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北海道西胆振の温泉 byやませみ


【登別市の温泉】

 

■登別温泉「登別パラダイス」

  登別市登別温泉町89 TEL/0143-84-2181  10-15時 900円 H15.9.29で閉館

昭和12年開業の「登別温泉大浴場」を受け継ぐ登別パラダイスがついに閉館となる。バイパス工事のため年内には更地にされるそうだ。公共の「ときわ荘」と「青嵐荘」も整理閉館になったので、登別は大型ホテルの寡占状況が進行しつつある。あまり良い方向になっているとは思われない。

温泉のデパートと喧伝される浴場は地下にあり、自動車工場みたいな細長いだだっぴろい空間。源泉の直上にあるせいか蒸し暑く、タイル床がところどころ高温になっていてアチチ状態。平日の昼時なのでほかに客もなくただ一人。

照明も最低限に落とされた薄暗いなか、地獄めぐりのようにあっちこっちと浸かりまくるのは現実離れしたような不思議な体験。

浴槽は大小12個あり、それぞれに泉質表示されている。パンフには7種あるが実際は4種であった。浴槽の形態はどれも似たようなもんなので、泉質の違いを楽しめなければ飽きてしまうだろう。大部分は加水されて薄目になっているが、奥のほう(打たせ湯側)にある数槽は無加水らしく濃い熱い湯が楽しめた。

・塩化物泉 (たぶん登別3号泉)
  無色に澄んだ湯。渋い苦みをともなう中塩味で酸味はない。とろりとした濃度を感じる浴感。
・みょうばん泉 (たぶん登別24号泉)
  青みがかった中白濁(30cm)。渋みのあるレモン様の酸味。きりりとした緊張ある浴感。
・硫黄泉 (たぶん登別1号乙泉)
  ささ濁りの湯。弱い酸味と焦げイオウ臭。とくに浴感ない薄い湯。
・鉄泉 (たぶん登別29号泉)
  微塩味、少金気。硫黄泉が流入しているので特徴がよくわからない。

上層の建物を全部とっぱらって、露天温泉で解放したらすごい人気スポットになってただろうな〜。(2003.9.18)

<掲示> 脱衣所に分析表 すべてS63.2.12分析
 登別1号乙
  酸性-S-(Na)-SO4 65.8℃ pH・湧出量記なし
   総計=0.989 g/kg
   H=4.0(38.7) Na=51.3(21.7) Mg=5.7 Ca=26.9
   Al=12.5 Fe(II)=9.6 Fe(III)=3.4 など
   Cl=73.7(20.1) HSO4=49.8 SO4=371.4(74.6) S2O3=1.6 など
   H2SiO3=316.3 HBO2=24.7 CO2=10.4 H2S=5.9 mg/kg (mval%)
 登別3号
  Na・Ca-CI 83.0℃ pH・湧出量記なし
   総計=13.12 g/kg
   Na=3359(71.0) K=322.3 Ca=1013(24.6) など
   Cl=7241(98.9) SO4=58.6 HCO3=52.7 Br=9.9 I=4.6 S2O3=0.2 など
   H2SiO3=368.5 HBO2=629.6 CO2=34.3 H2S=0.1 HAsO2=11.4 mg/kg (mval%)
 登別24号
  酸性-Fe-Na・Ca-CI・SO4 98.2℃ pH・湧出量記なし
   総計=7.238 g/kg
   H=5.0 Na=1597(64.1) K=144.5 Mg=24.5 Ca=507.4(23.4)
   Al=11.3 Fe(II)=27.1 Fe(III)=7.2 など
   Cl=3410(88.4) HSO4=93.6 SO4=554.7 Br=4.9 I=2.2 S2O3=0.6 など
   H2SiO3=517.6 HBO2=292.1 H2SO4=1.2 HAsO2=4.5
   CO2=26.4 H2S=0.4 mg/kg (mval%)
 登別29号
  Na・Ca-CI 81.7℃ pH・湧出量記なし
   総計=9.432 g/kg
   Na=2416(71.2) K=208 Mg=13.1 Ca=719.9(24.3) Fe(II)=1.5
   Cl=5165(98.4) SO4=108.2 Br=7.3 I=3.2 S2O3=0.5 など
   H2SiO3=346.5 HBO2=345.6 HAsO2=9.0 CO2=32.7 H2S=0.6 mg/kg (mval%)



