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1.空の中 2.海の底 3.図書館戦争 4.図書館内乱 5.レインツリーの国 6.クジラの彼 7.図書館危機 8.塩の街 9.図書館革命 10.阪急電車 |
別冊図書館戦争1、ラブコメ今昔、別冊図書館戦争2、三匹のおっさん、植物図鑑、フリーター家を買う。、シアター!、キケン、ストーリー・セラー、シアター!2 |
県庁おもてなし課、もう一つのシアター!、ヒア・カムズ・ザ・サン、三匹のおっさんふたたび、空飛ぶ広報室、旅猫リポート、コロボックル絵物語、明日の子供たち、キャロリング、だれもが知ってる小さな国 |
倒れるときは前のめり、アンマーとぼくら、イマジン?、みとりねこ、物語の種 |
●「空の中」● ★★ |
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2008年06月
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日本が開発した次世代輸送機スワローテイルがテスト飛行中に、そしてまた自衛隊のF15イーグルが高度2万メートルの上空で突如爆破事故を起こす。 原因は何だったのか。その原因を確かめるため、女性パイロットの武田光稀三尉はスワローテイル設計担当の一人である春名高巳を同乗させ、再び高度2万メートルの上空に向かいます。 そこで2人が遭遇したものは、太古から存在したという数十キロ四方におよぶという巨大な楕円形をした生命体。 人間に対して攻撃意思をもたいないその巨大な生命体に対し、日本政府は愚かにも攻撃をしかけたことから、本書の主人公たちは思わぬ事態に巻き込まれる、というストーリィ。 それだけを取り挙げるなら「ウルトラQ」的な冒険ストーリィ(古い例えでごめんなさい)というに尽きるのですが、本書はそれにかなり型破りな恋愛ストーリィ+幼馴染の少年少女による青春ストーリィを抱き合わせ、思いっきり掻き混ぜたようなストーリィ。 三者三様に進んできたストーリィが最後に重なり合い、高巳たちによる爽快な逆転劇に繋がるところは圧巻です。 |
●「海の底」● ★★☆ |
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2009年04月
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横須賀に街に突如上陸してきた巨大な甲殻類の群れ。 その甲殻類=レガリスらは人間を恰好な餌として集まってきたのか。逃げ遅れた人間はレガリスの餌食となり、警察の機動隊も歯が立たない。 そんな中、助けた子供たちと共に海上自衛隊の2人の実習幹部生が潜水艦「きりしお」に閉じ込められる。 街は? そして艦内の15人は如何に救助されるのか? というSF的パニック・ストーリィ。 とまあ、ジャンルだけを言えばそういうことになるのですが、本書の面白さは実はそこにあるのではありません。 ゴジラ襲来並みのパニックに、苦境に追い込まれた初めて生じた少年間の葛藤、奮闘する海自官2人の青春&恋模様、ついに自衛隊出動という戦闘シーンの痛快さ(僅かですが)、これだけエンターテイメント要素が詰まっていれば、面白くない訳がありません。しかも、どの登場人物をとっても個性的で、かつ生き生きしている。 ※なお、表題は「海の底から来た奴ら」という意味とのこと。 |
●「図書館戦争」● ★★☆ |
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2011年04月
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な、何なんだ、この小説は?!、とたまげてしまうのが本書「図書館戦争」。 冒頭主人公が故郷の母親に宛てた手紙には「念願の図書館に採用されて、私は今――毎日軍事訓練に励んでいます」とあるのですから、度肝を抜かれます。 昭和最終年度に公布された「メディア良化法」。公序良俗を維持するために検閲を強化するというのは正論に聞こえますが、執行機関に裁量権が委ねられた結果「メディア良化委員会」が書店に対して恣意的に取り締まり権限を行使するという、30年後の正化年代が本ストーリィの舞台。 メディア良化法の検閲権に唯一対抗できる法律が「図書館の自由法」。良化特務機関の示威行動がエスカレートした結果として公立図書館と武力衝突するまでに及び、ついに図書館側も防衛力を備えて図書基地、図書隊(警備隊)を持つに至ったというのが本ストーリィの舞台背景。
主人公となる笠原郁22歳は、元陸上部という体育系。でも子供の頃からの本好きという、図書防衛員志望の新人一等図書士。 1.図書館は資料収集の自由を有する/2.図書館は資料提供の自由を有する/3.図書館は利用者の秘密を守る/4.図書館はすべての不当な検閲に反対する/図書館の自由が侵される時、我々は団結して、あくまで自由を守る |
※映画化 → 「図書館戦争」
●「図書館内乱」● ★★ |
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2011年04月
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「図書館戦争」の続編。 主人公の笠原郁を初めとする、あの愉快で個性的なキャラクターたちに再会出来るのは、この上なく嬉しいこと。 でも、読んでの面白さという点では、「図書館戦争」には遠く及ばない。なんたって、あの奇想天外な舞台設定はもう既に知ってしまっているし、主要なキャラクターはもう顔馴染みであるし、それはもう続編である故の宿命として仕方ないことでしょう。 それに、前作および本作の大いなる読み処である郁と直属上司・堂上二等図書正とのやりとり、正編のような先鋭的な対立は影をひそめ、お互いに底では信頼し合っているという雰囲気が漂っています。2人には申し訳ないけれど、ファンとしてはやや物足りなさを感じてしまう(笑)。 ストーリィとしては、前作に引き続き図書隊とメディア良化委員会の対立が底流にありますが、長編というより主要キャラ一人一人の抱えている問題を描く連作短篇風。 最後は「・・・・To
