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諏訪・佐久の湯巡り [2] byうつぼ



上諏訪・下諏訪のお湯に入るのは実は初めてなので、少し調べてみました。

■諏訪の温泉

<上諏訪温泉>
諏訪湖東岸一帯に湧く一大温泉地。源泉数は500以上、湧出量は1万L/minを越えるといわれ、宿泊施設はもとより、一般家庭・官公署・会社・学校などでも温泉が利用されているそうです。高さ 50mまで噴き上げる間欠泉、温泉熱を利用した植物園、JR上諏訪駅構内の露天風呂(2002年より足湯に転換、露天時代のONKEN21さんのレポあり)、諏訪丸光デパートの温泉(休業中)、中央道諏訪SAのハイウェイ温泉など温泉関連のユニークなスポットが数多くあります。
また、源泉が豊富なだけに「精進湯」「宮の湯」「大和温泉」などの共同浴場の他に、ジモ専浴場もかなりあるようです。

<下諏訪温泉>
中山道と甲州街道の合流点に位置した宿場町で諏訪大社下社の門前町でもあったために発祥の地ともいわれる「綿の湯」(現在は駐車場)を中心に大いに栄えた温泉地。市街地にある上諏訪温泉に対して歴史を感じさせるしっとりとした佇まいをみせています。

ここも湯量は豊富で町内20ヶ所の源泉から5100L/minの温泉が供給されているとのこと。俗に下諏訪の共同湯10湯と称されますが、これは遊泉ハウス児湯、旦過の湯、新湯、菅野温泉、矢木温泉、湖畔の湯(高木温泉)、みなみ温泉、老人福祉センター、富部温泉、六峰温泉を指すようです。

【 歴史 】
どちらも古い温泉地らしく鎌倉時代の文献にも記載がみられるようですが、はっきりとした歴史は確認できませんでした。唯一、「湯玉伝説」(諏訪明神建御名方命(たけみなかたのかみ)と妃の八坂刀売命(やさかとめのかみ)が仲違いをし、妃が下諏訪へ移られたときに、綿に浸して運んだ化粧用の湯が途中で落ちて上諏訪温泉となり、綿を捨てたところが綿の湯(下諏訪温泉)となった)というスケールの大きな開湯伝承がみつかりました。
なお、上諏訪にあった「虫湯」は、江戸時代、高島藩御用達のお湯だったようです。

〔2004年7月レポ〕


諏訪大社下社春宮

諏訪湖(炎暑で藻が発生)


(7月 24日やませみさんよりコメント)

>うつぼさん
> <上諏訪温泉> 源泉数は500以上、
それはだいぶ昔のことですな〜(^.^; 
大正末期に湖岸部の宅地化が進んだ頃、地面に鉄管を一間ほど打ち込むと温泉が自噴してくる状況だったそうです。で、各戸が競って庭先に温泉を出した結果、源泉数がたいへん多くなりました。昭和23年の源泉数は553カ所。

戦後になって上総堀りが普及。濫開発状況はますます進行して江戸期からあった山麓域の旧源泉はほとんど消滅し、過剰な汲み上げで温泉に湖底堆積物の地下水が混じるようになって泉質も変化しました。かつての旧源泉は硫黄泉で、金物が黒くなるほどだったそうです。

昭和55年に11カ所の主力源泉に統合された集中管理が完成し、諏訪市の水道温泉課によって運営されています。なお、小和田地区には民営の温泉組合もあり、独自源泉が使われています。


(7月 24日うつぼからお返事)

上諏訪の源泉数、ご指摘ありがとうございました。
> 各戸が競って庭先に温泉を出した結果
ほほほ、これは凄そう (^^; それと温泉番付に載っていた頃の諏訪の湯は硫黄泉だったのでしょうか。
 



■上諏訪温泉「片倉館」

(長野県諏訪市、10:00〜21:00、400円(入浴のみ)、0266-52-0604)
http://www.katakurakan.or.jp/index.html

製糸業の片倉財閥の二代目で”シルクエンペラー”としてその名を知られた片倉兼太郎(片倉佐一)氏が欧米旅行に赴いた際、かの地の福利厚生事情に啓発され、昭和三年に建設した日本最古ともいわれる温泉リゾート施設。数々の名建築を残した森山松之助氏の設計によるもので、洋風の建築手法を随所にとりいれた重厚な洋館は、ほぼ当時のままの姿を今日に伝え諏訪市文化財にも指定されています。みしゅらんとめがねさんのレポあり。
            
