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南紀熊野古道の湯巡り byやませみ


【第4回】 中辺路町の温泉

中辺路(なかへち)町の近露(ちかつゆ)は熊野古道中辺路の中間に開けた宿場で、すりばち状の盆地に陽光がたっぷり降り注ぐ自然豊かで穏やかな土地です。近接した2カ所の温泉がいずれも魅力的なので、少ないバス時刻の合間に大急ぎでまわってきました。ゆっくりできなかったのがとても残念です。



奥熊野温泉「ホテルアイリスヒルズ・女神の湯」 AA/
 
  西牟婁郡中辺路町近露177 TEL/0739-65-0331 無休 8-21時 500円
  詳細不明 簡易掲示のみ
  Na-HCO3(純重曹泉) 25.5℃ pH=8.6
  HCO3=2128 CO3=287.2 (温泉MLによる)

近露小学校の裏手にある。昭文社の地図では「国民宿舎ちかつゆ」と表示のところ。旧道を近露集落のほうから入ると看板もないのでわかりにくいが、田辺方面から国道311で日置川を越えて坂を登ると左手に看板があるので横道に入り、指示通りに進む。バス路線も昭文社の地図とは異なり新道を通るので、至近バス停は「宮の上」になる。坂を登って下って徒歩15分ほど。

廃業寸前という雰囲気が濃厚なさびれたホテルで、管理人夫婦が二人で営業している。入口まで来て引き返す人も多いかと思う。玄関前で飼われている鷲・鷹・オウムは野鳥ファンとしては嬉しいが、恐くもある。鷲なんぞちょうどお食事中だったので、いささかホラーな光景。

浴室はボイラー室みたいな入口、機能一点張りタイル浴槽で風情もなにもありはしない。窓を開けると雑木林が広がってけっこういい雰囲気だが、虫が入るから開けるなとある。無造作なパイプから42℃くらいの加熱源泉が30L/minも大量に掛けながされていた。浴槽内には循環機構がついているが、作動はしていない。月曜の朝10時だったので、新湯を溜め終えた直後かもしれないが、ベストの状態で入れたのかと思う。シーズンで入浴客が増える夏休みや休日には、転倒防止のため加水希釈で使用するとか。

浴槽に満たされた湯はまさしく驚愕のつるすべ(5over)で、背筋に電気が走りまくり。ごく薄くささ濁りで無色透明の湯は、かきまわした時の粘性が強く、かけ湯の時点ですでにサラダオイルをかぶっているような皮膚感覚。口に含むと強烈な薬味でまさに胃散と同じ。レタスのような植物臭が少しあるのは濃い重曹泉に共通のもの。これにちょっと硫黄臭と泡付きがあれば極楽往生の湯にしてもいいかなと思う。

湯からあがってタオルで拭いても皮膚のぬるぬるがしばらくは続き、これは初めての体感。ただし脱脂作用も強いので、浴後は面の皮がカサカサ。 (2002.2.25)


玄関では猛禽類がお出迎え


見た目まったくふつうだが驚異の湯


上小野温泉「民宿ちかつゆ・ひすいの湯」 AA/

  西牟婁郡中辺路町大字近露401 TEL/0739-65-0678 無休 10-21時 500円
  近露上小野(ちかつゆかみこの)温泉 H1.6分析 入口前に大きく掲示
  Na-HCO3・Cl(含食塩−重曹泉) 25.3℃ pH=8.1 7L/min(600m・動力)
  溶存計=5533mg/kg Cl=1161 HCO3=2505 CO3=129.6

アイリスヒルズからだと案内もないのでわかりにくい。旧道近露集落内のガソリンスタンド横(近露バス停)の道を日置川上流方面に行って徒歩5分くらい。日置川のすぐそばに、鮎料理が美味しいという民宿と同敷地にちんまりした浴舎と休憩所があるだけで、周辺の民家のほうが立派だったりする。地元の有志が出資してつくった温泉だそうで、華美なところがなく丁寧に管理されている様子は好感がもてる。

浴室はわりと大きく、タイル張りの4x3mくらいの浴槽があるだけ。川に面した窓が大きいのでとても明るくて清潔感がいっぱい。浴槽には何の仕掛けもなく、蛇口から60℃くらいの加熱湯が注がれるだけ。ふだんは貯め湯にしておき、お客が来ると流すそうだが、おおむね誰か入っているので実質上は掛け流しといえるのだろう。

浴槽湯は若干薄めに感じられるので、やや加水しているかなと思ったがこれは未確認。女神の湯よりは塩味が明瞭にあり、浴槽でのつるすべ(4)は少し劣るものの、蛇口では同等くらいに感じた(熱かったからかも)。田辺から週3度は来るという方と同浴だったが、田辺あたりでも濃い重曹泉があるでしょうと聞くと「循環だからダメだ」ときっぱり。(2002.2.25)

静かな川縁に建つかわいい浴舎

とにかく清潔で気持ちいい


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