■登別温泉「滝乃家」

  登別市登別温泉町162 TEL/0143-84-2222 12-16時 1000円
  http://www.takinoya.co.jp/

<掲示1> 脱衣所に古い分析表 ラジウム泉の分析らしいが不確か
  登別温泉町100-2 S33.10.2
  単純硫化水素泉(Na・Ca−Cl・SO4・HCO3) 49℃ pH=6.7
   総計=959.9 H2S=8.7
<掲示2> 脱衣所に源泉の簡単な説明がある
  硫黄泉(地獄谷) 食塩泉(玉の湯) ラジウム泉(うまの湯)
  *) 女将さんによれば後2種は会社供給とは別の自家源泉。

客室数61の登別では中型に属する宿。見た目はかなり高級そうでちょっとひるむが、立ち寄りも気安く受け入れている。従業員の対応がとてもきびきびしていて好感。立ち寄り料金は高いが、ここは露天風呂があるので人気あるようだ。学生風の若いお客さんが目立った。

宿の規模にしては小振りかなと思える内湯はタイル貼り、とくに趣はないが明るくて清潔。源泉を3種使用しており、それぞれ泉質表示された浴槽が3個並んでいる。すべて掛け流し。

硫黄泉(地獄谷)は3x3m浴槽に48℃の20 L/min投入で熱め43℃。中灰色濁で弱酸味。イオウ臭は弱くあまり特徴はない。

食塩泉(玉の湯)は6x3mに湯口から43℃の30 L/min投入でぬるめ40℃。無色透明な湯は渋苦みの弱塩味、少しキシキシ感のある塩化土類泉で、パラダイスの登別3号と同系とみた。

ラジウム泉(うまの湯)は3x3mに48℃の30 L/min投入で熱め42℃。別名が五色の湯といわれる色変化のみられる源泉だそうで、この時は青白濁(10cm)の湯色がとても美しく、トルコ石を溶かして流し込んだような光景であった。少し渋苦い明礬味でさらさらした浴感。タマゴ風味の焦げイオウ臭が明瞭。

露天は山際にあるのでちょっと秘湯の趣。コンクリに石組み8x3mの浅め。端っこの槽内に48℃の注入だがすぐそばに排水溝があり、周辺は38℃くらいのぬる湯になっている。内湯と同じラジウム泉ながら、鮮度がだいぶ落ちているので灰色っぽい濁り(10cm)でイオウ臭も微弱。(2003.9.18)




■登別大湯沼の湯川(野湯)

大湯沼は最深25mの底からCO2とH2Sを含む132℃の高温食塩泉が湧出し、周辺から流入する沢水を加温して250x100mほどの大型の湯溜まりを形成している。2000〜3000L/minが湯川に流出していくが、温度がやや低いのでこれまで引湯利用はされていなかった(夏季49℃・冬季35℃)。

現在は登別市が大湯沼の高温部からの採取試験を実施中で、夏季61℃・冬季47℃の温泉を湯川の少し下流に放流している。このため湯川は熱湯の大量に流れるまさしく湯の川になっており、遊歩道もついているので適温の場所をさがして野湯三昧を楽しめる好スポットとなっている。

車道から遊歩道を下って100mほど入ると径10mほどの小型の湯釜「大正地獄」がある。ここは登別でも最高濃度の温泉が噴出しており、地下の本源的な熱水がそのまま出ているものとされている。湧出量の変化が大きく、ときには湯川に溢れることもあるらしいが、この日は喫水より2mほど下に青緑色でとろりと濁った湯がぐらぐら煮えているだけだった。

さて、大正地獄までは立派な木道なので観光客も訪れるが、そこから下流は細道になって滅多に人は来なくなる。ところどころ小滝がかかって湯坪が次々に現れてくるので、好きな湯温の場所をみつけて漬かるだけ。なんと楽ちんな野湯であろうか。湯坪の底には鉱泥もたくさん沈殿しており、泥湯も楽しめる。大湯沼の引湯事業が開始されればこの野湯天国もやがてなくなってしまうのだろう。(2003.9.18)