1階が男女別の浴場で2階が休憩所(別料金(+200円))。館内もさすがにすばらしい仕上がりで目立たないところにもさりげなく意匠が凝らされていたりします。天井の高い白亜のレトロ浴場に名物の「千人風呂」(実際は50〜60人位のキャパシティでは?)が据えられています。

タイル枠大理石造で底には黒い玉石が敷かれています。深さが約1.1mあるので立って入ることになりますが、浴槽フチにそって段差があるのでここに腰掛けることもできます。深さがあるので水圧で移動がけっこうたいへん。思わず泳ぎたくなりますが当然禁止 (^^; 

大理石の壁面、コーナーには彫刻が配され、ところどころにステンドグラスがあしらわれています。アール・デコ様式も取り入れられたレトロな仕上がりで、ロケーションは違いますが四万「積善館」の元禄の湯になんとなく雰囲気が似ています。別ブースのラドン浴室もあります。

カラン13(源泉?)、シャワー、シャンプー、ドライヤーあり。エリア屈指の人気浴場(というか観光名所)とのことですが、意外にも空いていて連休なのに浴場独占の時間があったのは超ラッキー。そのあと団体様ご一行が到着し、25人くらいに・・・。でも、団体が入っても静謐な空気が乱されないのはさすがに元祖癒し浴場の貫禄か ^^)

「千人風呂」は石の湯口からの投入+湯底からの注入で、かなりの量をオーバーフロー。あまりに広くて石敷きなので槽内排湯はチェックできませんでしたが、お湯の鮮度感は高く、源泉かけ流しかそれに近い湯づかいかと思えました。湯口にあった石膏の析出っぽいクリーム色のささくれは、石材が融けだしたものかもしれません。ラドン浴槽は、ジェット+ジャグジー注入で軽くオーバーフローがあるものの湯づかい不明。

かなり熱めのお湯は、無色透明で無味、ごくかすかにタールor樹脂系のアブラ臭が感じられましたが、これが天然のものか消毒剤によるものかは不明。かすかなツルすべがあるもののさほど浴感に特徴はありません。ただ、熱湯ということもあってか、えらく温まり発汗します。

ラドン浴場はひたすらムシムシとしてあまり快適でなくすぐに退散したので、お湯の感じはよくわかりませんでした。

とにかく浴場の佇まいが素晴らしいので、入っていてとても気持ちがやすまります。やはり上諏訪温泉を代表する浴場といえるのではないでしょうか。

<館内掲示 あやめ公園源湯、新三ッ釜源湯、新三ッ釜第2源湯の混合泉>
単純温泉(Na-Cl・SO4型) 62.3℃、pH=7.9、湧出量不明、成分総計=565.8mg/kg、Na^+=149.5mg/kg (87.06mval%)、Fe^2+=0.03、Cl^-=153.2 (57.56)、SO_4^2-=108.7 (30.11)、陽イオン計=171.6 (7.47mval)、陰イオン計=312.5 (7.50mval)、メタけい酸=67.1、メタほう酸=10.8 <H8.10.21分析>
       
「諏訪湖ホテル」のHPに別のデータがありましたので記載しておきます。
アルカリ性単純温泉(Na-Cl・SO4型) 74.2℃、pH=・湧出量・成分総計不明、Na^+=234.2mg/kg (88.69mval%)、F^-=2.23、Cl^-=256.9 (63.52)、SO_4^2-=154.9 (28.31)、CO_3^2-=7.2、陽イオン計=265.7 (11.49mval)、陰イオン計=456.3 (11.41mval)、メタけい酸=130.6、メタほう酸=15.6 <分析年月日不明>

〔2004年7月レポ〕



(7月26日MASさんよりコメント)

>うつぼさん
片倉館についてONKEN21さんがレスつけてますが、少なくとも私が去年訪問したときは循環でした。
装置は、脱衣所横(ラドン浴室裏あたり)にあります。
(7月26日うつぼからお返事)

>MASさん
片倉館ですが、あの巨大な深い浴槽でしかも玉石敷きですから吸排湯のチェックはできませんでしたが、たしかにあの巨大浴槽で源泉かけ流しはキビシイかな・・ (^^;
でも、ラドン浴槽にくらべて千人風呂のほうが鮮度が高い感じはしました。

 

「片倉館」の外観

「片倉館」の男湯

「片倉館」の男湯の湯口

浴場内の彫刻



■下諏訪温泉「旦過(たんが)の湯」

(長野県下諏訪町、5:30〜22:00、220円、0266-26-7520)
http://www.town.shimosuwa.nagano.jp/spa.htm#yumap

