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南紀熊野古道の湯巡り byやませみ


【第3回】  本宮町の温泉

本宮町には川湯、渡瀬、湯の峰といったそれぞれ個性の違う温泉があります。川湯温泉は、川底に湧く高温泉を利用した仙人風呂や、手堀の温泉が有名でワイルド派むき。渡瀬温泉は、瀟洒な温泉ホテルがあり華やかな雰囲気で、豊富な湯量を活かした大露天風呂が大人気です。湯の峰温泉は、古来から熊野本宮大社に参詣する人が身を清めた湯垢離(ゆごり)場であり、小規模ながら古湯の情緒をいまなお色濃く残す魅力的な温泉地です。

本宮町観光協会 手作りっぽくて情報多いページ
http://www.hongu.jp/



渡瀬温泉「わたらせ温泉大露天風呂」 A/

  http://www.kohnan.net/watarase.html
  本宮町渡瀬45-1 TEL/0735-42-1185 無休 6-2130時 700円
  脱衣所に掲示
  天翔の湯 Na-HCO3・Cl 48.4℃ pH=6.9 280L/min 溶存計=1083mg/kg
  盛翔の湯 Na-HCO3 43.8℃ pH=7.2 440L/min 溶存計=1014mg/kg
  飯盛泉 Na-HCO3・Cl 73.5℃ pH=7.3 335L/min 溶存計=1373mg/kg
  男性用一の湯〜三の湯:天翔・飯盛混合 四の湯〜六の湯:盛翔・飯盛混合

近畿最大の露天風呂という宣伝文句が強力に効いており、日曜の昼時とあって大変な混雑ぶり。でも、みんな内湯で身体を洗っているので露天の方は意外に空いている。でっかい露天がドンとあるのではなく、大小のがいくつもある。

内湯(一の湯)の湯口はそこそこ重曹味を感じる程度で特徴は薄い。四の湯(奥の露天)の湯口では明瞭な硫黄臭と鉄臭があり、塩味重曹味もしっかりして意外に良い。数値ではほとんど違いがないようだが、微妙な香りのつきかたで印象がずいぶん変わる。

塀に囲まれて眺めがあるわけでもなく、屋根がない大浴場という風だが大まけしてA/。表には温泉スタンドもあります。(2002.2.24)

写真はありません


湯の峰温泉「公衆浴場・薬湯(くすりゆ)」 AA/

  TEL/0735-42-0074 無休 6-22時(水曜8-21時) 300円 貸し切り風呂2000円
  小栗湯 S.30.5分析 ロビーに掲示
  S-Na-HCO3(重曹硫化水素泉) 88℃ pH=7.0 30L/min
  溶存計=1742mg/kg HCO3=852.5 HS^-=2.3 H2S=6.98 H2SiO3=210.6

温泉街の真ん中にあり、これほど存在感のある公衆浴場も少ないかと思う。外湯のまわりに小規模な湯宿がとりまく、古典的な湯場のスタイルを現在も残す貴重な温泉地の光景。薬湯は公衆浴場の奥に入口がある。男女別浴室と貸し切り家族風呂が2つ。4畳ぶんくらいの小さな浴室の半分を浴槽が占めている。石鹸使用禁止なので、純粋に湯に浸かるためだけの風呂である。

湯口からは65℃くらいの源泉がちょろちょろ注がれ、浴槽では43℃くらいのちょい熱めになっている。源泉をどのように冷却しているのか聞き忘れたが、淡緑色に少し濁った湯は確かに濃く、皮膚に膜を張り付くような感触がある。明瞭な重曹味にたまご風味が加わって、まさに薬を飲んでいるような味。言葉では表現しにくいが、浸かっても飲んでも骨の芯の方に届きそうな重厚な湯で、これは効きそうだという気がする。

ふと天井を見上げると3階ぶんくらいもある湯気抜きの高さに驚く。これでないと湯気がこもってすぐ逆上せてしまうだろう。忘れられがちだが大事なことだと感心。(2002.2.24-25)