be continued.」となり、本作品のシリーズ化が決定しているとのこと。 1.両親攪乱作戦/2.恋の障害/3.美女の微笑み/4.兄と弟/5.図書館の明日はどっちだ |
●「レインツリーの国」● ★★ |
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2009年07月 2015年09月
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「図書館内乱」から生まれでた、難聴者を主人公とするラブ・ストーリィ。 関西から上京して入社3年目の向坂伸行は、ネットの中で好きな小説への思いが重なり合う相手、ひとみという若い女性と出会います。メールでのやり取りを何回も経て伸はひとみをデートに誘いますが、何故かひとみは消極的。そこを無理に押し込むようにしてデートに漕ぎ付けますが、話がぴったり合う筈のひとみと何故かギクシャクしてしまう。 会話のテンポの良さ、仲直りするためにしっかりケンカしよう、そんな思い切った2人の言い合いが本ラブ・ストーリィの魅力です。 |
●「クジラの彼」● ★★ |
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2010年06月
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「レインツリーの国」に続くラブ・ストーリィ。 6篇のいずれも面白いのですが、やはり冬原(ただし脇役)を恋愛の相手とした聡子が苦悶を重ねる「クジラの彼」が抜群に面白い。・・と思っていたら、それを上回ってすこぶる面白いのが、夏木と森生望の登場する「有能な彼女」。 なお、最後を飾る「ファイターパイロットの君」は、「空の中」に登場した女性パイロットの光稀とメーカー勤務の春名高巳というカップルのその後を描いた番外編。「空の中」はこれから読むところだったのがちと残念。 クジラの彼/ロールアウト/国防レンアイ/有能な彼女/脱柵エレジー/ファイターパイロットの君/あとがき |
●「図書館危機」● ★☆ |
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2011年05月
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“図書館戦争”シリーズ第3弾! 「王子様、卒業」は痴漢撃退話。郁が柴崎麻子と共に囮役を務めることで、郁も女性の恰好をすれば結構上等の部類であることが読者に紹介されます。 そして「図書館戦争」らしい面白さを満喫できるのは、茨城県立近代美術館+図書館における良化特務機関との激烈な攻防までを描いた最後の2篇「里帰り、勃発」と「図書館は誰がために」。 単独の小説としては前2巻より面白さ劣るものの、シリーズにあって次の作品への架け橋になるという点で欠かせない巻。 1.王子様、卒業/2.昇任試験、来たる/3.ねじれたコトバ/4.里帰り、勃発−茨城県展警備−/5.図書館は誰がために−稲嶺、勇退− |
※映画化 → 「図書館戦争 THE LAST MISSION」
●「塩の街」● ★☆ |
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2010年01月
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電撃文庫から出版した「塩の街」は、編集担当者の意向で主人公の年齢設定等を応募原稿からいろいろと修正しているそうです。 後半は、秋庭と入江の活躍で塩害による壊滅の危機が回避された後の後日談等「塩の街、その後」4篇を収録。 塩の街/塩の街、その後(旅のはじまり/世界が変わる前と後/浅き夢みし/旅の終わり) |
●「図書館革命」● ★☆ |
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2011年06月
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“図書館戦争”シリーズ第4弾にて最終巻。 敦賀原子力発電所にヘリが2機突っ込むというテロが発生。その事件が当麻蔵人の小説そっくりだということをダシに、メディア良化委員会が一時的に作家および作品を規制することができるという施行令を成立させてしまう。 上記主ストーリィの傍ら、冒頭で郁と堂上の初デートから始まる2人の関係が今後どうなるのか、という点がやはり本巻での興味どころ。 魅力ある登場人物たちについてとりあえずの決着がつけられる、という点では嬉しい最終巻。 プロローグ/1.その始まり/2.急転を駆けろ/3.奇貨を取れ/4.嵐を衝いて/5.その幕切れ/エピローグ |
●「阪急電車」● ★★ |
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2010年08月
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関西の私鉄ローカル線、阪急今津線。宝塚から西宮北口まで僅か20分という短いその路線の中で演じられる、乗客たちの数々のストーリィを描いた連作短篇集。 何といっても舞台設定の妙に加えて、ストーリィの小気味良さ、会話の面白さが魅力。 冒頭の恋の始まり話には、図書館絡みという点からして惹かれます。それに続く美人OL翔子の、元カレ結婚式への討ち入り話はとても痛快。 長篇のみならず、短篇でもたっぷり楽しませてくれます。有川浩さん、これからも期待大です。 宝塚駅/宝塚南口駅/逆瀬川駅/小林駅/仁川駅/甲東園駅/門戸厄神駅/西宮北口駅 |
※映画化 → 「阪急電車」
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