鎌倉時代、諏訪の名刹白華山慈雲寺を訪れる修行僧のために建てられた”旦過寮”の湯を利用したのがはじまりといわれる歴史ある共同浴場。因みに”旦過寮”とは、禅寺などで修行のために訪れた僧が、修行に入る前に心身を整えるためひとまず通される部屋のことをいうそう。

すぐそばには有名な共同浴場の「児湯(こゆ)」がありますが、温泉好きには断然「旦過の湯」の評判がいいようです。国道から一本入った宿場町の面影をとどめる旧道沿いに面してあり、4.5台停められるPがあります。めがねさんのレポあり。

よくある共同浴場のつくりで男女別。券売機で入浴券を買って番台に渡します。脱衣所から見通しのきく浴室は、いい味を出している4.5人の青タイル貼浴槽がひとつとシンプル。壁に填め込まれた天女のタイル絵が見事。

奥手に窓があり覗くと給湯パイプが張り巡らされていました。浴室のすぐ横に旦過第一・第二源湯の源泉小屋があり(見学不可)、そこから直引き(熱交換あるかも?)されているようです。カラン6(たぶん温泉)、シャワーあり、シャンプー・ドライヤーなし。連休12時で独占。

ライオンの口からえらく熱い源泉を20L/minほど投入で、槽内注排湯はなく全量をオーバーフローの完璧な源泉かけ流し。うめ湯(水)カランがありますが止められていました。ゲキ熱のお湯は無色透明。熱すぎてよくは判りませんでしたが、ごくかすかに石膏かイオウのたまご味のようなほこほことした味がしたような・・。

「片倉館」でかすかに感じられたタールor樹脂系アブラ臭をやや強めたような温泉臭。めがねさんが「まさかこんな所でアブラ臭??」と指摘されていましたが、やはり弱いながらアブラ臭はあるかと思います。

熱湯で有名な「旦過の湯」ですが、それにしても熱い。うめ湯カランはなんとなく出してはいけないような気がしたのでそのまま入りました。が、1分もたずほとんど浴感を味わう余裕がなかったというのが情けなくもホントのところです (^^;

熱湯というと、高崎天神の湯(揚湯試験時の52℃)をはじめ、群馬鎌田温泉「千明旅館」、山梨「草津温泉」、新潟かのせ温泉「赤湯」、川原湯温泉「笹湯」などが記憶にありますが、たぶん天神の湯につぐ2番目の熱さかと思います。

番台のおばちゃんは46℃と云っていたけど、48℃以上はあったのでは・・。「今日はとくに熱いんじゃないですか?」と訊くと、そんなことはないという。実際、あとから来た常連さんが軽く掛け湯をし、平然と肩まで浸かっているのを見て心底おののき。「旦過の湯」の常連さんおそるべし (^^;

熱湯の修行をしなおしてから、再度リベンジしたいお湯です。

Na・Ca-硫酸塩・塩化物温泉 58.8℃、pH=8.64、湧出量不明、成分総計=1492mg/kg、Na^+=307.7mg/kg、Ca^2+=160.8、F^-=3.1、Cl^-=232.2、HS^-=0.2、SO_4^2-=690.2、CO_3^2-=7.8、陽イオン計=476.7、陰イオン計=952.4、メタほう酸=21.0、硫化水素=0.01 <H10.11.26分析>

〔2004年7月レポ〕



(7月25日ONKEN21さんよりコメント)

>うつぼさん
上諏訪温泉の片倉館は10年ほど前に入浴したことがありますが、重厚で立派な洋風建築や広くて深い浴槽などが印象に残っています。

下諏訪温泉の遊泉ハウス児湯は5年前に入ったことがあります。吸込があったような記憶はあります。半循環でしょうか?
児湯から数十m市街の方向へ歩くと駐車場があって、そこに綿の湯跡の石碑があった記憶があります。綿の湯と児湯を統合して遊泉ハウス児湯となったわけですね。

旦過の湯は建物は見たことはありますが、残念ながら未湯です。
 

「旦過の湯」の外観

「旦過の湯」の男湯


■毒沢鉱泉「神乃湯」

(長野県下諏訪町、10:00〜16:00(時間確認要)、700円、0266-27-5526)
http://www.kaminoyu.com/

毒沢鉱泉の歴史は古く、永禄年間に武田信玄が金山発掘の際、怪我人の治療に利用したと伝えられる、いわゆる”信玄の隠し湯”のひとつです。”毒沢”とはなんともおそろしげな名前です。読みは古いガイドで”ぶすざわ”と紹介されていた記憶がありますが、最近ではほとんど”どくさわ”が使われています。