公衆浴場の外観 電話ボックスの横が湯汲み場 薬湯は奥

飾り気のない浴槽に濃い湯が満ちている


湯の峰温泉「つぼ湯」 AA/

  TEL/公衆浴場と同じ 無休 6-2130(水曜8-21時) 260円 天候による休あり
  詳細不明 掲示無し

公衆浴場で料金を払って番号札を受け取る。札は入浴時に入口の左に掛けておくので、今何番が入っているかわかる仕組み。お客は圧倒的に若い女性が多いせいか、みな入浴時間がひじょうに長い(いちおう30分制限となっている)。そばの湯胸茶屋で温泉コーヒーを飲みながら待つ。ここは東光寺さんの副業。

湯小屋は清潔に管理されているが、板壁で囲まれるのでやや薄暗い。2面は昇降式になっているので、勝手に開けてよいものなのだろうか? 不粋な蛍光灯がついているのは全くいただけないので、屋根に明かり取り付けてほしいものだと思う。

湯坪はカップルが同浴するのに適当なくらいの大きさ。湯が濁っているので中が全然見えないが、手前の岩がスロープになって滑るのでいきなり足から入ると転倒しそう。底には砂利が敷かれており適当な深さになっている。どこから湧いているかと足先で探ってみれば、湯坪の奥は横穴状になっており、一番奥から50℃くらいの湯が少し滲み出てきている。湧出量は5L/minそこそこぐらいであろうか。

夕方はかなり加水されていたせいか灰濁(10cm)で薄く浴感はあまりない。朝は残念ながら2番であったが、冷え込んだので加水が少なくてすみ、青白濁(5cm)で濃い感じ。他に比べると滑らかな感触があるのは、コロイド珪酸のせいであろうかと思う。つぼ湯から湯筒のあたりの河床には小さな湧出口がいくつもあり、川湯ができそうな感じ。 (2002.2.24-25)


ちんまりした湯小屋ですが中は結構広い

長年の間に岩がつるつるに磨き込まれています



湯の峰温泉「旅館あづまや」(泊) A/

  本宮町湯の峰122 TEL/0735-42-0012 不定休月2あり 12-15時 500円 宿泊15000円〜
  環(たまき)湯 S.60.3分析 道路側浴室の脱衣所に掲示
  S-Na-HCO3・Cl(含食塩−重曹硫化水素泉) 92.5℃ pH=7.6 92L/min(自然湧出)
  溶存計=1744mg/kg HCO3=820.7 HS^-=3.8 H2S=11.3 H2SiO3=209.8

公衆浴場の対面に建つ老舗旅館。右側の総木造の旧館が風情あるが、こちらは主に宴会場になっており、一般客は左側の新館の宿泊となる。廊下のあたりは鉄筋コンクリでやや興ざめだが、部屋は木造和室で安心する。山側のほうにもう1棟あり、こちらはレトロ調。風呂付きの部屋もたくさんある。

浴舎は旧館のほうにあり、総木造で天井の高い重厚なつくり。湯に馴染んだ槙の木の深い浴槽が肌触りがよい。ぬるめに調整された湯は青みがかったささ濁りで、大量加水だから浴感はかなり薄い。ストロボで撮影すると肉眼よりずいぶんと青く写る。

隅に熱い源泉が注がれる「さまし湯」があり、懸命に湯もみをするものの夕方はまだ熱すぎて3秒とは入れない。かけ湯をざばざば楽しむのみだが、なぜか薄く感じる。湯守さんは「厚かったら水を入れてもいいですよ」と言っていたので、実際少し加水されていたかもしれない。

いささか不満を残して新しい露天岩風呂に向かうと、こちらもやはり高温の源泉がそのまま注がれているものの、適温に冷めている。少し焦げっぽい硫黄臭を放つ重曹味の透明湯に、ひも状の巨大な湯ノ花がうようよと漂っている。薬湯にはちょっと及ばないが、包み込むような濃い浴感で満足。

ここの食事はとっても美味しい。ほとんどの料理に温泉を使用し、大女将が工夫を重ねて料理法を考案してきたものだというが、素材の自然な旨味がよく活かされている。とくに朝食に出る温泉粥の風味の良さは絶品。(2002.2.24-25)

あづまや左側の客室棟

内湯大浴槽 加水で適温

さまし湯 無加水なので透明

露天風呂 湯の花いっぱい

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