カレン・ジョイ・ファウラー作品のページ


Karen Joy Fowler 1950年米国インディアナ州ブルーミントン生。カリフォルニア大学バークレー校卒。30歳で作家になろうと決意。

 


 

●「ジェイン・オースティンの読書会」● 
 原題:"The Jane Austen Book Club"     訳:矢倉尚子



 
2006年2月
白水社刊
(2400円+税)

2013年11月
ちくま文庫化

 

2006/02/19

 

amazon.co.jp

「オースティンの小説を読む6人の男女が織りなす悲喜こもごもの人間模様」「ユーモアと皮肉に満ちた全米ベストセラーの傑作長編」と帯文句で紹介されれば、ジェイン・オースティンのファンなら期待してしまうのが当然でしょう。
それなのに、結果としては期待外れ。楽しめませんでした。

ストーリィは3月から8月まで各月を1章とし、オースティンの各作品を冠して進められていきます。
ファンとしては、オースティン各作品に対する登場人物の個性的な意見が開陳され、各作品に関わるようなストーリィが展開されるだろうと楽しみにするのですが、その点が満たされない。むしろ、いったい何の物語なのだろうと首をかしげてしまう。
ひととおり読み終えた後に振り返ってみれば、各章毎にオースティンの各作品が投影されているようには感じるのですが、読んでいる途中はそう簡単なものではない。
オースティンの作品はいずれも当時の日常生活を描いたもの。その意味では本作品も、メンバー6人各々の日常生活を描いたという点では共通しているのです。でも、肝心のその日常生活がつまらない。
男性交際の失敗によるトラウマ、学校での性紊乱、レズビアン、マザコン、突然の離婚話。いかにもアメリカらしい話題なのですが、現代アメリカの病的側面はもういい加減うんざりなのです。

なお、巻末に「読者のためのガイド」として、ファウラーによるオースティン6作品の概要解説、オースティン知人による作品寸評、2世紀に亘る作家・愛好家による称賛および批判評が掲載されており、この部分は結構楽しめます。

3月「エマ」/4月「分別と多感」/5月「マンスフィールド・パーク」/6月「ノーサンガー・アビー」/7月「自負と偏見」/8月「説得」/エピローグ/※読者のためのガイド

※映画化 → 「ジェイン・オースティンの読書会

  


 

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