「神乃湯」、「宮乃湯」みしゅらんあり)、国民宿舎「沢乃湯」(>めがねさんのレポあり)の3軒の宿があって、「神乃湯」が最奥になります。源泉はどこも同じようです。

以前はかなり鄙び入った鉱泉宿だったようですが、平成13年に新築・改装され、和風情緒あふれる落ち着いた宿になっています。館内の細かなところまで意匠が凝らされたいわゆるデザイナーズ旅館系で、木と白壁の質感を活かした館内は暖かみが感じられ、泊まりたい衝動に駆られました。これからはこのような感性の宿が主流となっていくのでは?

別棟の総木造の浴室は男女別でこぶりなもの。窓の外に緑濃い沢筋を見下ろすなんとも風情あふれる浴室で、木づくりの加熱浴槽(4.5人)と源泉槽(1人)が隣り合っています。浴槽はリニューアル前と同じ規模のようで、むやみに浴槽を大きくしたり、露天を造ったりしない姿勢にお湯に対するお宿の見識を感じます。カラン4、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。連休13時で4人〜独占。

加熱槽は、木の湯口からうす赤くにごった熱湯を投入し、底面吸湯ありでオーバーフローなし。源泉槽は、飲泉用の湯(水)だめからごく少量を流し込み、オーバーフローはなく、ごく軽い底面吸湯か自然流下。注がれる源泉は2℃というほど冷たい感じはなく、浴槽はおそらく20℃弱くらいでさほど抵抗なく入れました。断言はできませんが、源泉槽の源泉を底面から回収、加熱して加温槽で使っているのでは?

お湯の感じは加熱槽と源泉槽でかなりちがいます。かなり熱めの加熱槽は、まったりとした暗いオレンジ色で透明度1cmの濃いにごり湯に赤茶の浮遊物が舞っています。源泉槽は、うすこげ茶色ささにごりで茶色の浮遊物がたくさんただよいます。金気をベースにして、焦げ臭とドクダミ臭がまじる複雑な温泉臭ですが、さほど強いものではありません。

酸性泉らしいレモン味に微甘味と渋味と微炭酸味をミックスした複雑な味は、美味しくはないですが、なぜかクセになりそう。pH2.5の酸性泉ながら肌にピリピリくる感触はなく、キシキシ感のある奥深い浴感。

加熱槽はかなり熱いですが、温まるというよりは身体に染み込んでくるようなイメージの独特の浴感。焦げ臭とドクダミ臭が肌に残ってキトキトとする浴後感は、かなり好き嫌いのわかれる個性的なものかと思います。

茶色の濃い濁り湯とインパクトのある味から、”成分濃厚なお湯”のイメージがありますが、成分濃度自体はそれほど濃いものではありません。特徴のある泉質の成因は、「硫化鉱物の酸化溶解」+「有機的メカニズム」による低温酸性泉(やませみさんの温泉の科学参照)かと思われます。

このタイプの明礬・緑礬泉系は低温で湧出量が少ないのがふつうなので、なかなか非加熱源泉には入れませんが、ここで入浴できたのは嬉しいです。

こんどは泊まりで訪れて、じっくりと冷温交互浴を楽しみたいと思いました。なお、週末の日帰り入浴は14時くらいで〆切とするようなので要注意です。

含鉄(2)-Al-硫酸塩冷鉱泉((Al)-SO4型) 2.0℃、pH=2.5、陽・陰イオン計=1509.2mg/kg、H^+=2.5、Na^+=5.0mg/kg (0.91mval%)、Mg^2+=31.7 (10.81)、Al^3+=120.0 (55.27)、Fe^2+=132.4 (19.64)、Fe^3+=5.6、Cl^-=1.5 (0.17)、HSO_4^-=92.7 (3.98)、SO_4^2-=1107 (95.59)、陽イオン計=307.2 (24.14mval)、陰イオン計=1202 (24.11mval)

●めがねさんの「沢乃湯」レポによると数値は同じなのでやはり同一源泉かと思います。今回確認できなかった部分を抜粋引用させていただくと「7.5L/min自然涌出、成分総計=2273、メタけい酸=96.3、遊離炭酸=666.6 <H10分析>」とのこと。

〔2004年7月レポ〕


「神乃湯」の外観

「神乃湯」の男湯加熱槽

「神乃湯」の男湯源泉槽
 


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