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霧島周辺と人吉の湯巡り byやませみ

 

【えびの市西部の温泉】

矢岳高原入口の山麓にある吉田温泉は、3軒の施設を民家がとりまく小さな鄙び湯治場です。全国的な知名度はまったくありませんが、宮崎ではいちばん古い温泉なんだとか。歓楽的な要素は皆無だけれど、地場の湯として堅実に親しまれているという印象。えびの高原を遠望する穏やかな農村風景が郷愁をそそり、ほのぼのとした気分になります。田舎をもたない人はぜひ訪れてみるとよいでしょう。


■吉田温泉「亀の湯」

  宮崎県えびの市昌明寺672 TEL/0984-37-1446 無休 6-22時 300円

<掲示> なし
  泉質不明(ほぼ同下)

亀の湯はいちばん下手にある公衆浴場です。昔は堂々とした浴場建築だったそうですが、焼失して再建した今はプレハブの庶民的な建物。夕暮れ時から夜中まで、ひっきりなしに浴客が入り結構な賑わいぶりです。入口の番台に料金箱が置かれていますが、誰もお金を入れる様子がありません。無料開放なのかもしれませんが、なんとも鷹揚なものです。

かなりチープな脱衣所にくらべて、浴場は石張りの立派なつくり。2槽に区切られた1.5x2.5mのタイル浴槽は洗い場もふくめて真っ赤に染まっています。湯口からは46℃の湯が20 L/minほど、脇の升から冷泉も槽内に入る合わせ湯でぬるめ39℃前後。緑とも赤みとも見える半濁り湯で、明瞭な炭酸味と新鮮な金気があります。芒硝湯のもっちりした肌馴染みと重曹湯の爽快さが混じった深みのある変わった浴感で、飛騨の濁河温泉によく似た泉質のとても良い湯です。(2004.2.16)


庶民的な公衆浴場はけっこう賑わう

珍しい泉質の良い湯だと思います



■吉田温泉「鹿乃湯」

  宮崎県えびの市昌明寺689 TEL/0984-37-1531 無休 8-22時 300円

<掲示> 番台うしろに古い分析表
  S36.06
  含食塩芒硝重曹泉(Na−HCO3・Cl・(SO4)) ?℃ pH=?
  ER=- 溶存計=3363 総計=4237
  Na=750.0(71.4) K=59.7 Mg=30.5 Ca=129.0(14.1) Al=20.9 Fe(II)=0.9
  Cl=427.0(26.3) SO4=423.7(19.3) HCO3=1512.0(54.2) HS=0.79 HSiO3=4.14
  CO2=873.5 mg/kg (mval%)

鹿乃湯はいちばん上手にある湯治宿に付属する外湯です。そうとうに年季の入った木造モルタルの湯小屋ですが、今年中に改装することになっているそうです。脇には湯沸かし小屋があり、薄暗いなかで古めかしい釜の火がゆらゆら燃えていました。燃料は廃材チップを使っており、滑り台で自動的に落下する構造になっています。

脱衣所から階段で下りる浴室は2mほどの掘り下げ式なので、湯気抜き天井がすごく高く乾いた空気。懐かしい感じの1.5x2mモルタル浴槽が2槽並んでいて、片方のみ湯が張られています。大小のパイプ湯口から、42℃の加熱湯が10 L/min、39℃のおそらく源泉がちょろちょろの合わせ湯。湯量が少ないので37℃ほどのぬる湯になっており、いささかなまり気味。かすかに赤みがかる淡緑色ささ濁り湯で、金気さび臭があります。亀よりはだいぶ薄い味や浴感で、成分は古い分析の1/3ほどになっているかと感じました。(2004.2.16)


けっこうな鄙びぐあい

濃湯は薄めでした

お宿も賑わっていました
 



■吉田温泉「いとう旅館」

  宮崎県えびの市昌明寺  TEL/0984-37-1756 立ち寄り不明

<掲示> なし 最近の分析なし
  泉質不明(ほぼ同上) 自家源泉だそうです

鹿乃湯となりに建つ小さな温泉宿で、誠実そうな40代?のご夫婦が営んでいます。民宿に毛が生えたほどのぱっとしない外観ですが、館内は造作もしっかりした老舗旅館ふう。部屋は広くて清潔で、猪肉がメインの料理もずいぶん豪華版でした。小旅館ファンにはお薦めです。

浴場は家族湯サイズの内湯が1つだけで、適当に交代しながら使うようになっています。岩貼り1畳ぶんの浴槽に、ライオン湯口から50℃の加熱湯が10 L/min出て熱め42℃の掛け流し緑褐色の半濁(50cm)湯は、亀よりも熱めなので炭酸味は抜け気味ですが、金気を強く感じます。(2004.2.15泊)


外観よりも中身で勝負 向こう亀の湯

こちらもなかなか良い湯です



■城山温泉

  宮崎県えびの市内竪1575 TEL/0984-37-0088 無休 9-21時 300円

<掲示> 脱衣所に分析表
  城山温泉 S59.01
  Na・Ca・Mg−HCO3・SO4・Cl 47.0℃ pH=7.15
  ER=4833 溶存計=5892 総計=6120
  Na=979.0(51.7) K=69.6 Mg=209.6(21.0) Ca=359.3(21.7) NH4=49.6 Fe(II)=4.4
  Cl=696.8(22.8) SO4=1241(32.3) HCO3=2190(44.9)
  H2SiO3=46.7 HBO2=100.9 CO2=227.9 mg/kg (mval%)

京町北部の山麓、高台に建つ民家の庭先にある温泉です。ずいぶん有名になって全国から温泉ファンが来てくれるので、親父さんは張り切っている様子でした。奥の納屋のまわりにはアヒルやチャボなんかがたくさん歩き回っていて、ちょっとした動物園状態。これは家畜というわけじゃなくて、婆ちゃんのペットだそうです。

新しめの浴舎はとても小振りなつくりですが、窓が多くて明るくとても快適です。1.5x1.3mの深め小浴槽に、パイプ湯口から46℃の源泉がガスをともなって間欠的に25 L/minほど噴出。緑がかった淡黄褐色の濁り湯(10cm)で、微紛状の結晶が大量に含まれています。炭酸ガスの爽やかな匂いと新鮮な金気がぷんぷんたちこめ、ちょっとイオウ臭もあってなんとも芳しいです。飲泉ではかなりの炭酸分がシュワーと感じられ、ダシをきかせた胃薬ふうの珍なる味が濃厚。
明瞭なきしきし感をともなうもっちりした肌触りで、暖か冷やっこいというか不思議な入浴感でした。

ここの奇観はやはり大量の析出物で、浴槽から洗い場まで赤褐色にびっしりと覆っています。薄く千枚田状になっているのはよく見ますが、ここのは厚さが3cmほどもあってミニ秋芳洞のよう。見て、飲んで、浸かって楽しめる愉快な温泉でした。(2004.2.16)


明るく快適なプレハブ湯小屋

変わった泉質が炭酸ガスと一緒に噴き出してきます

グランドキャニオンにも似てる?
 


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