■新登別温泉「旅館いわた」

  登別市新登別温泉 TEL/0143-84-2615 無休 9-19時 500円
  http://www.big-hokkaido.com/iwata/

 <掲示> 脱衣所に分析表
  奥の湯 H6.8.9
  単純硫黄泉(Na-Cl型) 80.5℃ pH=4.9 1500L/min・自然湧出
  総計=558mg/kg
  Na=91.4(76.4) K=14.7 Ca=13.2 など
  Cl=154.6(83.2) SO4=35.6 HCO3=4.3 S2O3=2.7 など
  H2SiO3=103.5 HBO2=48.3 CO2=75.7 H2S=10.2 mg/kg (mval%)

登別温泉街の西山の高台が広い平坦地になっており、そこへ大湯沼奥の湯を2kmほど引湯して温泉分譲地がつくられている。市の主導による計画ですがあまり成功しているとはいえず、原野のところどころに数軒の民宿や別荘が散在する茫漠とした風景。そのぶんとても静かなので、登別温泉街の喧噪を避けて安く泊まりたい人はぜひど−ぞ。

「旅館いわた」は道道から少し入ったところにある意外に大きな宿で、小洒落たペンションと落ちついた旅館の両方の要素をもつ面白い雰囲気。館内はまだ新しくてきれいで、料理もずいぶん本格的なものでした。子供用のおもちゃもたくさん置いてあって、ファミリー向けにもよさそうです。

浴場は男女別の内湯と露天で、内湯の天井も高くて本格的なつくり。毎日湯を抜いて掃除するのでたいへん清潔。内湯は4.5x2m深め浴槽に、湯口から50℃の源泉が12L/min投入の掛け流しで熱め適温42℃。排水は露天への階段を流れていくので、これは足が冷たくなくてよい工夫。露天は内湯と同サイズ、6 L/minの投入でゆるい掛け流しのぬるめ39℃。

微か青みがかった湯で、鉱泥を少し運んでいるのでかきまわすと灰色ささ濁り。弱い酸味と酸っぱく焦げたイオウ臭が薫る。希薄な湯なので浴感はとくにないですが、奥の湯の温泉に浸かっているというだけでなぜか感動してしまいました。(2003.9.18-19 宿泊)




■カルルス温泉「鈴木旅館」

  登別市カルルス温泉 TEL/0143-84-2285 13-19時 500円
  http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Icho/5152/

<掲示> 脱衣所に分析表
  源泉名記なし S40.3.10
  ボウ硝泉(Na・Ca-SO4・HCO3) 55℃ pH=6.4 70 L/min・掘削自噴
  総計=1276
  Na=235(67.6) K=10.0 Mg=2.5 Ca=86.4(28.5) など
  Cl=98.4(18.3) SO4=393.7(54.1) HCO3=250.1(27.0) など
  H2SiO3=119 HBO2=27.1 CO2=48.8 H2S=0.68 mg/kg (mval%)

みしゅらんレポあり。
北海道には珍しく古くから湯治場として栄えた温泉地だが、7軒の旅館は立派に改装して鄙びた雰囲気はなくなり、明るい行楽温泉になった。ほぼ中央に位置する鈴木旅館も、玄関まわりに少し旧建築を残して近代的で快適な宿に生まれ変わっている。

浴場も新装で広い。かぶり湯、打たせ湯、気泡湯を含む3浴槽と、なんだかセンター系のような構成であるが、木製の床がかろうじて湯治場の雰囲気を伝えている。入り口に木枕が積んであって、床に寝て湯をかけつつ長時間浴するのが伝統的入浴法なのだそう。公認トドというわけで、峨々温泉と同じスタイル。そのため換気は押さえて湯気が立ちこめて蒸し暑くしてるのも同じ。

浴槽はすべて源泉掛け流し、湯量で温度調整している。小さめの玉の湯は2x2mに10L/min投入で熱め42℃。やや大きい泉の湯は3x2mに15 L/min投入で熱い43℃。

かすか緑をおびた澄んだ湯で、曖昧模糊とした温泉らしい匂い。はじめ弱キシキシがあって後から弱つるすべ(1.5)が出てくる。際だった特徴はないけれども、すばらしく柔らかさを感じる湯で、骨まで暖まるよく効きそうな湯治湯。SO4・HCO3型の泉質は意外に少ないので、ここは貴重品だと思った。(2003.9.18)



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