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房総の湯巡り-2[15 byうつぼ


■小久保(大貫)鉱泉「つりと鉱泉 さざ波館」


(富津市、14:00〜20:00、500円、0439-65-3373)
紹介サイト

大貫漁港のそばにある昭和6年開業の老舗宿。R465大貫駅前から1kmほど南、小久保川の小さな橋を渡ってすぐの路地を右折しつきあたった右側の海辺。このあたりは国道から引き込んでいて静か。あたりの家並みは昭和のそれ。

釣り宿ということで、民宿に毛のはえた程度の宿を想像していましたが、思いのほか立派。ここは近代日本児童文学の始祖といわれる巖谷小波(いわや・さざなみ)(漣山人)ゆかりの宿で、名付けは小波によるとの由。玄関脇に小波の句碑があります。帳場で入浴を乞うと奥に入浴客用の入り口があるとの案内を受けて移動、Pもそちらにあります。

入るとバーかスナックのような一角がありそこで料金を払います。扉を開けると別世界。黒光りする木の廊下が走る味のある和風の建物です。廊下の奥に男女別の浴場。木枠の脱衣棚に洗面台がふたつ。二面採光の浴場に、内湯(石造7.8人)がひとつとシンプル。洗面所は銭湯仕様で押下式カランに固定式シャワーがレトロ。カラン6、シャワーあり、シャンプー・ドライヤーなし。土曜17時で独占〜3人。

中央のパイプ注入+ジェット×2の注入でオーバーフローは少量。で、槽内排湯があると思いますが確認できず。手前にカランがあって捻ると冷たい源泉がでます。

やや熱めのお湯は透明度70cmくらいの黒湯(湯色は紅茶色)で源泉は微重曹味に弱い化石肥料臭。ツルすべと染み入るような浴感があり、飯岡をうすくした感じのなかなかに渋いお湯。熱湯ということもありますが、相当な温まり感があります。浴後は重曹がきいているのかすっきり爽やか。

浴後、上品な感じの女将さんと言葉を交わしました。もともと網元の家柄で船宿だったものが釣り宿になったが、最近は釣り客も少なくなったとのこと。廊下に宿泊客の郵便受けらしきものがあったので、長期滞在の湯治客がメインなのかもしれません。

ここは温泉分析をしておらず、小久保(大貫)鉱泉といわれているようです。浴感からするとNaHCO3で規定泉になるような気もしますが、固定客で成り立っているようなこの宿では、温泉でも鉱泉でも大勢に影響ないのかもしれません。(パンフでは「鉱泉超音波風呂」と謳っています。) 近くには大貫中央海水浴場もあるし、地魚料理も自慢のようです。こんな宿でひがな一日まったりするのも目先が変わっていいかもしれません。鄙び好きにおすすめ。

「湧き出る鉱泉は、コーヒー色で肌滑らかに温め心和みて、客仁と語らい釣人と交わる。季節の魚を追い、船頭と共に船元守る。〜 海に暮して一世紀。」(パンフより)

〔 2006年10月30日レポ 〕




「さざ波館」の玄関

「さざ波館」の脱衣所

「さざ波館」の男湯

「さざ波館」の男湯湯口


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