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3.用心棒日月抄 5.橋ものがたり 7.隠し剣孤影抄 8.隠し剣秋風抄 9.密謀 10.よろずや平四郎活人剣 |
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日暮れ竹河岸、 漆の実のみのる国、早春、静かな木、藤沢周平未刊行初期短篇、海坂藩大全(上)、海坂藩大全(下)、帰省、乳のごとき故郷 |
●「暗殺の年輪」● ★★ |
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1973年 1978年02月
1997/08/21 |
初期の頃の作品だと言うのに、その後とまるでかわらない確かなストーリイ運びに感じ入ってしまいました。正直に言って、初期の作品と言われなければ、おそらく気がつきもしなかったでしょう。短篇の中に、いろいろな人生のやり過ごし方、男女の仲、嫁舅の関係、生きること或いは武芸に死をかけることの厳しさ、等の複雑な要素を織り込みながらも、作品全体としてのバランスを少しも崩さない。文章はきちっとしていて、少しの揺るぎもありません。藤沢作品の凄さが、その初期の頃から既に整っていることに、何より驚きました。違いといえば、作品全体を覆う暗さ、このことでしょう。 黒い縄/暗殺の年輪/ただ一撃 |
●「刺客−用心棒日月抄−」● ★★★ |
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1987年
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時代小説というとつい、=娯楽小説と思いがちですが、本書は思いの外、味わいの深い作品でした。
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●「用心棒日月抄」● ★★★ |
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1978年08月 1984年05月 文芸春秋 1987/04/15 |
「用心棒日月抄」→「孤剣」→「刺客」→「凶刃」と続く、連作短篇もの四部作の第一作。 この四部作は、勿論藤沢さんの代表作と言えますが、藤沢作品の中で最も私が好きな作品でもあります。しかし、それを何と言うべきか、私は「刺客」→「孤剣」→「用心棒日月抄」と逆に辿って読んでしまったとは! |
●「消えた女−彫師伊之助捕物覚え−」● ★★☆ |
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1979年12月 1983年09月
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“彫師伊之助捕物覚え”シリーズは、第2作「漆黒の霧の中で」→第3作「ささやく河」と読んで、結局第1作「消えた女」を読むのが最後となってしまいました。
第1作と第2・3作とを比べると、この第1作において強く印象を受けることが幾つかあります。 |
●「橋ものがたり」● ★★★ |
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1980年 1983年 文芸春秋 1993/05/16 |
藤沢さんを代表する市井もの短篇集。同様の市井ものには「本所しぐれ町物語」がありますが、私としてはこの短篇集の方がはるかに心に残っています。 いずれも、橋を舞台にした男女の恋物語なのですが、溢れんばかりの情感に、息も詰まるばかりでした。 本書の中で特に好きなのは、「約束」「思い違い」「川霧」の3作。3作とも最後の場面が素晴らしく、映画にしたら永遠の名場面になりそうな感動+情景の美しさがあります。 約束/小ぬか雨/思い違い/赤い夕日/小さな橋で/氷雨降る/殺すな/まぼろしの橋/吹く風は秋/川霧 |
●「春秋の檻−獄医立花登手控え−」● ★★☆ |
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1982年 文芸春秋 2017年03月
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「春秋の檻」→「風雪の檻」→「愛憎の檻」→「人間の檻」と続く、江戸時代を舞台に、アルバイトに獄医を勤める青年・立花登を主人公とした連作捕物短篇集。 伝馬町の牢が中心舞台となるだけに、暗く、地味な印象があります。また、主人公自身、明るい性格設定ではありませんし、最初第一巻を読んだ時には、余り面白いとも思いませんでした。しかし、読み進んでいくうちに、次第に本シリーズの魅力が判ってきて、今では江戸時代版青春小説として、私の好きな作品のひとつになっています。 このシリーズの魅力のひとつは、主人公立花登と、彼の居候している叔父である医者小牧玄庵、その妻、娘・ちえとの関係にあります。 登の居候という身分は、やはり自由な立場です。したがって、本来獄医が立ち入るべきではない捕物の世界へ、自ら入り込んでいきます。柔術起倒流の高弟であるという設定が、それを可能ならしめている訳です。 ※なお、この立花登が、山本周五郎「赤ひげ診療譚」の保本登を意識して書かれているのは、周知の事実。私としては、やはり立花登の方に魅力を感じます。 |
●「隠し剣
孤影抄」● ★★ |
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1983年 文芸春秋 1993/05/16 |
藤沢さん流の“秘剣”もの短篇集。
“隠し剣”と言う以上、斬り合いという設定があって初めてストーリィとして完結するものです。したがって、ストーリィが生々しく、陰湿なものとならざるを得ないのです。 その中でも好きなのは2篇。「臆病剣松風」「女人剣さざ波」。隠し剣以上に、夫婦愛がストーリィの中心となっている点が、他にはないほのぼのとした気分を感じさせてくれます。 邪剣竜尾返し/臆病剣松風/暗殺剣虎ノ眼 /必死剣鳥刺し/隠し剣鬼ノ爪/女人剣さざ波/悲運剣芦刈り/宿命剣鬼走り |
※ 映画化 → 「必死剣 鳥刺し」
●「隠し剣
秋風抄」● ★☆ |
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1984年 1993/05/22 |
「隠し剣孤影抄」に続く“隠し剣”
もの第2作集。 その中で、心に染み入るような思いの残った作品が一篇あります。それは「盲目剣谺返し」。 酒乱剣石割り/汚名剣双燕/女難剣雷切り/陽狂剣かげろう/偏屈剣蟇ノ舌/好色剣流水/暗黒剣千鳥/孤立剣残月/盲目剣谺返し |
●「密 謀」● ★★ |
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1985年09月 文芸春秋 1997/05/22 |
藤沢作品においては珍しい、戦国もの作品。 |
●「よろずや平四郎活人剣」● ★★ |
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文春文庫 文芸春秋
1997/06/10 |
本作品を読むのは、これが3度目になります。最初は「用心棒日月抄」に比べて面白くないと思ったのですが、後になるほど懐かしさを覚えるようになりました。主人公平四郎のやんちゃ坊主的なところに惹かれるのかもしれません。「獄医立花登」についても、同様に、
後から面白さがわかるようになりました。 |