天使はモップを持って」● ★★ |
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2006年06月
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日常ミステリ、それもオフィス版といった短篇集。 このキリコ(本名:嶺川桐子)、彼女が清掃を請け負っている会社のおじさん族だけでなく、女子社員からも人気がある。 キリコが解いていく謎は、紛失した重要書類の謎、保険外交員の事故死、マルチ商法、摂食障害、セクハラ疑惑、切り裂かれたぬいぐるみ、悪質なトイレ汚し。 ※なお、題名の「天使」とはキリコのことではなく、「掃除をしよう」という気持ちのことなのだそうです。 オペレータールームの怪/ピクルスが見ていた/心のしまい場所/ダイエット狂想曲/ロッカールームのひよこ/桃色のパンダ/シンデレラ/史上最悪のヒーロー |
●「モップの精は深夜に現れる」● ★☆ |
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2011年05月
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前作に比べて楽しさが減った感じです。 各章毎、キリコが清掃する先の会社も変わり、各会社でトラブルの矢面に立った人物が各章での主人公となって第一人称で語るという構成になっています。 ※なお、続編の表題は、結婚のため天使からランクダウンし、今のキリコは“モップの精”辺りだろうということらしいです。 悪い芽/鍵のない扉/オーバー・ザ・レインボウ/きみに会いたいと思うこと |
●「賢者はベンチで思索する」● ★☆ |
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2008年06月
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ファミレス・ロンドでバイトをしている七瀬久里子21歳と、いつもその店に来てはコーヒー1杯で4時間程粘っていく老人とのコンビで描く、日常ミステリ。 率直にいって、3つの事件とも新しさはあまりない。真相は割と容易に察せられます。 ファミレスの老人は公園で賢者になる/ありがたくない神様/その人の背負ったもの |
●「ふたつめの月」● ★ |
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2010年05月
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契約社員からやっと正社員になれて喜んだのも束の間、七瀬久里子は突然クビを言い渡されます。しかし、後日その頃の同僚に出会って聞かされたところ、久里子が突然辞めたことになっているという。何があったのか。 クビと辞職という食い違いの謎、小園明日香という18歳の女の子が「殺しちゃうかも」と告げたことの謎、轢き逃げ事件の謎と、一応ミステリですけれど、前作以上に久里子の青春ストーリィという印象を強くします。 若い女性主人公の抱える仕事の悩み+恋の悩みという青春ストーリィの中に、ミステリが入り込んだという観のある一冊。このシリーズ、まだまだ続くのでしょうか。 たったひとつの後悔/パレードがやってくる/ふたつめの月 |
●「サクリファイス Sacrifice」● ★★☆ 大藪春彦賞 |
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2010年02月
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自転車ロードレースを舞台にしたストーリィ。 主人公の白石誓はチームの中でまだ新人。ロードレースはチーム競技というものらしく、誓はまだ先輩たちの指示に従いながら大会に参加するというレベルです。 しかし、作者がミステリ作家の近藤史恵さんであるからには、ただの青春スポーツ小説で終わることはありません。そこにミステリ、サスペンスが入り込んできます。 |
●「タルト・タタンの夢 Un reve de Tarte Tatin」● ★☆ |
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2014年04月
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カウンター7席、テーブル5つという下町の小さなフランス料理店“ビストロ・パ・マル(悪くないの意)”。 そんなビストロ・パ・マルを舞台に、お客が持ち込む料理に関わる謎を、無口なシェフ・三舟が鮮やかに解き明かしてみせるという、日常ミステリ連作短篇集。 ・常連の西田氏は何故婚約者の料理を食べて体調を崩したのか? ※井上尚登「厨房ガール」は読書の秋+食欲の秋にちょうど良い連作短篇ミステリと評しましたが、本書は深まりゆく秋、深まりゆく食欲に格好の連作短篇ミステリと評したい。 タルト・タタンの夢/ロニョン・ド・ヴォーの決意/ガレット・デ・ロワの秘密/オッソ・イラティをめぐる不和/理不尽な酔っぱらい/ぬけがらのカスレ/割り切れないチョコレート |
●「ヴァン・ショーをあなたに Vin chaud pour vous」● ★ |
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2015年02月
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美味しい料理+日常ミステリ、“ビストロ・パ・マル”シリーズ、第2弾。 美味しい料理の解説+薀蓄を楽しみつつ、ちょっとしたミステリ小話も楽しめるという、軽く読めて楽しい気持ちになれる軽快な一冊。 ・スキレット(鉄のフライパン)が田上家では何故錆びるのか? 少ない客席の小さなフレンチ・レストラン、シェフは心の篭った料理を作り、それを息の合ったメンバーがサービスしてくれる。 錆びないスキレット/憂さばらしのピストゥ/ブーランジュリーのメロンパン/マドモワゼル・ブイヤベースにご用心/氷姫/天空の泉/ヴァン・ショーをあなたに |
●「エデン EDEN」● ★★☆ |
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2013年01月
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自転車ロードレースの爽快な魅力にミステリを加えた面白さで読み手を魅了した「サクリファイス」の続編。 本書での誓は、スペインのプロチームからフランスのプロチームに移ってまだ半年ばかり。 この続編にも勿論ミステリ要素はありますが、それは付け足しのようなもの。 ツール・ド・フランス(Le
Tour de France)は、毎年7月にフランスおよびその周辺国を舞台に行われる、23日間に亘るプロの自転車ロードレース。 |
●「シティ・マラソンズ City Marathons」● ★☆ |
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2013年03月
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3人の女性作家による、NY・東京・パリという3都市のシティマラソン・ストーリィ。 まずは、三浦しをんさんの「純白のライン」。 それと対照的にあさのあつこさんの「フィニッシュ・ゲートから」は、人生ドラマ含み。しかし、「純白のライン」で単純な楽しさを味わった後となると、ドラマを作り過ぎ、という印象です。 近藤史恵さんの「金色の風」は、冒頭にミステリ風味あり。こちらも人生ドラマ風ですが、若い女性が主人公であるだけに瑞々しさがあります。パリを舞台にしての再スタート・ストーリィ。 いずれにせよ、女性作家3人各々の持ち味を生かした、シティマラソン・ストーリィ。主人公たちと一緒になって走り出す気持ちで楽しめます。 |
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